2022年、大分県別府市で大学生が車にはねられて死亡したひき逃げ事件で、八田與一容疑者に関する情報提供が1万件(6月末時点)を超えたことがわかりました。事件発生から3年が経ち、捜査の中心を担う大分県警捜査1課の幹部が取材に応じました。
【写真を見る】八田與一容疑者は身近に? 情報提供は1万件超 捜査1課幹部が語る“追跡の3年”
県警によりますと、6月末時点で八田與一容疑者に関する情報提供は1万306件に上りました。
このうち「八田與一容疑者に似た者の目撃情報」は9711件です。

<地域別>関東:3656件九州:1277件近畿:1273件大分県内:595件そのほかの地域:1991件
また、「インターネット上の動画や画像などに関する情報」は919件に上っています。
事件発生から3年。県警捜査1課の松尾茂郎・次席が取材に応じ、殺人容疑などを新たに追加した理由を語りました。
全国に重要指名手配されている八田與一容疑者(28)に対しては、これまでの道路交通法違反に加えて、殺人と殺人未遂の容疑が新たに加わっています。
松尾次席は「発生当初から殺人の適用も視野に入れて捜査を行ってきました。今回、その行為を立証する証拠が収集でき、殺人の逮捕状を取得しました」と説明しました。
立証の経緯については、「現場に残された各種証拠をもとに、走行実験などさまざまな検証を繰り返して立証に至った」とし、「詳細は捜査に支障が出る」として明らかにしませんでした。
容疑の追加による捜査体制の変化について、松尾次席は「殺人の可能性を視野に捜査をしてきたので、基本的にはこれまでの取り組みと大きく変わるところはないと考えています」
「発生当初から別府警察署はもとより、交通部、捜査1課の特別捜査班、機動鑑識を含む刑事部が中心となって捜査をしてきました。現在も別府警察署、交通部、刑事部を中心に、必要に応じて他の部署からも支援を受けながら捜査をしています」と述べました。
また、県外での捜査状況については、「日々寄せられる情報があるので、八田の追跡捜査として県外に出張して捜査にあたっています」と説明。
他県警との連携についても、「他県警に確認や捜査を依頼することもあります。また、他県から寄せられた情報を受けて捜査する場合もあります」と広域にわたる捜査体制を明かしました。
事件解決に向けて松尾次席は、「一日も早い検挙に向けて、今後も捜査に努めていきたい」と強調。さらに「八田が身近に潜んでいる可能性もあります。些細な情報でも構いませんので、警察に情報提供をお願いします」と、改めて国民への協力を呼びかけました。
この事件は2022年6月29日、別府市野口原の県道で発生。赤信号で停車中のバイク2台に大分県日出町の会社員、八田與一容疑者が運転する軽乗用車が追突し、大学生の1人が死亡、1人がけがをしました。
八田容疑者は事故を通報せず、救護措置も取らずに現場から裸足で走って逃げ、およそ2キロ離れたヨットハーバーで足取りが途絶えました。
事件の直前、八田容疑者は亡くなった大学生とトラブルになっていたこともわかっています。
警察庁は2023年9月、事件の凶悪性から八田容疑者を道路交通法違反では全国初となる重要指名手配に指定。捜査特別報奨金の対象事件になり、有力な情報提供者には公的懸賞金として300万円。遺族による私的懸賞金500万円も含めると上限額は800万円に上ります。
情報提供先:【大分県別府警察署】0977-21-2131