9月27日に日本武道館で執り行われる予定の安倍晋三元首相の「国葬」費用について、岸田文雄首相は「仮定の上で試算を行った」として総額16億6000万円を要することを明らかにした。8月下旬に閣議決定した際の支出額である約2億5000万円から、大幅に増額される格好に。
【写真】安倍元首相の銃撃事件に巻き込まれ、車に轢かれそうになった女子高生「当初に発表されたのは会場の設営費などの式典にかかる経費で、その他の警備費、海外要人の接待費、また自衛隊の車両借り上げ費用などが含まれていない額でした。これが大きくニュースで取り上げられると、世論は国葬反対に傾き始めた。焦った岸田首相は国民の理解を得るために、今更ながら“透明化”を測ったのでしょう」(全国紙政治部記者)

しかし、これは首相も「仮定の上」としたように、約16億円はあくまでも“仮の数字”。もちろん、実際には減額される可能性もあるのだが、2021年に開催されたビッグイベントを見てしまっては、そうは思えない節もある。 2021年8月~9月に開催された『東京オリピック・パラリンピック』。「都市型のコンパクトオリンピック」をアピールした同大会は、当初は開催費用として約7000億円を計上していたものの、あれよと膨らみ続けて気付けば3兆円超え。さらなる国葬費の追加もありうる 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は最終的に、無観客による警備費削減などを理由として最終的に1兆4238億円に下方修正するも、それでも見込み額のいい加減さを露呈した。前出の政治部記者は「わざと少なく見積もったとは思いませんが」と苦笑しつつ、「組織委員会や東京都、そして政府は多額の公的資金を費やしたにも関わらず、“なぜそうなったのか”を厳密に検証、反省する姿勢を見せているとは言い難い。組織委員会に至っては最終報告をもって、6月にさっさと解散する始末。 これでは約16億円の国葬もまた終わってみれば倍額、“やっぱり32億円の血税が必要でした”と修正される場合もあるわけで。それでも政府は責任を問われず、政治家も何ら痛みを伴わないんですから」 そもそも在任期間が歴代最長の元首相とはいえ、1人の葬儀に約16億円が注ぎ込まれることに違和感を覚える国民も少なくはない。特にコロナ禍という国難にあって、歴史的円安が拍車をかけて物価の上昇も招くなど、多くの国民が我慢を強いられている現状だ。 長らく自民党政権を注視してきた政治ジャーナリストは「さながら“特級国民”の葬儀ということでしょうか」と、ほとほと呆れ果てている様子。葬儀費用の平均総額は161.9万円『一般財団法人日本消費者協会』が実施した葬儀に関するアンケート調査によると、2020年の葬儀費用の平均総額は161.9万円。葬儀一式の費用や通夜の接待費、また寺院等へのお布施や謝礼が主な支出となり、対して収入となる香典の平均額は74.1万円とされている。 ただ、人との接触を避けることを声高に叫ばれた昨今。身内の最期を近くで見届けられない、故人を満足に送り出せない状況もあっただけに、実際には葬儀にかける費用はさらなる減額が考えられる。「そんな最中で、一般国民が捻出する葬儀費用のおよそ1000倍。約16億円を、大切な家族を弔えなかったかもしれない国民が負担して、テレビの前で“リモート”で安倍元首相の遺影を目の当たりにするわけです。 岸田首相は懸命になって“丁寧な説明”を繰り返していますが、明らかな外交目的や、自民・公明党の政治屋ら“身内”の顔色ばかり伺うのではなく、第一に国民感情に耳を傾けるべきだと思いますね」(前出・政治ジャーナリスト) 死してなお政治家の“職務”を全うする安倍元首相ではあるが、一番の“身内”である昭恵夫人はどんな感情で国葬に臨むのだろうか。
「当初に発表されたのは会場の設営費などの式典にかかる経費で、その他の警備費、海外要人の接待費、また自衛隊の車両借り上げ費用などが含まれていない額でした。これが大きくニュースで取り上げられると、世論は国葬反対に傾き始めた。焦った岸田首相は国民の理解を得るために、今更ながら“透明化”を測ったのでしょう」(全国紙政治部記者)
しかし、これは首相も「仮定の上」としたように、約16億円はあくまでも“仮の数字”。もちろん、実際には減額される可能性もあるのだが、2021年に開催されたビッグイベントを見てしまっては、そうは思えない節もある。
2021年8月~9月に開催された『東京オリピック・パラリンピック』。「都市型のコンパクトオリンピック」をアピールした同大会は、当初は開催費用として約7000億円を計上していたものの、あれよと膨らみ続けて気付けば3兆円超え。
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は最終的に、無観客による警備費削減などを理由として最終的に1兆4238億円に下方修正するも、それでも見込み額のいい加減さを露呈した。前出の政治部記者は「わざと少なく見積もったとは思いませんが」と苦笑しつつ、
「組織委員会や東京都、そして政府は多額の公的資金を費やしたにも関わらず、“なