北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、第1管区海上保安本部と道警は今月、半島先端部などで複数の人骨のようなものを発見した。
23日で発生から4か月。きっかけとなったのは、民間ボランティアが地道に続けてきた捜索活動だった。
事故では乗客乗員26人のうち、14人が死亡し、12人の行方が分かっていない。
14日には、ヒグマが出没するなどの理由で捜索が行われていなかった半島先端部で、地元漁師らによる民間のボランティア隊が人の頭蓋骨のようなものを見つけた。北海道羅臼町の漁師桜井憲二さん(59)は「楽しい思い出になるはずだった知床が悲しい場所になり、申し訳ない思いで捜してきた」と話す。
海難事故では、時間がたってから漂流した遺留物が見つかることがある。一方、秋以降、周辺の海は荒れやすく、厳しい寒さと雪で捜索が難航することが懸念される。桜井さんは「(その前に)できることは全てやった」といい、家族が行方不明の男性は「ボランティアの方には本当に感謝したい」と語る。
14日の発見を受け、第1管区海上保安本部と道警はこの沿岸で集中捜索を実施し、人骨のようなもの約30点を回収。乗客の可能性があるとみて鑑定している。
北方領土国後島西岸で5月に見つかった男女の遺体と、6月にサハリン南部で見つかった男性の遺体のDNA型が、ロシア側の鑑定で乗船者のものと一致した。遺体の返還後に改めて鑑定して身元を特定する。