【インフル感染爆発】感染力がとにかく強い『pdm09型』 ピークは見えずさらに感染者拡大の可能性も? 予防の”見落としがち”なポイントとは?【医師が解説】

全国でインフルエンザの感染が急拡大。大阪府でも患者数が前週の2倍に増加しています。今年流行しているのは「インフルエンザA pdm09型」で、全国で検出されたインフルエンザの9割を占めているということです。pdm09型の症状の特徴とは?感染予防のポイントも含めて、水野クリニック・水野宅郎院長に聞きました。

全国の感染状況について、警戒レベルを色で表示しています。12月の1週目は全国的に見て『注意報』を表す黄色の場所が多く、2週目になると『警報』を表すピンクのエリアが多くなっているのがわかります。関西でも12月2週目で『警報レベル』のピンク色のエリアが多くなっています。 関西の患者数について、12月26日に関西の各府県が公表したデータです。
▼定点医療機関当たりの患者数(12月16日~22日) (前週発表) (最新) 大阪:21.64 → 45.75(約2.1倍) 兵庫:19.38 → 46.65(約2.4倍) 京都:15.34 → 35.46(約2.3倍) いずれも前の週に比べて2倍以上に増えています。水野クリニック・水野宅郎院長に今の実感を聞きました。
―――うちのクリニックでも12月の最初の頃は1日4人から5人ぐらいの感染者でしたが、先週、今週ぐらいから1日45人から50人ぐらいは受診されることになって。もうかなり爆発してるような感じです。
Q、感染者数は今後増える?
―――まだちょっとピークは見えてないので、ちょっと増えるのではないかと思っています。
今シーズンのインフルエンザの約9割が『インフルエンザA pdm09型』(11月11日~12月15日に全国で検出)。2009年にパンデミック(pandemic)となったインフルエンザの型で、2009の09とパンデミックのpdmが名前の由来です。当時は『新型インフルエンザH1N1型』と呼ばれていました。
呼称が変わったのは、当時は『新型』でしたが、流行が繰り返されるということで、季節性のインフルエンザの一つとして扱われるようになったからだということです。

国立感染症研究所の調べによりますと、今年のインフルエンザの検出状況は以下の通りです。『A pdm09型』 94%『A 香港型』 4%『B型』 2%
『A pdm09型』の特徴はとにかく感染力が強いということ。一人がかかると家族全員が感染するほどだといいます。
▼A型の主な症状 ・発熱 ・せき ・喉の痛み ・筋肉痛 ・全身の倦怠感
『A pdm09型』の特徴に『下気道感染』を引き起こすことが多いことがあげられるそうですが、どのような症状か水野医師に聞きました。
―――声を出す部分より下の部分、肺に近い部分が下気道と言われています。感染が肺の手前か下気道の辺りまで広がっていくと、下気道感染を引き起こし、痰の量が増えたりとか咳がひどくなったりとか、ひどい場合は酸素化が悪くなって呼吸困難感が出てきたりします。

効果的な予防方法はやはり『手洗い』『マスク』だといいます。
手洗いのポイントは石鹸などで30秒以上かけて洗うこと。寒くなり乾燥して手荒れが心配ですが、手荒れをしていると細菌の繁殖も多くなりウイルスが付着しやすくなるということです。手洗いと保湿をセットで行うのが重要だといいます。
マスクについて、京都工芸繊維大学の山川勝史教授に聞きました。正しく装着すると、飛沫の飛散を5分の1に減らすことができるといいます。そして吸い込みも4分の1に減らすことができ、リスクを20分の1に減らすことができるとうです。ポイントは、鼻の部分をぎゅっと押さえて漏れがなくすること。さらに、1人だけがマスクをつけても効果は薄く、多くの人がつけることでリスク軽減につながるといいます。
水野医師に、他の気になるポイントをいくつか聞きました。
Q、手洗いやマスクに加えて、毎日鼻うがいをしていますが効果はありますか?
―――家に帰った時だけでは意味ないかなと思いますが。あまりやりすぎると粘膜が傷つく恐れもありますが、数時間おきにやらないと有効ではないと思います。
Q、年末年始に病院が開いていない時期に熱を出してしまうことがあると思いますが、なにか事前にできることはありますか?
―――解熱剤やせき止めを常備しておくのが重要ですし、休日診療を行っている病院の情報を持っておくのが大事だと思います。
年末年始お出かけする方も多いと思いますから皆さん体調にくれぐれもお気をつけください。