昨年10月以降、全国各地で連続強盗事件が1都7県で14件発生。これらの事件や他の特殊詐欺に関する「指示役」は現在フィリピンの入管施設に収容中で、週明けにも日本側に身柄が引き渡されることになりそうだ。指示役の背後にさらなる黒幕はいるのか。暴力団との関係はどうなのか? 元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)が解説する。
【写真11枚】露出度の高い“挑発的なドレス”をまとうマニラの「美人ホステス」 ルフィが豪遊したパブでの実際の写真をみる「今回、強盗事件で逮捕された30人を超える実行役らのほとんどはツイッター上の“闇バイト”に応募。その後、テレグラム(メッセージを自動的に消去できる、秘匿性の高い通信アプリ)に切り替え、指示役とやり取りを行っていました。“ルフィ”“キム”“ミツハシ”などと名乗るその指示役らには個人情報や家族構成などのプライバシーを握られ、指示通りに行動しなければ危害を加えられる恐れがあったと言います」渡邉優樹容疑者 と、社会部デスク。逮捕前からの指示を守って黙秘を貫く容疑者もいたという。被害は60億円以上 意に沿わない相手には容赦なく牙をむく、「恐怖による支配」そのものの世界のようだ。 ところで、そんなルフィらは、かつてフィリピンを拠点に展開された特殊詐欺グループの指示役だった可能性が浮上している。「過去に特殊詐欺に関与したとして窃盗容疑などで逮捕状が出ているのは、渡邉優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、そして小島智信(45)の4容疑者です。彼らが2019年、フィリピン当局が日本人の男約70人を摘発した特殊詐欺事件の指示役だったとされています」(同) 4人は当時、首都マニラ近郊の廃ホテルに陣取って、その約70人を日本に電話をかける「かけ子」として操っていたと見られる。「かけ子らは金融庁の職員などを装って日本の高齢者に電話をかけて、“口座が不正に残高照会されている”などと伝えて、日本にいる“受け子”がキャッシュカードを盗む。そしてその後に現金を引き出す手口で、被害は60億円以上にのぼるとされています」(同)気になるルフィの背後関係 フィリピン当局に身柄を拘束された36人は、日本へ強制送還後に警視庁に窃盗容疑などで逮捕された。闇バイトに応募した者がいたり、恐怖による支配を展開していたり、渡邉容疑者がルフィと名乗っていたりするなど、今回の強盗事件と共通点も少なくない。 気になるのは、ルフィの背後関係だ。 では、今回の容疑者と暴力団との関係はどうなのか? 竹垣氏によるとやはり無関係とは言えないようだ。「今村容疑者は20代のころに、6代目山口組の2次団体・茶屋政一家傘下の石堂組にいたことがあると聞きました」 他方、渡邉容疑者についてはどうか?「渡邉容疑者は6代目山口組の2次団体・3代目弘道会傘下の福島連合の若頭を務める人物の関係先にいたことがあると聞きました。キャバクラのキャッチをしていたようですね」(同) 現在はともに組織を離れて活動していたようだが、「首謀者とされる渡邉容疑者のさらなる黒幕がいる可能性もあるようです。以前に摘発された特殊詐欺は35億円という相当な金額ですから、組織的犯行を思わせますね。実際、北海道に本拠を置く暴力団に上納されていたとの情報が飛び交っています」(同)」激怒した警察庁長官 渡邉容疑者らは特殊詐欺グループが摘発された後、フィリピン当局に拘束されて収容施設内に身を置きながらも、携帯電話を片手に今度は強盗の指示役として振舞っていたということになる。「警察庁の露木康浩長官以下、最高幹部らは“どうして強盗殺人事件が発生するまで、摘発できなかったのか?”と怒り心頭だということです。フィリピンにいる渡邉容疑者らが浮上するまでそれほど時間はかからなかったので、過去の特殊詐欺と今回の強盗事件とがリンクすることはある程度、想定されていたのかもしれません。もう少しスピーディーな動きを当局がしていれば、実行役が荒々しい手口を取ることなく、最悪の事態を防げた可能性はありますね」(先のデスク) 日本を大きな社会不安に陥れた今回の一件。これを機に、かつての事案を総チェックして、本当の首謀者にたどり着くべく警察は総力を結集しているという。デイリー新潮編集部
