音楽教室の著作権料訴訟 「生徒の演奏は徴収できず」最高裁が初判断

音楽教室で演奏される楽曲に関して、日本音楽著作権協会(JASRAC)が著作権使用料を徴収できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は24日、「生徒の演奏からは徴収できない」とする初判断を示した。その上で、教師と生徒両方の演奏から使用料を徴収できると主張したJASRAC側の上告を棄却した。教師の演奏からのみ徴収できるとした2審・知財高裁判決(2021年3月)が確定した。裁判官5人全員一致の意見。
宇多田ヒカルさん「授業なら無料で曲使って」とツイート JASRACは17年2月、それまで使用料を徴収してこなかった音楽教室側から、年額支払いの場合は年間受講料収入の2・5%に当たる使用料を徴収する方針を示した。これに対し、教室を運営する全国約250の個人・企業・団体が「音楽教育を守る会」を結成し、同6月に支払い義務がないことの確認を求めて提訴した。 1審・東京地裁判決(20年2月)は、音楽教室は選定した課題曲の演奏で利益を上げており、教師と生徒いずれの演奏も音楽教室が主体だとして、どちらの演奏からも使用料を徴収できるとした。一方で、2審・知財高裁判決は、教師の演奏からの徴収は認めたものの、生徒の演奏は自身の技術向上が目的だとして徴収できないとした。 小法廷は生徒の演奏について「演奏技術の向上を図ることが目的で、課題曲を演奏するのはそのための手段に過ぎない。教師が課題曲を選定して指導したとしても、生徒はあくまで自主的に演奏している」と判断し、演奏の主体は音楽教室ではなく生徒本人だとした2審の判断を支持した。 他方、小法廷は教師の演奏から徴収できるかについて7月に音楽教室側の上告を棄却しており、「徴収できる」とした2審判断が先に決着していた。 24日の判決で生徒の演奏からの徴収を認めない司法判断が確定したことで、JASRACは年間受講料収入の2・5%としていた使用料の水準を改めて検討する。【遠山和宏】日本音楽著作権協会(JASRAC) 1939年設立の一般社団法人。楽曲の作詞者や作曲者ら(著作権者)が、楽曲の利用者に著作権使用料を1件ずつ請求するのは手間がかかるため、著作権者からの委託を受けて著作権を管理し、使用料の徴収・分配の業務を代行している。2021年度の徴収・分配額は約1100億円。
JASRACは17年2月、それまで使用料を徴収してこなかった音楽教室側から、年額支払いの場合は年間受講料収入の2・5%に当たる使用料を徴収する方針を示した。これに対し、教室を運営する全国約250の個人・企業・団体が「音楽教育を守る会」を結成し、同6月に支払い義務がないことの確認を求めて提訴した。
1審・東京地裁判決(20年2月)は、音楽教室は選定した課題曲の演奏で利益を上げており、教師と生徒いずれの演奏も音楽教室が主体だとして、どちらの演奏からも使用料を徴収できるとした。一方で、2審・知財高裁判決は、教師の演奏からの徴収は認めたものの、生徒の演奏は自身の技術向上が目的だとして徴収できないとした。
小法廷は生徒の演奏について「演奏技術の向上を図ることが目的で、課題曲を演奏するのはそのための手段に過ぎない。教師が課題曲を選定して指導したとしても、生徒はあくまで自主的に演奏している」と判断し、演奏の主体は音楽教室ではなく生徒本人だとした2審の判断を支持した。
他方、小法廷は教師の演奏から徴収できるかについて7月に音楽教室側の上告を棄却しており、「徴収できる」とした2審判断が先に決着していた。
24日の判決で生徒の演奏からの徴収を認めない司法判断が確定したことで、JASRACは年間受講料収入の2・5%としていた使用料の水準を改めて検討する。【遠山和宏】
日本音楽著作権協会(JASRAC)
1939年設立の一般社団法人。楽曲の作詞者や作曲者ら(著作権者)が、楽曲の利用者に著作権使用料を1件ずつ請求するのは手間がかかるため、著作権者からの委託を受けて著作権を管理し、使用料の徴収・分配の業務を代行している。2021年度の徴収・分配額は約1100億円。