高市政権の目玉女性閣僚は誰になるのか。自民党総裁選を制し、初の女性総裁となった高市早苗氏が新たな党役員体制を発足させ、次なる注目は政権の顔ぶれとなる。女性議員の大幅な入閣を予告していて、論功行賞やサプライズ抜てきはあるのか――。
党役員人事では総裁選で高市氏の推薦人を務めた有村治子元少子化担当相が総務会長に起用された。また決選投票で高市氏支持に回った茂木敏充氏の側近である鈴木貴子衆院議員が広報本部長となった。
「有村氏と鈴木氏は当初、入閣が予想されていました。女性閣僚は通常なら2~3人となるところですが、高市氏は『北欧諸国に負けないぐらいの女性がたくさんいる内閣をつくりたい』と発言していて、倍増もあり得るが、いかんせん女性議員の数が少ない。有力だった2人が党役員になったことでかなり絞られてくる」(党関係者)
論功行賞で名前が挙がるのは高市氏の推薦人を務めた片山さつき元少子化担当相と松島みどり元法相だ。
「片山氏は旧大蔵省主計官の超エリートで、答弁能力、知名度も高いが、ムラッ気があって、大臣ポストは1回しか務めていない。松島氏は高市氏支持を表明し、メディア露出も多かった。本人は大臣ポストへの欲はないというが、うちわ問題で1か月弱しか大臣を務めていないのでリベンジしたい気持ちは強いはず」(同)
高市氏が頭を悩ましているのは小野田紀美参院議員の処遇だろう。当選2回の42歳ながら総裁選では「チーム・サナエ」のキャプテンを務め、高市陣営を盛り上げた。一方、タカ派で公明党嫌いとして知られ、2022年の参院選1人区で出た自民党候補の中で唯一、公明の推薦を受けなかった。
折しも公明党との連立協議に暗雲が漂い、高市氏は靖国参拝見送りなどの軟化路線を強いられることになるだけに大臣抜てきとなれば、ミゾが深まりかねないとあって、副大臣止まりではないかとの見方が強い。
一方、サプライズで注目されているのは、同じく高市氏の推薦人となっていた元おニャン子クラブで、現在は外務大臣政務官を務める生稲晃子参院議員だ。総裁選の投票時には、松島氏と高市氏の横の席に座って、露払いを務めた。生稲氏は裏金問題を抱えながらも要職に返り咲いた萩生田光一幹事長代行のおぼえめでたい。とはいえ、当選1回で大臣起用なら波紋を呼ぶのは必至だ。
党役員人事を身内で固めたのに対し、閣僚人事はバランスを取るとみられているが、入閣はないとの見方が大勢なのは小泉進次郎氏の熱烈シンパとされる女性議員だ。
「小泉氏の推薦人では、牧島かれん元デジタル相は麻生派ながらもステマ騒動で論外。野田聖子元総務相は長年のライバルで、見送りでしょう。三原じゅん子こども相に至っては、高市氏の『馬車馬のように働いてもらう。ワーク・ライフ・バランス(WLB)という言葉を捨てる』と意気込みを示した発言に『WLBは極めて重要』と真正面からかみついた。高市政権下では冷遇されるでしょう」(党議員秘書)
高市氏も含め、自民党の女性議員は38人しかいない。自らが女性初の首相となることに加え、同時に女性の閣僚への積極的起用で、女性の社会進出にメッセージを持たせたい意向もあり、どのようなカードを切るのか注目される。