1月17日、自身のツイッターに元妻を中傷する投稿をしたとして、元棋士の橋本崇載容疑者(39)が名誉毀損の疑いで逮捕された。橋本容疑者は金髪にパンチパーマ、紫色のワイシャツで対局に臨んだり、対局中にテレビカメラに視線を送るなどたびたび話題を呼んだ。段位は八段で「将棋界の異端児」や「ハッシ-」と呼ばれ、将棋ファンに限らず広く愛された。すでにツイッターアカウントは閉鎖されているが、このような内容を投稿していた。
【写真】週刊ポストに「大チョンボ」について語っていた橋本元棋士〈だから養育費も払わないクソ野郎がグチャグチャ言うなと言われたって 払いたくても払いようもない こんな理不尽にもずっと耐え続けて 替えの効かない仕事辞める羽目になって これがわからない世の中なんて無差別殺人起こしてから自殺したる どれだけ苦痛味わったかなんてわからんやろと思う〉 その人気棋士が突然の引退を宣言したのが2021年4月。背景にあったのは離婚トラブルだった。「メディアで語った内容によると、2019年7月、自宅に帰ると、妻が生まれたばかりの子供とともに姿を消していたそうです。橋本容疑者は息子にも会えず心身が疲労し、20キロも痩せてまるで別人のようでした。とてもではないが将棋を指せる状態ではなく、公式戦も1年以上休場することになった。体調も回復せず、将棋連盟に迷惑をかけられないという思いで引退届を提出したそうです」(将棋連盟関係者) 離婚後子供に会えない父親を取材した『わが子に会えない』(PHP研究所)の著者でノンフィクションライターの西牟田靖氏は、引退後の橋本容疑者と面識があったという。西牟田氏が語る。「引退後の橋本容疑者は妻が無断で別居を始めたことを『子の連れ去り』と主張し、親による子どもの連れ去りを違法とするための活動をしていて、その街頭イベントで知り合いました。そのときは理知的だと思いましたし、粗暴な面などまったく見られませんでしたので、まさか逮捕されるとは思いもしませんでした」 その後、西牟田氏と橋本容疑者は電話でやり取りを続けていたが、ある一言が逆鱗に触れたという。「彼について記事を書けないかと思い、事実確認なども含めて元妻にも取材をしたい旨を伝えると『なぜ妻に取材するのですか。それならもう取材を受けません』と断られてしまいました。それ以降は連絡を取れていません」 橋本容疑者は子供に会えない苦しみを西牟田氏に語っていたという。離婚後、子供に会えない父親の苦悩はいかほどなのか。西牟田氏が続ける。「まず言っておきたいのは、元妻にSNS上で暴言を吐くなど、彼がやったことに対しては同情の余地すらありません。 橋本容疑者含め取材した親は皆さんそうでしたが、子供というのは自分の分身のような存在で、かけがえのないものと感じています。それが母親に連れられて突如目の前からいなくなってしまうと、人格を破壊されるほどのダメージを負う人も少なくありません。人格破壊から、子供を取り戻そうと攻撃的になる人もいれば、絶望して自ら命を絶ってしまう人もいます。橋本容疑者の場合は前者で、攻撃的になった例と言えるでしょう。 しかし、誤解してほしくないのは、子供に会えない親がみんな暴力的だったり、自暴自棄になってしまうわけではありません。試行的面会交流などを経て精神が安定し、子供との関係が続いている人もいます。当初、橋本容疑者は少なくとも表向きは極端な感じはなかったのですが、その後のSNSの発言などを見ると、支えてくれる存在がないなど精神が安定せず、徐々に言動が過激化していったのでしょう」
〈だから養育費も払わないクソ野郎がグチャグチャ言うなと言われたって 払いたくても払いようもない こんな理不尽にもずっと耐え続けて 替えの効かない仕事辞める羽目になって これがわからない世の中なんて無差別殺人起こしてから自殺したる どれだけ苦痛味わったかなんてわからんやろと思う〉
その人気棋士が突然の引退を宣言したのが2021年4月。背景にあったのは離婚トラブルだった。
「メディアで語った内容によると、2019年7月、自宅に帰ると、妻が生まれたばかりの子供とともに姿を消していたそうです。橋本容疑者は息子にも会えず心身が疲労し、20キロも痩せてまるで別人のようでした。とてもではないが将棋を指せる状態ではなく、公式戦も1年以上休場することになった。体調も回復せず、将棋連盟に迷惑をかけられないという思いで引退届を提出したそうです」(将棋連盟関係者)
離婚後子供に会えない父親を取材した『わが子に会えない』(PHP研究所)の著者でノンフィクションライターの西牟田靖氏は、引退後の橋本容疑者と面識があったという。西牟田氏が語る。
「引退後の橋本容疑者は妻が無断で別居を始めたことを『子の連れ去り』と主張し、親による子どもの連れ去りを違法とするための活動をしていて、その街頭イベントで知り合いました。そのときは理知的だと思いましたし、粗暴な面などまったく見られませんでしたので、まさか逮捕されるとは思いもしませんでした」
その後、西牟田氏と橋本容疑者は電話でやり取りを続けていたが、ある一言が逆鱗に触れたという。
「彼について記事を書けないかと思い、事実確認なども含めて元妻にも取材をしたい旨を伝えると『なぜ妻に取材するのですか。それならもう取材を受けません』と断られてしまいました。それ以降は連絡を取れていません」
橋本容疑者は子供に会えない苦しみを西牟田氏に語っていたという。離婚後、子供に会えない父親の苦悩はいかほどなのか。西牟田氏が続ける。
「まず言っておきたいのは、元妻にSNS上で暴言を吐くなど、彼がやったことに対しては同情の余地すらありません。
橋本容疑者含め取材した親は皆さんそうでしたが、子供というのは自分の分身のような存在で、かけがえのないものと感じています。それが母親に連れられて突如目の前からいなくなってしまうと、人格を破壊されるほどのダメージを負う人も少なくありません。人格破壊から、子供を取り戻そうと攻撃的になる人もいれば、絶望して自ら命を絶ってしまう人もいます。橋本容疑者の場合は前者で、攻撃的になった例と言えるでしょう。
しかし、誤解してほしくないのは、子供に会えない親がみんな暴力的だったり、自暴自棄になってしまうわけではありません。試行的面会交流などを経て精神が安定し、子供との関係が続いている人もいます。当初、橋本容疑者は少なくとも表向きは極端な感じはなかったのですが、その後のSNSの発言などを見ると、支えてくれる存在がないなど精神が安定せず、徐々に言動が過激化していったのでしょう」