物価高が続くなか、特に家計が不安定な高齢者は困窮。生活保護を受ける人が増加しています。しかし収入が少なく貯金もない、という状況でも、簡単に申請が通るとは限りません。みていきましょう。
厚生労働省『令和3年度被保護者調査』によると、生活保護を受けている人は200万8,950人。年齢別にみていくと、収入を得る手段が限られてくる高齢者ほど多く、65歳以上で105万4,760人。保護率は29.1‰となっています。
【年齢別・生活保護者(被保護人員)】0~19歳:181,670人(8.9‰)20~29歳:54,744人(4.3‰)30~39歳:94,018人(6.8‰)40~49歳:184,781人(10.3‰)50~59歳:280,730人(16.4‰)60~69歳:354,615人(23.2‰)70歳以上:858,392人(30.3‰)出所:厚生労働省『令和3年度被保護者調査』よりそもそも生活保護は、国や自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を日本国民に保障するため設けている公的扶助制度。世帯の収入だけでは国が定める保護基準(最低生活費)に満たない場合に受けられます。2000年、生活保護者(被保護人員)は103万1,770人。その後、増加の一途を辿り、リーマンショック、東日本大震災の影響で一気に増加。200万人を突破しましたが、2015年の212.7万人をピークに、昨今は減少傾向にあります。一方で、増加の一途を辿っているのが高齢者。70歳以上の被保護率は、2000年に17.3‰でしたが、2019年には30.0‰を突破。全世代において最大の増加幅を記録しています。年金生活者のうち44.0%が「収入のすべてが公的年金」、16.5%が「収入の8~10割未満が公的年金」*1。また将来に備える預貯金もないという世帯は70代で18.7%*2。低年金しかも預貯金もなしとなると生活するのは困難。そこで年金をもらいながら生活保護を受ける人が増えています。*1厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況』*2金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]2022年』生活保護を受けている人のうち、年金受給者は88万6,838人。さらに老齢・退職年人等を受け取っている人は67万9,143人。老齢基礎年金に限ると19万4,386人で、年金受取額は平均3万6,589円です。生活保護を申請しても…却下される理由――助けてください、これでは生活できませんそんな東京23区在住、年金が月3万6,000円、預貯金なしの70代男性がいたとしましょう。東京都23区の生活扶助基準額は7万4,220円。申請をすれば、年金との差額、3万8,000円ほどの生活保護を受けられる可能性があります。さらに賃貸暮らしであれば、東京都23区の住宅扶助基準額である5万3,700円がプラス。ただし実際の家賃のほうが安ければ、実際の家賃の額が支給されます。しかし、そう簡単に生活保護を受けられるわけではありません。介護・支援状態にないのであれば、役所の担当者からは「働いてみたらどうですか?」と提案される可能性が高いでしょう。ーーえっ、こっちは70代だよ、年金もらっているんだよ、高齢者だよ耳を疑うようなことかもしれませんが、最近は70代でも元気に働いている高齢者は大勢います。年金生活者だからといって特別扱いはされません。もちろん相当高齢の場合は、健康状態にあっても受理されることもあります。【生活保護申請却下の主な理由】・ 1ヵ月分の最低生活費よりも多い預貯金がある・ 持ち家・不動産・車などの売却できる財産を持っている・ 家族や親戚からの援助が見込める・ 働ける状況にある・ 福祉事務所に非協力的で不審な点がある など生活保護に関しては多くの批判も。国民年金の満額支給は6.6万円ほど。最低生活費を1万円ほど下回ります。しかしまじめに資産形成に取り組んできた人は、当然、保護を受けることはできません。一方で、現役時代に散財を繰り返し、場当たり的な生活をしてきた人は、反対に保護を受けられ、しかも1ヵ月の収入は生活保護を受けている人のほうが多くなることもしばしば……このような状況では、今後、ますます生活保護を受ける高齢者が増えると指摘する専門家も。さらに生活保護は年金保険料を払っていなくても受けることができます。そのことを悪用し、あえて保険料を払わないケースも。「最低限の生活ができればいい、いざとなったら生活保護を受ければいいし」とあえて、保険料を払わないというケースも。そんなほんのわずかな不真面目な人のせいで、生活保護にマイナスのイメージを持ち、申請を躊躇するケースも珍しくありません。色々な要件があり、またイメージも決して良いとはいえない生活保護ですが、生活困窮から抜け出すのに活用したい制度。申請が通るかどうかの判断は一概にいえない部分もあるので、まずは生活保護の実施機関となる福祉事務所に相談するのがいいでしょう。
【年齢別・生活保護者(被保護人員)】
0~19歳:181,670人(8.9‰)
20~29歳:54,744人(4.3‰)
30~39歳:94,018人(6.8‰)
40~49歳:184,781人(10.3‰)
50~59歳:280,730人(16.4‰)
60~69歳:354,615人(23.2‰)
70歳以上:858,392人(30.3‰)
出所:厚生労働省『令和3年度被保護者調査』より
