奈良の高校野球の名門で、甲子園も常連の天理高校。2022年の夏の甲子園にも出場し、山梨学院との1回戦に勝利して2回戦に進出している。
【写真】自分の席を離れて、X氏のカバンの前に立つA子 春のセンバツに続いて夏も甲子園出場を果たした現3年生は実力のある選手が揃い、チームを牽引した戸井零士主将がドラフト5位で阪神に入団することが決まったほか、有名大学への野球推薦を勝ち取ったメンバーも多い。2022年夏の甲子園に出場した天理高校 時事通信社

しかし夏の甲子園で、天理のアルプススタンドの雰囲気は最悪だったという。主力選手の母親による“ある窃盗事件”が原因だった。天理高校野球部の関係者がこう打ち明ける。「事件が起きたのは7月28日に行われた奈良県大会の決勝戦でした。相手の生駒高校がコロナの影響で主力選手が出られなかったこともあり、21-0の圧勝で5年ぶりの夏の甲子園を決めました。しかし試合の直後、3年生の父親であるXさんが『財布がない』と言ったんです。甲子園が決まったおめでたい雰囲気を壊さないように『車に忘れたかも』と言っていたのですが、結局見つからなかったようです。実は保護者の間で、1年くらい前から財布や現金が無くなる事件が相次いでいて、またか……という雰囲気が広がりました。しかもXさんは会社を経営していて、財布には100万円以上の現金が入っていたんです」 それから数日後、保護者の元に寄せられた“疑惑の写真”によって騒動は大きくなる。「今の3年生で112代目になる天理の野球部はファンも多く、立派なカメラで試合の写真を撮ってくれるんです。県大会決勝ということで、今回も数千枚くらいの写真をファンの方や保護者から集まりました。その中に、ある主力選手Aくんの母親のA子さんが、Xさんのカバンの間近に立っている姿が写っていたんです」(同前)「ついに『私が盗った』と認めたんです」 文春オンライン取材班は、その“疑惑の写真”を入手。捕手を撮ろうとした写真の背景に、バックネット裏でグラウンドに背を向けて確かに女性がカバンの前に立っている。5回が終わりグラウンド整備などを行う時間帯の写真だという。Xさんが試合中に席を外していた唯一のタイミングだった。「A子さんは少しぽっちゃりして“かまってちゃん”みたいなゆるい雰囲気なので、保護者内で少しイジられることもあるキャラでした。しかし写真を見たXさんが電話で問い詰めると、最初は『水を捨てに下の方に降りていただけ』と否定したそうです。しかしつじつまが合わない発言が続くA子さんをXさんが追及すると、ついに『私が盗った』と認めたんです」(同前) そしてXさん以前にも財布や現金が無くなっていた件についても確認すると、A子はそれも認めた。「A子さんは3年生や2年生の母親などからもお金を盗んだことを認めました。この“窃盗事件”が3年生の保護者内で知れ渡ったのは甲子園開幕の直前の8月4日ごろだったので、雰囲気は最悪でした。しかもA子さんは何食わぬ顔で甲子園のスタンドに来ていて、事情を知らない新聞社の若い記者さんからインタビューさえ受けていました」(同前) 天理高校の夏は、8月12日の2回戦で海星(長崎)に敗れて終わった。甲子園の余韻が残る9月、A子に“窃盗事件”の説明を求める保護者会が開かれ、その詳細な証言を入手することができた。「最後の夏というとても大切な時期に犯罪を犯してしまいました。応援を心からできなかったり、私が(言うことが)二転三転してしまったり、謝っても許してもらえることじゃないけど、本当に取り返しがつかないことを謝罪したくてきました。本当に申し訳ありません」(保護者会でのA子さんの発言)「お財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました」「まず最初に●●さんの財布を盗ってしまいました。天理から奈良に行く途中にお金だけ盗って(財布は)捨ててしまいました。近くのコンビニのゴミ箱でした。▲▲さんのお財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました。 最後、生駒戦の決勝の日でした。最初は水を捨てにいきました。そうしたらXさんのバッグを見つけました。最初は置いてあるなという思いでしたが、生活に困っていたので盗ってしまいました。中に入っていた領収書や薬はすぐに車で処分しました。財布の中の金額は115万円ということだったんですけど、(借金の返済などで使ったため)お返しするときには10万円しかありませんでした」(同前) 保護者会では、時折言葉に詰まりながらも淡々と話すA子を、他の保護者が詰問していたという。A子は財布を盗んだ理由について「1年生の時の最初の保護者会ですべての行事に参加すると言った手前、住居のある九州から毎週のように奈良や各地に遠征する費用が大変だった」と釈明。しかし他の保護者の多くは納得しておらず、そのうちの1人はこう憤る。「『別の人を嵌めるために財布を盗った』と言ったり、当初は財布から金だけ抜いたと言っていたのが財布ごと捨てたと内容が変わったり、発言が二転三転する。謝罪に一緒に来た“夫”とは、だいぶ前に離婚していたことをこの時の保護者会で初めて明かしました。A子は福岡に住んでいるのですが、練習試合にも欠かさず来てホテルに連泊したり、娘をUSJに連れていったり野球部に差し入れをしたりとお金持ちのイメージがありました。ブランド品が好きだということも聞いたことがあります。しかしピアノの講師をしているなどと言っていたのも嘘で無職だったらしいんです。A子は周囲にずっと嘘をつき続けていたんです」 前出の野球部関係者もこう明かす。「本人が盗んだことを認めたのは3件ですが、野球部内でお金がなくなったケースが他にもあります。Aくんの母親は『カバンから財布を取り出したが思いとどまったケースも1件ある』とも話していて、被害の全容はよくわからないんです」 さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)天理高校は「学校としてお答えすることはできません」 保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。 ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者) 天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。 A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