「今回、強盗事件で逮捕された30人を超える実行役らのほとんどはツイッター上の“闇バイト”に応募。その後、テレグラム(メッセージを自動的に消去できる、秘匿性の高い通信アプリ)に切り替え、指示役とやり取りを行っていました。“ルフィ”“キム”“ミツハシ”などと名乗るその指示役らには個人情報や家族構成などのプライバシーを握られ、指示通りに行動しなければ危害を加えられる恐れがあったと言います」
と、社会部デスク。逮捕前からの指示を守って黙秘を貫く容疑者もいたという。
意に沿わない相手には容赦なく牙をむく、「恐怖による支配」そのものの世界のようだ。
ところで、そんなルフィらは、かつてフィリピンを拠点に展開された特殊詐欺グループの指示役だった可能性が浮上している。
「過去に特殊詐欺に関与したとして窃盗容疑などで逮捕状が出ているのは、渡邉優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、そして小島智信(45)の4容疑者です。彼らが2019年、フィリピン当局が日本人の男約70人を摘発した特殊詐欺事件の指示役だったとされています」(同)
4人は当時、首都マニラ近郊の廃ホテルに陣取って、その約70人を日本に電話をかける「かけ子」として操っていたと見られる。
「かけ子らは金融庁の職員などを装って日本の高齢者に電話をかけて、“口座が不正に残高照会されている”などと伝えて、日本にいる“受け子”がキャッシュカードを盗む。そしてその後に現金を引き出す手口で、被害は60億円以上にのぼるとされています」(同)
フィリピン当局に身柄を拘束された36人は、日本へ強制送還後に警視庁に窃盗容疑などで逮捕された。闇バイトに応募した者がいたり、恐怖による支配を展開していたり、渡邉容疑者がルフィと名乗っていたりするなど、今回の強盗事件と共通点も少なくない。
気になるのは、ルフィの背後関係だ。
では、今回の容疑者と暴力団との関係はどうなのか? 竹垣氏によるとやはり無関係とは言えないようだ。
「今村容疑者は20代のころに、6代目山口組の2次団体・茶屋政一家傘下の石堂組にいたことがあると聞きました」
他方、渡邉容疑者についてはどうか?
「渡邉容疑者は6代目山口組の2次団体・3代目弘道会傘下の福島連合の若頭を務める人物の関係先にいたことがあると聞きました。キャバクラのキャッチをしていたようですね」(同)
現在はともに組織を離れて活動していたようだが、
「首謀者とされる渡邉容疑者のさらなる黒幕がいる可能性もあるようです。以前に摘発された特殊詐欺は35億円という相当な金額ですから、組織的犯行を思わせますね。実際、北海道に本拠を置く暴力団に上納されていたとの情報が飛び交っています」(同)」
渡邉容疑者らは特殊詐欺グループが摘発された後、フィリピン当局に拘束されて収容施設内に身を置きながらも、携帯電話を片手に今度は強盗の指示役として振舞っていたということになる。
「警察庁の露木康浩長官以下、最高幹部らは“どうして強盗殺人事件が発生するまで、摘発できなかったのか?”と怒り心頭だということです。フィリピンにいる渡邉容疑者らが浮上するまでそれほど時間はかからなかったので、過去の特殊詐欺と今回の強盗事件とがリンクすることはある程度、想定されていたのかもしれません。もう少しスピーディーな動きを当局がしていれば、実行役が荒々しい手口を取ることなく、最悪の事態を防げた可能性はありますね」(先のデスク)
日本を大きな社会不安に陥れた今回の一件。これを機に、かつての事案を総チェックして、本当の首謀者にたどり着くべく警察は総力を結集しているという。
デイリー新潮編集部