居住再開へ「準備宿泊」開始 福島・飯舘 初日は参加者ゼロ

東京電力福島第1原発事故により帰還困難区域に指定され、2023年春ごろの避難指示解除を目指す福島県飯舘村の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で23日、居住再開に向けた「準備宿泊」が始まった。ただ、村への申請はなく初日の宿泊者はゼロだった。村によると、震災後に住宅を解体した住民が多く、残る家は10軒にとどまる。復興拠点は県内6町村にあり、同様の取り組みは6例目。
【写真】東日本大震災11年 被災地は今 飯舘村の帰還困難区域は、南部の長泥(ながどろ)地区約1080ヘクタールで、復興拠点はこのうち政府などが優先的に除染やインフラ整備を進めた約186ヘクタール。村によると、復興拠点内には63世帯200人(8月1日現在)が住民登録しているが、家屋の解体を選び、避難先に生活の基盤を移す人もいる。村は、自宅を解体した住民が宿泊できる集会所を22年度末までに造る予定にしている。

長泥で生まれ、千葉県鎌ケ谷市に住む重機リース業の小椋秀利さん(72)はこの日、現地を訪れて母キクノさん(享年89)が眠る墓に手を合わせた。震災時に実家にいた母は帰郷を願いながら、かなわないまま介護施設で亡くなった。実家は3年前に解体したが、避難指示解除後に再建する予定だ。今は週末に訪れて草むしりや野菜作りなどをしている。「どのくらい人が戻るか分からないが、生まれた長泥で今できることをしたい」と話した。 村は原発事故で一時全村避難し、17年3月に長泥地区を除き、避難指示が解除されている。【磯貝映奈】
飯舘村の帰還困難区域は、南部の長泥(ながどろ)地区約1080ヘクタールで、復興拠点はこのうち政府などが優先的に除染やインフラ整備を進めた約186ヘクタール。村によると、復興拠点内には63世帯200人(8月1日現在)が住民登録しているが、家屋の解体を選び、避難先に生活の基盤を移す人もいる。村は、自宅を解体した住民が宿泊できる集会所を22年度末までに造る予定にしている。
長泥で生まれ、千葉県鎌ケ谷市に住む重機リース業の小椋秀利さん(72)はこの日、現地を訪れて母キクノさん(享年89)が眠る墓に手を合わせた。震災時に実家にいた母は帰郷を願いながら、かなわないまま介護施設で亡くなった。実家は3年前に解体したが、避難指示解除後に再建する予定だ。今は週末に訪れて草むしりや野菜作りなどをしている。「どのくらい人が戻るか分からないが、生まれた長泥で今できることをしたい」と話した。
村は原発事故で一時全村避難し、17年3月に長泥地区を除き、避難指示が解除されている。【磯貝映奈】