昭和46年の渋谷暴動事件で、派出所に放火し警戒中の機動隊員を殺害したなどとして殺人など5つの罪に問われた過激派「中核派」の活動家、大坂正明被告(73)の第2回公判が26日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。
事件で大やけどを負った元巡査の男性(73)らの証人尋問が行われ、「(殉職した機動隊員は)人生これからというときに殺された。無念で悔しかったと思う」と涙ながらに語った。
事件当時、22歳だった元巡査はデモ隊が投げつけた火炎瓶で顔や下半身に全治1年4カ月の大やけどを負い、皮膚移植手術を複数回受けた。現在も体に熱がこもりやすい後遺症を抱え、やけどの影響で家庭を持つことを諦めたとし「私の人生を台無しにした被告は絶対に許せない」と訴えた。
この日は機動隊の小隊長として放火された派出所付近の警戒に当たっていた男性(83)の尋問も実施。「退却の際に隊員の背中に火がついていた」などと述べたが、デモ隊と対峙(たいじ)した具体的な状況は「一切記憶がない」とした。
元小隊長の尋問の際に傍聴人の男性が「つけお前」などと発言し、裁判長に退廷を命じられる一幕もあった。