大阪府門真市で2016年、自宅で就寝中だった一家4人が殺傷された事件を巡り、遺族が殺人罪などで懲役30年の実刑判決が確定した坂部(旧姓・小林)裕真受刑者(30)とその母親に計7200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は25日、2人に計約6200万円の支払いを命じた。受刑者は刑事裁判で精神疾患の影響を指摘されており、横田典子裁判長は症状の悪化を認識しながら放置したとして、母親の注意義務違反も認めた。
遺族悲しみ今も 大阪・ミナミ通り魔10年 裁判は無期懲役確定 遺族側の代理人弁護士によると、成人が起こした事件で保護者の監督責任を認定するのは珍しいという。 刑事裁判の確定判決によると、坂部受刑者は16年10月19日未明、面識のなかった川上幸伸さん(当時43歳)方に侵入して一家を刃物で襲撃。川上さんを殺害し、長女と次女、長男に重軽傷を負わせた。受刑者は統合失調症の影響で心神耗弱状態だったと認め、検察側の死刑求刑を退けた。 地裁判決によると、坂部受刑者は14年12月に医療保護入院したが、母親の医療費滞納などで翌15年3月に退院した。病院側は訪問看護や精神保健福祉士の家庭訪問を提案したものの、母親は拒んでいたという。 横田裁判長は、同居していた受刑者の症状悪化や生活態度も踏まえ、「第三者へ危害を与える危険性が切迫していることは認識できた」と指摘。監督者だった母親の注意義務違反と事件発生との因果関係を認定した。 川上さんの妻千春さん(49)や負傷した子供3人らは19年10月に提訴し、受刑者と母親の連帯責任を主張していた。 判決後に記者会見した千春さんは、今月19日が川上さんの命日だったことに触れ、「主人が導いてくれたのかなと思ってホッとしている。『家族みんなで頑張ったよ』と報告したい」と涙ながらに語った。【山本康介】
遺族側の代理人弁護士によると、成人が起こした事件で保護者の監督責任を認定するのは珍しいという。
刑事裁判の確定判決によると、坂部受刑者は16年10月19日未明、面識のなかった川上幸伸さん(当時43歳)方に侵入して一家を刃物で襲撃。川上さんを殺害し、長女と次女、長男に重軽傷を負わせた。受刑者は統合失調症の影響で心神耗弱状態だったと認め、検察側の死刑求刑を退けた。
地裁判決によると、坂部受刑者は14年12月に医療保護入院したが、母親の医療費滞納などで翌15年3月に退院した。病院側は訪問看護や精神保健福祉士の家庭訪問を提案したものの、母親は拒んでいたという。
横田裁判長は、同居していた受刑者の症状悪化や生活態度も踏まえ、「第三者へ危害を与える危険性が切迫していることは認識できた」と指摘。監督者だった母親の注意義務違反と事件発生との因果関係を認定した。
川上さんの妻千春さん(49)や負傷した子供3人らは19年10月に提訴し、受刑者と母親の連帯責任を主張していた。
判決後に記者会見した千春さんは、今月19日が川上さんの命日だったことに触れ、「主人が導いてくれたのかなと思ってホッとしている。『家族みんなで頑張ったよ』と報告したい」と涙ながらに語った。【山本康介】