そもそも生活保護は、国や自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を日本国民に保障するため設けている公的扶助制度。世帯の収入だけでは国が定める保護基準(最低生活費)に満たない場合に受けられます。
2000年、生活保護者(被保護人員)は103万1,770人。その後、増加の一途を辿り、リーマンショック、東日本大震災の影響で一気に増加。200万人を突破しましたが、2015年の212.7万人をピークに、昨今は減少傾向にあります。
一方で、増加の一途を辿っているのが高齢者。70歳以上の被保護率は、2000年に17.3‰でしたが、2019年には30.0‰を突破。全世代において最大の増加幅を記録しています。
年金生活者のうち44.0%が「収入のすべてが公的年金」、16.5%が「収入の8~10割未満が公的年金」*1。また将来に備える預貯金もないという世帯は70代で18.7%*2。低年金しかも預貯金もなしとなると生活するのは困難。そこで年金をもらいながら生活保護を受ける人が増えています。
*1厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況』
*2金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]2022年』
生活保護を受けている人のうち、年金受給者は88万6,838人。さらに老齢・退職年人等を受け取っている人は67万9,143人。老齢基礎年金に限ると19万4,386人で、年金受取額は平均3万6,589円です。
――助けてください、これでは生活できません
そんな東京23区在住、年金が月3万6,000円、預貯金なしの70代男性がいたとしましょう。東京都23区の生活扶助基準額は7万4,220円。申請をすれば、年金との差額、3万8,000円ほどの生活保護を受けられる可能性があります。さらに賃貸暮らしであれば、東京都23区の住宅扶助基準額である5万3,700円がプラス。ただし実際の家賃のほうが安ければ、実際の家賃の額が支給されます。
しかし、そう簡単に生活保護を受けられるわけではありません。介護・支援状態にないのであれば、役所の担当者からは「働いてみたらどうですか?」と提案される可能性が高いでしょう。
ーーえっ、こっちは70代だよ、年金もらっているんだよ、高齢者だよ
耳を疑うようなことかもしれませんが、最近は70代でも元気に働いている高齢者は大勢います。年金生活者だからといって特別扱いはされません。もちろん相当高齢の場合は、健康状態にあっても受理されることもあります。
【生活保護申請却下の主な理由】・ 1ヵ月分の最低生活費よりも多い預貯金がある・ 持ち家・不動産・車などの売却できる財産を持っている・ 家族や親戚からの援助が見込める・ 働ける状況にある・ 福祉事務所に非協力的で不審な点がある など生活保護に関しては多くの批判も。国民年金の満額支給は6.6万円ほど。最低生活費を1万円ほど下回ります。しかしまじめに資産形成に取り組んできた人は、当然、保護を受けることはできません。一方で、現役時代に散財を繰り返し、場当たり的な生活をしてきた人は、反対に保護を受けられ、しかも1ヵ月の収入は生活保護を受けている人のほうが多くなることもしばしば……このような状況では、今後、ますます生活保護を受ける高齢者が増えると指摘する専門家も。さらに生活保護は年金保険料を払っていなくても受けることができます。そのことを悪用し、あえて保険料を払わないケースも。「最低限の生活ができればいい、いざとなったら生活保護を受ければいいし」とあえて、保険料を払わないというケースも。そんなほんのわずかな不真面目な人のせいで、生活保護にマイナスのイメージを持ち、申請を躊躇するケースも珍しくありません。色々な要件があり、またイメージも決して良いとはいえない生活保護ですが、生活困窮から抜け出すのに活用したい制度。申請が通るかどうかの判断は一概にいえない部分もあるので、まずは生活保護の実施機関となる福祉事務所に相談するのがいいでしょう。
【生活保護申請却下の主な理由】
・ 1ヵ月分の最低生活費よりも多い預貯金がある
・ 持ち家・不動産・車などの売却できる財産を持っている
・ 家族や親戚からの援助が見込める
・ 働ける状況にある
・ 福祉事務所に非協力的で不審な点がある
など
生活保護に関しては多くの批判も。
国民年金の満額支給は6.6万円ほど。最低生活費を1万円ほど下回ります。しかしまじめに資産形成に取り組んできた人は、当然、保護を受けることはできません。一方で、現役時代に散財を繰り返し、場当たり的な生活をしてきた人は、反対に保護を受けられ、しかも1ヵ月の収入は生活保護を受けている人のほうが多くなることもしばしば……このような状況では、今後、ますます生活保護を受ける高齢者が増えると指摘する専門家も。
さらに生活保護は年金保険料を払っていなくても受けることができます。そのことを悪用し、あえて保険料を払わないケースも。「最低限の生活ができればいい、いざとなったら生活保護を受ければいいし」とあえて、保険料を払わないというケースも。そんなほんのわずかな不真面目な人のせいで、生活保護にマイナスのイメージを持ち、申請を躊躇するケースも珍しくありません。
色々な要件があり、またイメージも決して良いとはいえない生活保護ですが、生活困窮から抜け出すのに活用したい制度。申請が通るかどうかの判断は一概にいえない部分もあるので、まずは生活保護の実施機関となる福祉事務所に相談するのがいいでしょう。