画家のパブロ・ピカソ(1881~1973年)が20代初めに描いた油彩画「青い肩かけの女」の下層に人物像が描かれていることが明らかになった。作品を所蔵する愛知県美術館(名古屋市)が16日に発表した。
【うつむいているように見える人物の描線】 同館や米国「ワシントン・ナショナル・ギャラリー・オブ・アート」などの共同調査で判明した。光を波長ごとに細かく分けて撮影できるハイパースペクトルカメラを用いて分析したところ、下層から大きくうつむいているように見える人物の描線が見つかった。

愛知県美術館の副田一穂学芸員によると、1902年制作の「青い肩かけの女」(60・3センチ×52・4センチ)は、ピカソが生死や貧困などをテーマに深い青で表した作品群「青の時代」の一枚。人物が大きくうつむくポーズは青の時代の作品に頻繁に登場するといい、ピカソはこの人物像の輪郭線を利用して、その上に「青い肩かけの女」を描いたとみられるという。 副田学芸員は「世界では(ピカソの作品で)同様の報告例が約10件あるが、制作過程が垣間見える貴重な発見だ」と話している。昨年6月にもポーラ美術館(神奈川県)所蔵の油彩画「海辺の母子像」の下から男性像や子どもの絵が描かれているのが見つかったと同館が発表している。 「青い肩かけの女」はピカソが終生愛蔵したのち孫娘に受け継がれた。88年に東海銀行(現・三菱UFJ銀行)が遺族から購入し、92年開館の愛知県美術館の目玉作品にと県に寄贈された。3月21日から同館で開催するコレクション展で研究成果とともに展示する。【山田泰生】
同館や米国「ワシントン・ナショナル・ギャラリー・オブ・アート」などの共同調査で判明した。光を波長ごとに細かく分けて撮影できるハイパースペクトルカメラを用いて分析したところ、下層から大きくうつむいているように見える人物の描線が見つかった。
愛知県美術館の副田一穂学芸員によると、1902年制作の「青い肩かけの女」(60・3センチ×52・4センチ)は、ピカソが生死や貧困などをテーマに深い青で表した作品群「青の時代」の一枚。人物が大きくうつむくポーズは青の時代の作品に頻繁に登場するといい、ピカソはこの人物像の輪郭線を利用して、その上に「青い肩かけの女」を描いたとみられるという。
副田学芸員は「世界では(ピカソの作品で)同様の報告例が約10件あるが、制作過程が垣間見える貴重な発見だ」と話している。昨年6月にもポーラ美術館(神奈川県)所蔵の油彩画「海辺の母子像」の下から男性像や子どもの絵が描かれているのが見つかったと同館が発表している。
「青い肩かけの女」はピカソが終生愛蔵したのち孫娘に受け継がれた。88年に東海銀行(現・三菱UFJ銀行)が遺族から購入し、92年開館の愛知県美術館の目玉作品にと県に寄贈された。3月21日から同館で開催するコレクション展で研究成果とともに展示する。【山田泰生】