乗務員室の窓に手をかけ「お金返して」・警笛鳴らした車両にかばんぶつける…迷惑行為が頻発

JR四国の駅で8月、暴れるなどして列車を遅らせた男が、威力業務妨害容疑で逮捕される事件が相次いだ。
いずれもその後、罰金の略式命令を受けた。こうした迷惑行為は全国で頻発しており、JR四国は「毅然(きぜん)とした対応を取る」としている。(黒川絵理)
8月8日午前11時半頃には、香川県の宇多津駅で男(61)が停車中だった高松発多度津行き普通列車の乗務員室窓に手をかけて「お金を返してください」とどなるなどし、約2分間遅らせた。男は逃走したが、約10時間後、県警坂出署に逮捕された。
同16日朝には坂出駅で、特急が到着する際、ホームの線路近くを歩く男(40)がいたため、運転士が警笛を鳴らしたところ、男が車両にかばんをぶつけてきた。特急は緊急停止せざるを得ず、運行が約3分遅れたとして、駆けつけた坂出署員が現行犯逮捕した。
2人はいずれも丸亀簡裁に威力業務妨害罪で略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けた。
国土交通省は2018年度、駅員や乗務員らに対する暴力や迷惑行為が多発しているとして、現状把握や、対策の共有を目的に鉄道各社と連絡会議を設立した。
同省によると、20年度には暴力行為は全国で439件発生。▽列車内で、自由席乗車券を持った客が指定席に座っていた。乗務員が自由席を案内したところ、胸ぐらをつかまれた▽「切符をなくした」と言う客に乗務員が再購入が必要だと伝えたところ「詐欺師だ」といい腹を蹴った▽座席で寝ている客を車掌が起こすと、頭突きされた――などの事例があった。加害者の6割が飲酒していたという。
JR四国の西牧世博(つぐひろ)社長は「迷惑行為には毅然とした対応を取るよう、現場に指導している」と話している。