マスクを外すことはなかった。妨害目的で新型コロナウイルスのワクチン接種会場に侵入したとして、建造物侵入罪に問われた反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の元リーダー格だった倉岡宏行被告(43)ら5人の初公判が6日に東京地裁で行われ、5人とも起訴内容を全面的に認めた。支援者がノーマスクで傍聴席に駆けつけるなか、きっちりマスク着用であっさりと容疑を認めて、犂依遒銑瓩靴秦匆被告。メンバーの脱退が相次ぐ「神真都Q会」は青色吐息だ。
もはやかつての主義主張は捨ててしまったのか? この日、神真都Q会のリーダー格だった倉岡被告は、紺色のスーツをビシッと着て出廷。裁判長が起訴状を読み上げると、今年3月から複数回にわたって都内のワクチン接種会場に建造物侵入を行ったことについて「間違いありません」と認め、退廷時には傍聴席にいた父で俳優の岡崎二朗とアイコンタクトを取る場面もあった。
この日は朝から支援者10人以上が倉岡被告らの初公判を傍聴しようと、ノーマスクで行列。地裁関係者が拡声器でマスクを着用しないと傍聴できないとアナウンスしてもお構いなしだ。数人が傍聴券を得て法廷に入ったが、裁判長にマスク着用を呼びかけられても首尾一貫ノーマスクで、きっちりマスクを着用して入廷した5人の被告とは対照的だった。
公判中、一部の一般傍聴者がマスクを外すと、マスクにフェースガードまで着けた法廷警備員が注意して着用を促す場面があったが、なぜか堂々ノーマスクで傍聴席の中央に陣取る支援者たちが注意される場面はなし。これには公判後、一般傍聴者が「どうして同じノーマスクだった神真都Q会の関係者は注意されなかったのか!?」と、マスク着用の基準を疑問視する声もあった。
神真都Q会は昨年12月に結成。SNSやネットを中心に米国の極右が陰謀論を展開する「Qアノン」の日本支部を自称し、反ワクチン・反マスクデモを月に1~2回のペースで行ってきた。このほかにも「エデン」と称するメンバーだけの居住区を作ったり、合成交渉と称して自治体との団体交渉まで行っている。
反ワクチン・反マスク団体はほかにも複数存在していたが、7月の参院選を前に存在感が大きくなっていた神真都Q会を危険視した警視庁公安部がリーダー格の倉岡被告の逮捕に踏み切ったことで、支援者らは一気に数を減らしていき、別の政治団体などに流れたり、吸収されていった。
そんななか、この日の初公判で明らかになったのは、倉岡被告が犖鬼管瓩砲覆辰討い燭海箸澄この手の反ワクチン・反マスクの団体は、強固に主義主張を貫き通すのが一般的だ。倉岡被告を含む5人の被告も公判中は手錠を外されているだけに、入廷後にマスクをはぎ取るだけでなく、主義主張を論じる場面も想定されたが、ノーマスクを貫く支援者たちを尻目に沈黙した。
この日は地裁周辺で反対デモは行われず、元リーダーの初公判の傍聴券を求めて集まったのも十数人ほどと、もはや結成当初の勢いはなくなっている。リーダー格を失った神真都Q会は、このまま霧散してしまうのか、それとも――。11月17日に第2回公判が行われる。