15日、岸田首相の選挙応援演説会場で爆発物が投げ込まれ、爆発した瞬間=和歌山市
岸田文雄首相の演説会場で爆発物が投げ込まれた事件で、爆発の瞬間を共同通信の記者が動画で捉えていた。首相の「番記者」として和歌山市の雑賀崎漁港に同行していた。突然飛んできて転がってきた筒状のものとの距離は、わずか1、2メートルほど。煙が噴き出し、焦げたような臭いが鼻を突く。無我夢中でスマートフォンの動画機能を起動させたが、危険物だと確信し、首相らを追うようにして退避した。事件は22日で1週間。
会場は混乱に陥った。首相は数十メートル先の車の陰へ。記者は、既に退避していた和歌山市長らの脇を通り越した地点で立ち止まった。筒状のものからは20メートル程度の距離。スマホを会場の方に向けながら首相の様子をうかがっていると「ドーン」という鈍い音が響いた。目を向けると、大量の白煙が立ち込めていた。
悲鳴や怒号が飛び交う。サイレンがけたたましく鳴る。「ただごとではない」。安倍晋三元首相銃撃事件が脳裏をかすめる。退避していなかったら…。体がこわばり、心拍数が高まるのを感じた。
15日、岸田首相の選挙応援演説会場で爆発物が投げ込まれ爆発する場面(上から下へ)=和歌山市