大阪市淀川区の2階建て住宅で2022年4月、階下の弁当店で働くベトナム国籍の女性(当時31歳)を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われた住人の元トラック運転手、山口利家(としや)被告(60)の裁判員裁判で、大阪地裁(中川綾子裁判長)は3日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。中川裁判長は「未来ある一人の女性が理不尽に命を奪われ、これからの夢を打ち砕かれた結果は重大だ」と指弾した。
桜の下、描いた夢半ば 妻は日本で殺された 判決によると、被告は22年4月3日朝、出勤したヴォ・ティ・レ・クインさんに「店長にも言われているから、貴重品を持ってきて」と声を掛けて自宅に誘い込んだ後、背後から首を絞めて殺害。現金約2万6000円を奪ったほか、遺体を室内に隠した。 弁護側は、被告はクインさんに金を借りるつもりだったと主張し、「大声を出されたため、絞め技で気絶させようとした」として殺意も否認。傷害致死と窃盗罪の適用にとどまると訴えたため、公判は強盗殺人罪が成立するかどうかが争点だった。 判決は、被告が所持金100円未満で生活に困窮する中、クインさんにうそを伝えて自室に誘い込んでおり、当初から金品を強取する目的だったと指摘。首を背後から強く絞め続けた状況から殺意もあったと判断できるとして、強盗殺人罪の成立を認めた。 中川裁判長は「金欲しさのあまりに身勝手で冷酷な犯行。遺族の悲しみも計り知れず、被告には重罪を犯したことへの反省がない」と述べ、検察側の求刑通り無期懲役を選択した。 判決の言い渡し後、中川裁判長は被告に「被害者の冥福を祈りながら刑に服してください」と説諭した。【安元久美子】
判決によると、被告は22年4月3日朝、出勤したヴォ・ティ・レ・クインさんに「店長にも言われているから、貴重品を持ってきて」と声を掛けて自宅に誘い込んだ後、背後から首を絞めて殺害。現金約2万6000円を奪ったほか、遺体を室内に隠した。
弁護側は、被告はクインさんに金を借りるつもりだったと主張し、「大声を出されたため、絞め技で気絶させようとした」として殺意も否認。傷害致死と窃盗罪の適用にとどまると訴えたため、公判は強盗殺人罪が成立するかどうかが争点だった。
判決は、被告が所持金100円未満で生活に困窮する中、クインさんにうそを伝えて自室に誘い込んでおり、当初から金品を強取する目的だったと指摘。首を背後から強く絞め続けた状況から殺意もあったと判断できるとして、強盗殺人罪の成立を認めた。
中川裁判長は「金欲しさのあまりに身勝手で冷酷な犯行。遺族の悲しみも計り知れず、被告には重罪を犯したことへの反省がない」と述べ、検察側の求刑通り無期懲役を選択した。
判決の言い渡し後、中川裁判長は被告に「被害者の冥福を祈りながら刑に服してください」と説諭した。【安元久美子】