春のセンバツに続いて夏も甲子園出場を果たした現3年生は実力のある選手が揃い、チームを牽引した戸井零士主将がドラフト5位で阪神に入団することが決まったほか、有名大学への野球推薦を勝ち取ったメンバーも多い。
2022年夏の甲子園に出場した天理高校 時事通信社
しかし夏の甲子園で、天理のアルプススタンドの雰囲気は最悪だったという。主力選手の母親による“ある窃盗事件”が原因だった。天理高校野球部の関係者がこう打ち明ける。
「事件が起きたのは7月28日に行われた奈良県大会の決勝戦でした。相手の生駒高校がコロナの影響で主力選手が出られなかったこともあり、21-0の圧勝で5年ぶりの夏の甲子園を決めました。しかし試合の直後、3年生の父親であるXさんが『財布がない』と言ったんです。甲子園が決まったおめでたい雰囲気を壊さないように『車に忘れたかも』と言っていたのですが、結局見つからなかったようです。実は保護者の間で、1年くらい前から財布や現金が無くなる事件が相次いでいて、またか……という雰囲気が広がりました。しかもXさんは会社を経営していて、財布には100万円以上の現金が入っていたんです」
それから数日後、保護者の元に寄せられた“疑惑の写真”によって騒動は大きくなる。
「今の3年生で112代目になる天理の野球部はファンも多く、立派なカメラで試合の写真を撮ってくれるんです。県大会決勝ということで、今回も数千枚くらいの写真をファンの方や保護者から集まりました。その中に、ある主力選手Aくんの母親のA子さんが、Xさんのカバンの間近に立っている姿が写っていたんです」(同前)
文春オンライン取材班は、その“疑惑の写真”を入手。捕手を撮ろうとした写真の背景に、バックネット裏でグラウンドに背を向けて確かに女性がカバンの前に立っている。5回が終わりグラウンド整備などを行う時間帯の写真だという。Xさんが試合中に席を外していた唯一のタイミングだった。
「A子さんは少しぽっちゃりして“かまってちゃん”みたいなゆるい雰囲気なので、保護者内で少しイジられることもあるキャラでした。しかし写真を見たXさんが電話で問い詰めると、最初は『水を捨てに下の方に降りていただけ』と否定したそうです。しかしつじつまが合わない発言が続くA子さんをXさんが追及すると、ついに『私が盗った』と認めたんです」(同前) そしてXさん以前にも財布や現金が無くなっていた件についても確認すると、A子はそれも認めた。「A子さんは3年生や2年生の母親などからもお金を盗んだことを認めました。この“窃盗事件”が3年生の保護者内で知れ渡ったのは甲子園開幕の直前の8月4日ごろだったので、雰囲気は最悪でした。しかもA子さんは何食わぬ顔で甲子園のスタンドに来ていて、事情を知らない新聞社の若い記者さんからインタビューさえ受けていました」(同前) 天理高校の夏は、8月12日の2回戦で海星(長崎)に敗れて終わった。甲子園の余韻が残る9月、A子に“窃盗事件”の説明を求める保護者会が開かれ、その詳細な証言を入手することができた。「最後の夏というとても大切な時期に犯罪を犯してしまいました。応援を心からできなかったり、私が(言うことが)二転三転してしまったり、謝っても許してもらえることじゃないけど、本当に取り返しがつかないことを謝罪したくてきました。本当に申し訳ありません」(保護者会でのA子さんの発言)「お財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました」「まず最初に●●さんの財布を盗ってしまいました。天理から奈良に行く途中にお金だけ盗って(財布は)捨ててしまいました。近くのコンビニのゴミ箱でした。▲▲さんのお財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました。 最後、生駒戦の決勝の日でした。最初は水を捨てにいきました。そうしたらXさんのバッグを見つけました。最初は置いてあるなという思いでしたが、生活に困っていたので盗ってしまいました。中に入っていた領収書や薬はすぐに車で処分しました。財布の中の金額は115万円ということだったんですけど、(借金の返済などで使ったため)お返しするときには10万円しかありませんでした」(同前) 保護者会では、時折言葉に詰まりながらも淡々と話すA子を、他の保護者が詰問していたという。A子は財布を盗んだ理由について「1年生の時の最初の保護者会ですべての行事に参加すると言った手前、住居のある九州から毎週のように奈良や各地に遠征する費用が大変だった」と釈明。しかし他の保護者の多くは納得しておらず、そのうちの1人はこう憤る。「『別の人を嵌めるために財布を盗った』と言ったり、当初は財布から金だけ抜いたと言っていたのが財布ごと捨てたと内容が変わったり、発言が二転三転する。謝罪に一緒に来た“夫”とは、だいぶ前に離婚していたことをこの時の保護者会で初めて明かしました。A子は福岡に住んでいるのですが、練習試合にも欠かさず来てホテルに連泊したり、娘をUSJに連れていったり野球部に差し入れをしたりとお金持ちのイメージがありました。ブランド品が好きだということも聞いたことがあります。しかしピアノの講師をしているなどと言っていたのも嘘で無職だったらしいんです。