キムタクが岐阜にやってくる――。岐阜市で11月6日に開催される「ぎふ信長まつり」の最大の呼び物「信長公騎馬武者行列」で、俳優の木村拓哉さんが織田信長役を務め、市中心部をパレードする。9月28日に市が計画を発表すると、地元で大きな話題に。観覧希望などの参加申し込みが殺到するが、コロナ禍での密対策や警備態勢などの難題も持ち上がり、事務局を担う市などは対応に追われている。
【写真】凜々しい信長姿のキムタクをポスターで 信長まつりは1957年に始まった伝統のイベント。武者行列では市民らが信長や濃姫、斎藤道三、明智光秀ら岐阜ゆかりの人物に扮(ふん)し、馬と共に練り歩く。コロナ禍で2020、21両年は中止となり、今年は11月5、6両日に3年ぶりに開催される。 2009年には同市出身の俳優、伊藤英明さんが信長役を務め、2日間で計約50万人が訪れたとされる。伊藤さんは今回も特別出演し、濃姫の侍従を演じる。 人気俳優2人が登場する形となったが、実は市によると、今年は馬の調達が順調に進まず、当初は行列を行う予定はなかったという。 しかし木村さんが信長役で主演し、伊藤さんも共演する映画「THE LEGEND & BUTTERFLY」(来年1月公開予定)を製作する東映から、宣伝を兼ねて2人を行列に派遣したいとの話が「舞い込んできた」(市関係者)。2人の出演料はなく、馬や衣装も東映が用意するという。市にとっては想定外の話で、急きょ準備が始まった。 2人は市中心部の金華橋通りを北に向かって約1キロパレードする。その後には、さらに映画の公開記念トークイベントにも出演する。市は感染対策と見物客の事故を防ぐため、パレード沿道の1平方メートルに入る人数を2人とし、観覧者数を1万5000人程度に制限すると決めた。 9月28日に計画を発表すると問い合わせの電話が相次ぎ、観覧の抽選を申し込むホームページへのアクセスが殺到した。1件で4人まで、市外からの応募も可能で20日まで受け付け中だが、11日時点で17万3391件、58万1694人分の応募があった。トークイベントは往復はがきで別に申し込む。 さらに市は警備に万全を期すため、警備費として約3150万円を盛り込んだ補正予算案を9月の定例市議会に提出し、可決された。警備会社にガードマンを派遣してもらうほか、観覧エリアに複数のフェンスを設け、見物客が木村さんや伊藤さんと共に移動するのを防ぐ計画だ。 警備の一翼を担う岐阜県警も急ピッチで準備を進めている。県警本部と、まつり会場が管内の岐阜中署を中心に計画を練るが、ある県警幹部は政治家などに対する要人警護とは違う面もあるとしつつ「安倍晋三元首相の銃撃事件も踏まえないといけない」と語る。 幹部によると、当日は2人の周辺の警備に加え、大勢の見物客が将棋倒しになる事故も警戒する必要がある。「ネームバリューのある俳優が来るので、過去の岐阜での雑踏警備の『焼き直し』ではいけない」と当日に向け気を引き締める。【黒詰拓也】
信長まつりは1957年に始まった伝統のイベント。武者行列では市民らが信長や濃姫、斎藤道三、明智光秀ら岐阜ゆかりの人物に扮(ふん)し、馬と共に練り歩く。コロナ禍で2020、21両年は中止となり、今年は11月5、6両日に3年ぶりに開催される。
2009年には同市出身の俳優、伊藤英明さんが信長役を務め、2日間で計約50万人が訪れたとされる。伊藤さんは今回も特別出演し、濃姫の侍従を演じる。
人気俳優2人が登場する形となったが、実は市によると、今年は馬の調達が順調に進まず、当初は行列を行う予定はなかったという。
しかし木村さんが信長役で主演し、伊藤さんも共演する映画「THE LEGEND & BUTTERFLY」(来年1月公開予定)を製作する東映から、宣伝を兼ねて2人を行列に派遣したいとの話が「舞い込んできた」(市関係者)。2人の出演料はなく、馬や衣装も東映が用意するという。市にとっては想定外の話で、急きょ準備が始まった。
2人は市中心部の金華橋通りを北に向かって約1キロパレードする。その後には、さらに映画の公開記念トークイベントにも出演する。市は感染対策と見物客の事故を防ぐため、パレード沿道の1平方メートルに入る人数を2人とし、観覧者数を1万5000人程度に制限すると決めた。
9月28日に計画を発表すると問い合わせの電話が相次ぎ、観覧の抽選を申し込むホームページへのアクセスが殺到した。1件で4人まで、市外からの応募も可能で20日まで受け付け中だが、11日時点で17万3391件、58万1694人分の応募があった。トークイベントは往復はがきで別に申し込む。
さらに市は警備に万全を期すため、警備費として約3150万円を盛り込んだ補正予算案を9月の定例市議会に提出し、可決された。警備会社にガードマンを派遣してもらうほか、観覧エリアに複数のフェンスを設け、見物客が木村さんや伊藤さんと共に移動するのを防ぐ計画だ。
警備の一翼を担う岐阜県警も急ピッチで準備を進めている。県警本部と、まつり会場が管内の岐阜中署を中心に計画を練るが、ある県警幹部は政治家などに対する要人警護とは違う面もあるとしつつ「安倍晋三元首相の銃撃事件も踏まえないといけない」と語る。
幹部によると、当日は2人の周辺の警備に加え、大勢の見物客が将棋倒しになる事故も警戒する必要がある。「ネームバリューのある俳優が来るので、過去の岐阜での雑踏警備の『焼き直し』ではいけない」と当日に向け気を引き締める。【黒詰拓也】