《内部文書入手》マクドナルドで1年半にわたって従業員39人の勤務時間改ざん 本社は「事実関係を確認中」 から続く
福島県にある「マクドナルド」の店舗で店長などを務めていた元従業員が、元勤務先である日本マクドナルドのフランチャイジー(加盟店)に対し、未払い残業代の支払いなどを請求したものの、拒絶されていたことが「週刊文春」の取材でわかった。
【資料入手】残業時間の長さに応じてボーナスがカットされる“謎規定”
世界最大のハンバーガーチェーンであるマクドナルド。現在、100以上の国と地域で4万を超える店舗を構える。日本では全国に約2960店舗を展開し、その7割以上がフランチャイズチェーン(FC)だ。
そんなマクドナルドを巡っては、茨城県にある友部店(笠間市)で店長が従業員38人の勤務時間を不正に減らし、自分の妻の勤務時間だけを増やす“勤怠記録の改ざん”に手を染めていた問題を「週刊文春 電子版」が6月7日配信の記事で報じた。
すると、記事の配信後、マクドナルドの元従業員Aさんから編集部に連絡があった。Aさんは「私も自分の勤務時間の改ざんをしていました」と告白した上で、元勤務先に対して「未払い残業代を請求したが支払いを拒否された」と明かしたのだった。
Aさんが勤務していたマクドナルドの店舗
Aさんが昨年まで社員として勤務していたのは、福島県と栃木県でマクドナルドを8店舗運営するフランチャイジー「キノシタ」。「残業をすると怒られるという文化」(Aさん)である同社で、仕事は多忙を極めたという。
「とにかく人手が足りなくて、休憩を取れないまま朝から晩まで働きっぱなしだったり、休日出勤しないとお店を回せなかったりすることが多くありました。でも、実際の残業時間を正直に記録すると、(36協定で定められた上限の)月45時間を簡単にオーバーしてしまう。超えそうになった時は会社から言われて、勤務時間を少なく修正させられました」(同前)
部下のバイト店員(クルー)と会社の板挟みになっていたAさん。自分自身の勤務時間の改ざんにも手を染めていたという。
「勤務時間を減らさないといけないプレッシャーは確実にある。そこで、『自分のマネジメント能力が足りていないのが悪い』という発想のもと、いけないこととは分かっていながらも、私たち社員が自ら休日を返上し、勤務時間を(少なく)書き換えていた」(同前)
さらにAさんのプレッシャーになっていたのが“謎のボーナス規定”だった。
「うちの会社には『残業時間の長さに応じてボーナスがカットされる』という謎の規定がある。“残業を許さない”という社風を象徴するような制度です」
小誌は、社員に配付された同社の「2023年上半期賞与支給概要」を入手。そこには〈時間外勤務調整〉として、20~25時間残業した人はボーナスからマイナス0.1カ月、25~30時間の人はマイナス0.2ヵ月、30時間以上の人はマイナス0.3カ月と記されている。
Aさんは「不安障害」と診断され、結局、昨年12月に退職を余儀なくされた。その後、「個別労働紛争解決制度」を利用して同社に未払い残業代などを請求したが、〈未払いは無いと判断します〉などと支払いを拒否されているという。 労働問題に詳しい長谷川正太郎法律事務所の比嘉直人弁護士が解説する。「そもそも、残業は会社が従業員に対して命じるものである以上、長時間残業の責任は会社側にある。実際の労働時間に見合った残業代が支払われない『サービス残業』はもちろん労働基準法違反にあたる。問題は、会社の経営陣がこの状況を認識していたかどうかだが、一般的な感覚として、現場の状況をフランチャイズオーナーが知らないということは現実的にありえない。もし、管理職の目が行き届かず、従業員たちが独自の判断で店を回さないといけない状況が起きているならば、それは法律の問題以前に経営者の資質に問題があると思われます」キノシタの木下弘社長「はいさようなら~!」 キノシタの木下弘社長を直撃すると、「(取材について)はい、あの、私受けるつもりはないです。来なくて結構です。失礼ですよ。結構です。そんな義務はありまっせ~ん! 失礼極まりないですよあなた。帰って下さ~い。はいさようなら~!」 などと語った。その後、改めてキノシタに質問状を送ったが、「お答えできない」と回答があった。日本マクドナルド本部はどう答えるか? 日本マクドナルド本部広報にキノシタでサービス残業が横行している実態について聞くと、「現在確認をしておりますが、個別の案件でもございますので、詳細のご回答は控えさせていただきます」。 その上で、各地のフランチャイジーで労働問題が相次いで発覚していることについては、こう回答した。