「私が利用していた数年前よりも女性用風俗(以下女風)の店舗数はかなり増えています。セラピスト(風俗店で性的サービスを提供する男性従業員のこと)も数が増えたぶん質が下がっているようです。女風を利用する女性には男性器を見たくないとか、自分は舐められたいけど男性器は触りたくないという人もいますし、添い寝だけでいいと言う人もいます。それなのに触らせられた、舐めさせられたという話を聞きます。中には強引に挿入されてしまったという人もいます。
嫌なことをされたとか、して欲しいことをしてくれなかったという人は数えきれませんし、過度な色恋営業や詐欺まがいの演出も横行しています。お店にクレームを入れても『証拠はあるのか』と言われて泣き寝入りするケースが多いですね」(30代の元女風ユーザー・アスカさん)
女風は19年ごろから急増し現在は全国で300店ほどあると言われている。YouTubeやテレビなどで取り上げられて認知度が増したこと、お店のHPやセラピストのSNSなどで気軽にアクセスできることから利用者が増えたことが背景にある。
「心も身体も癒される」「女性も自由に性を謳歌できる」等々、メディアで取り上げられる女風は良い側面ばかりが喧伝されているが、実はセラピストの急増によるサービスの低下やトラブルも少なくない。
関西で上場企業の管理職をつとめる30代のミサキさん(仮名)も女風でトラブルを経験した1人だ。バツ1のシングルマザーである彼女はインターネットで普通のマッサージを検索していたところ、偶然女風サイトに行き当たり軽い気持ちで予約してみたという。
「一回り年下で顔が好みのイケメンセラピストを指名したのですが、会った瞬間に『”ババア”が来た』という顔をされました。手もつないでくれないし、マッサージもほとんどなくておざなりなセックスだけ。こんなものかなと思ったけど掲示板を見るとそうでもないらしい。ここでやめておけばよかったんですけど…」
本当の女風のサービスを知りたいと思ったミサキさんは同じ店のセラピストDと出会う。実はここからがミサキさんにとって本当のトラブルの始まりだった。
「Dは28歳で黒髪短髪の爽やか系。以前にババア呼ばわりされたことを言うと『どこがおばちゃんなん?可愛いやん』と言ってくれました。Dは接客も施術も最高でした。元ダンナやこれまでつき合ってきた男性とは相手の性欲を満たすためだけのセックスをしてきたような感覚でしたが、気持ち良くしてもらえてカワイイ、キレイと言ってもらえる。『私はまだ女なんだ』と、良い気分にさせてくれました。
2回目に会ったときには『他の誰にもこんなことせぇへんけど、俺がミサキさんと一緒にいたいから』と無料で時間を延長してくれたんです。Dに対してどんどん心を許すようになり、何でも話すようになっていました。今思えば、このときに私からお金が引っ張れるかどうか値踏みしていたんだと思います」
すぐにDはミサキさんに対してさまざまな要求をするようになっていく。
「『月3回は会いたいねん』と言うんです。『2時間だけ予約してくれたらもっと一緒にいてあげるから』と。そのうちに向こうから次回の日時まで指定するようになりました。Dは予約して会うと一生懸命サービスしてくれるので、それはそれで楽しく素敵な時間なのですが、私だって仕事は忙しいしお金もかかる。だんだん私の中で予約することそのものが目的のようになっていきました」
ミサキさんが言いなりなのを良いことに、さらにDの要求はエスカレート。Dに会う以前に会っていた他のセラピストとの予約をキャンセルさせたり、ミサキさんが子供のために夜は家を空けたくないからと頑なに断っていた「泊まり」をさせたりもした。
「お店には昼間の2時間で予約をして実際には泊まりで会う。つまり私はDに泊まり料金の5万円を払いますがお店には2時間の料金分しかバックされず、あとはDの懐に入ることになります。私に損はありませんが、お店が厳重に禁止している行為なので気が進みませんでした。でも、もちろん私がそれに反対する余地はありません。彼の思うとおりにしないと罵倒されるんです」
しかし、Dは他の客にも同様の行為をさせており、それが発覚してクビになった。ミサキさんと会うこともなくなった。Dの退店時にはそれまで口止めされていたお客さんたちが彼の悪事を暴露する書き込みでネットの掲示板が荒れたそうだ。
「『頼みを断ったらキレる』『タイプの女性は家に呼ぶ』『何回でも出来るしモノが立派なので虜になる女は多い』などなど盛り上がってました(笑)」
ミサキさんはDに恋愛感情はなく、自分は”優遇されているお客さんで仲の良い友達”という認識だったという。ではなぜDの言いなりになってしまったのだろうか。
「私は離婚の原因が元夫のD垢如⊆分の言葉が原因で男の人に怒鳴られると何も言い返せなくなって、言いなりになってしまうんです。Dはそれを知っていて、ちょっとしたことで言い合いになるとガッと手を掴んだり、俯いていると『顔上げろや』と言う。すると過去の嫌な記憶がフラッシュバックして、言いなりになってしまう。途中から会うのがしんどくて仕方なかった…」
ミサキさんのように、本来ならサービスされる側である女性側がセラピストの言いなりになって「教祖と信者」のような関係になってしまう例は珍しくない。女風を利用していることは周囲には言いづらいため、相談できる人も止めてくれる人もいない。あげく数百万もの貯金をつぎ込んでしまったり、クレジットカードの限度額がいっぱいになるまで遣ってしまう人もいる。
最も女風ユーザーがハマりやすい“沼”、それはセラピストとの“ガチ恋”だ。前出のアスカさんはセラピストにガチ恋をしてしまったばかりに3年間足らずの期間に600万円近くを1人のセラピストに注ぎ込んだという。
「失恋や仕事の悩みで鬱みたいになっていた時期があって、少し元気になってきたときに男性とデートっぽいことをしたいと思ったんです。『レンタル彼氏』をネットで探していたら女性用風俗というものがあることを初めて知って、せっかくなのでHPでカッコいいセラピストを選んで指名することにしました。そこで出会ったのがJくんです。
本当に福山雅治似のカッコいい人で、会ったときには倒れるかと思いました。心臓がどきどきしっぱなしで手にキスをされただけでも大感激です。そのうえこれまでの彼氏にはされたことのないようなことをされたのですから、ときめいてしまって大変でした。彼はプロなので女性の喜ばせ方も知っているんですよね。急に荒々しく攻めてきたり、普通の恋人同士だと無いような刺激に満ちたこともしたり。想像していたよりもはるかに大満足でした」
Jくんと忘れられないひとときを過ごしたアスカさん。しかし、ここから彼女は女風の狆足瓩縫魯泙辰討い。
(後編『既婚女性が”女性専用風俗”に次々とハマる意外な理由』に続く)