A子は周囲にずっと嘘をつき続けていたんです」 前出の野球部関係者もこう明かす。「本人が盗んだことを認めたのは3件ですが、野球部内でお金がなくなったケースが他にもあります。Aくんの母親は『カバンから財布を取り出したが思いとどまったケースも1件ある』とも話していて、被害の全容はよくわからないんです」 さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)天理高校は「学校としてお答えすることはできません」 保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。 ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者) 天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。 A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「A子さんは少しぽっちゃりして“かまってちゃん”みたいなゆるい雰囲気なので、保護者内で少しイジられることもあるキャラでした。しかし写真を見たXさんが電話で問い詰めると、最初は『水を捨てに下の方に降りていただけ』と否定したそうです。しかしつじつまが合わない発言が続くA子さんをXさんが追及すると、ついに『私が盗った』と認めたんです」(同前)
そしてXさん以前にも財布や現金が無くなっていた件についても確認すると、A子はそれも認めた。
「A子さんは3年生や2年生の母親などからもお金を盗んだことを認めました。この“窃盗事件”が3年生の保護者内で知れ渡ったのは甲子園開幕の直前の8月4日ごろだったので、雰囲気は最悪でした。しかもA子さんは何食わぬ顔で甲子園のスタンドに来ていて、事情を知らない新聞社の若い記者さんからインタビューさえ受けていました」(同前)
天理高校の夏は、8月12日の2回戦で海星(長崎)に敗れて終わった。甲子園の余韻が残る9月、A子に“窃盗事件”の説明を求める保護者会が開かれ、その詳細な証言を入手することができた。「最後の夏というとても大切な時期に犯罪を犯してしまいました。応援を心からできなかったり、私が(言うことが)二転三転してしまったり、謝っても許してもらえることじゃないけど、本当に取り返しがつかないことを謝罪したくてきました。本当に申し訳ありません」(保護者会でのA子さんの発言)「お財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました」「まず最初に●●さんの財布を盗ってしまいました。天理から奈良に行く途中にお金だけ盗って(財布は)捨ててしまいました。近くのコンビニのゴミ箱でした。▲▲さんのお財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました。 最後、生駒戦の決勝の日でした。最初は水を捨てにいきました。そうしたらXさんのバッグを見つけました。最初は置いてあるなという思いでしたが、生活に困っていたので盗ってしまいました。中に入っていた領収書や薬はすぐに車で処分しました。財布の中の金額は115万円ということだったんですけど、(借金の返済などで使ったため)お返しするときには10万円しかありませんでした」(同前) 保護者会では、時折言葉に詰まりながらも淡々と話すA子を、他の保護者が詰問していたという。A子は財布を盗んだ理由について「1年生の時の最初の保護者会ですべての行事に参加すると言った手前、住居のある九州から毎週のように奈良や各地に遠征する費用が大変だった」と釈明。しかし他の保護者の多くは納得しておらず、そのうちの1人はこう憤る。「『別の人を嵌めるために財布を盗った』と言ったり、当初は財布から金だけ抜いたと言っていたのが財布ごと捨てたと内容が変わったり、発言が二転三転する。謝罪に一緒に来た“夫”とは、だいぶ前に離婚していたことをこの時の保護者会で初めて明かしました。A子は福岡に住んでいるのですが、練習試合にも欠かさず来てホテルに連泊したり、娘をUSJに連れていったり野球部に差し入れをしたりとお金持ちのイメージがありました。ブランド品が好きだということも聞いたことがあります。しかしピアノの講師をしているなどと言っていたのも嘘で無職だったらしいんです。A子は周囲にずっと嘘をつき続けていたんです」 前出の野球部関係者もこう明かす。「本人が盗んだことを認めたのは3件ですが、野球部内でお金がなくなったケースが他にもあります。Aくんの母親は『カバンから財布を取り出したが思いとどまったケースも1件ある』とも話していて、被害の全容はよくわからないんです」 さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)天理高校は「学校としてお答えすることはできません」 保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。 ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者) 天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。 A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
天理高校の夏は、8月12日の2回戦で海星(長崎)に敗れて終わった。甲子園の余韻が残る9月、A子に“窃盗事件”の説明を求める保護者会が開かれ、その詳細な証言を入手することができた。
「最後の夏というとても大切な時期に犯罪を犯してしまいました。応援を心からできなかったり、私が(言うことが)二転三転してしまったり、謝っても許してもらえることじゃないけど、本当に取り返しがつかないことを謝罪したくてきました。本当に申し訳ありません」(保護者会でのA子さんの発言)