「正しい労働時間の管理は労務管理の基本であり、正しい勤務時間の記録とそれに基づく給与の支給を行うよう、直営、フランチャイズに関わらず指導しております」 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、Aさんが勤務していた時に手を染めてしまった改ざんの詳しい内容、手取りは14万~15万円という過酷な労働環境、おとなしくサービス残業に応じていた理由、キノシタ社長との詳しい一問一答、フランチャイズチェーン制度が抱える問題など、マクドナルドの労働環境について詳しく報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
Aさんは「不安障害」と診断され、結局、昨年12月に退職を余儀なくされた。その後、「個別労働紛争解決制度」を利用して同社に未払い残業代などを請求したが、〈未払いは無いと判断します〉などと支払いを拒否されているという。
労働問題に詳しい長谷川正太郎法律事務所の比嘉直人弁護士が解説する。
「そもそも、残業は会社が従業員に対して命じるものである以上、長時間残業の責任は会社側にある。実際の労働時間に見合った残業代が支払われない『サービス残業』はもちろん労働基準法違反にあたる。問題は、会社の経営陣がこの状況を認識していたかどうかだが、一般的な感覚として、現場の状況をフランチャイズオーナーが知らないということは現実的にありえない。もし、管理職の目が行き届かず、従業員たちが独自の判断で店を回さないといけない状況が起きているならば、それは法律の問題以前に経営者の資質に問題があると思われます」
キノシタの木下弘社長「はいさようなら~!」 キノシタの木下弘社長を直撃すると、「(取材について)はい、あの、私受けるつもりはないです。来なくて結構です。失礼ですよ。結構です。そんな義務はありまっせ~ん! 失礼極まりないですよあなた。帰って下さ~い。はいさようなら~!」 などと語った。その後、改めてキノシタに質問状を送ったが、「お答えできない」と回答があった。日本マクドナルド本部はどう答えるか? 日本マクドナルド本部広報にキノシタでサービス残業が横行している実態について聞くと、「現在確認をしておりますが、個別の案件でもございますので、詳細のご回答は控えさせていただきます」。 その上で、各地のフランチャイジーで労働問題が相次いで発覚していることについては、こう回答した。「正しい労働時間の管理は労務管理の基本であり、正しい勤務時間の記録とそれに基づく給与の支給を行うよう、直営、フランチャイズに関わらず指導しております」 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、Aさんが勤務していた時に手を染めてしまった改ざんの詳しい内容、手取りは14万~15万円という過酷な労働環境、おとなしくサービス残業に応じていた理由、キノシタ社長との詳しい一問一答、フランチャイズチェーン制度が抱える問題など、マクドナルドの労働環境について詳しく報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
キノシタの木下弘社長を直撃すると、
「(取材について)はい、あの、私受けるつもりはないです。来なくて結構です。失礼ですよ。結構です。そんな義務はありまっせ~ん! 失礼極まりないですよあなた。帰って下さ~い。はいさようなら~!」
などと語った。その後、改めてキノシタに質問状を送ったが、「お答えできない」と回答があった。
日本マクドナルド本部広報にキノシタでサービス残業が横行している実態について聞くと、「現在確認をしておりますが、個別の案件でもございますので、詳細のご回答は控えさせていただきます」。
その上で、各地のフランチャイジーで労働問題が相次いで発覚していることについては、こう回答した。
「正しい労働時間の管理は労務管理の基本であり、正しい勤務時間の記録とそれに基づく給与の支給を行うよう、直営、フランチャイズに関わらず指導しております」
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、Aさんが勤務していた時に手を染めてしまった改ざんの詳しい内容、手取りは14万~15万円という過酷な労働環境、おとなしくサービス残業に応じていた理由、キノシタ社長との詳しい一問一答、フランチャイズチェーン制度が抱える問題など、マクドナルドの労働環境について詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)