「まず最初に●●さんの財布を盗ってしまいました。天理から奈良に行く途中にお金だけ盗って(財布は)捨ててしまいました。近くのコンビニのゴミ箱でした。▲▲さんのお財布を盗って、中のお金だけ盗ってコンビニで捨てました。
最後、生駒戦の決勝の日でした。最初は水を捨てにいきました。そうしたらXさんのバッグを見つけました。最初は置いてあるなという思いでしたが、生活に困っていたので盗ってしまいました。中に入っていた領収書や薬はすぐに車で処分しました。財布の中の金額は115万円ということだったんですけど、(借金の返済などで使ったため)お返しするときには10万円しかありませんでした」(同前)
保護者会では、時折言葉に詰まりながらも淡々と話すA子を、他の保護者が詰問していたという。A子は財布を盗んだ理由について「1年生の時の最初の保護者会ですべての行事に参加すると言った手前、住居のある九州から毎週のように奈良や各地に遠征する費用が大変だった」と釈明。しかし他の保護者の多くは納得しておらず、そのうちの1人はこう憤る。「『別の人を嵌めるために財布を盗った』と言ったり、当初は財布から金だけ抜いたと言っていたのが財布ごと捨てたと内容が変わったり、発言が二転三転する。謝罪に一緒に来た“夫”とは、だいぶ前に離婚していたことをこの時の保護者会で初めて明かしました。A子は福岡に住んでいるのですが、練習試合にも欠かさず来てホテルに連泊したり、娘をUSJに連れていったり野球部に差し入れをしたりとお金持ちのイメージがありました。ブランド品が好きだということも聞いたことがあります。しかしピアノの講師をしているなどと言っていたのも嘘で無職だったらしいんです。A子は周囲にずっと嘘をつき続けていたんです」 前出の野球部関係者もこう明かす。「本人が盗んだことを認めたのは3件ですが、野球部内でお金がなくなったケースが他にもあります。Aくんの母親は『カバンから財布を取り出したが思いとどまったケースも1件ある』とも話していて、被害の全容はよくわからないんです」 さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)天理高校は「学校としてお答えすることはできません」 保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。 ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者) 天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。 A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
保護者会では、時折言葉に詰まりながらも淡々と話すA子を、他の保護者が詰問していたという。A子は財布を盗んだ理由について「1年生の時の最初の保護者会ですべての行事に参加すると言った手前、住居のある九州から毎週のように奈良や各地に遠征する費用が大変だった」と釈明。しかし他の保護者の多くは納得しておらず、そのうちの1人はこう憤る。
「『別の人を嵌めるために財布を盗った』と言ったり、当初は財布から金だけ抜いたと言っていたのが財布ごと捨てたと内容が変わったり、発言が二転三転する。謝罪に一緒に来た“夫”とは、だいぶ前に離婚していたことをこの時の保護者会で初めて明かしました。A子は福岡に住んでいるのですが、練習試合にも欠かさず来てホテルに連泊したり、娘をUSJに連れていったり野球部に差し入れをしたりとお金持ちのイメージがありました。ブランド品が好きだということも聞いたことがあります。しかしピアノの講師をしているなどと言っていたのも嘘で無職だったらしいんです。A子は周囲にずっと嘘をつき続けていたんです」
前出の野球部関係者もこう明かす。
「本人が盗んだことを認めたのは3件ですが、野球部内でお金がなくなったケースが他にもあります。Aくんの母親は『カバンから財布を取り出したが思いとどまったケースも1件ある』とも話していて、被害の全容はよくわからないんです」
さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)天理高校は「学校としてお答えすることはできません」 保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。 ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者) 天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。 A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。
「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)
保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。
ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。
「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者) 天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。 A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者)
天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。
A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))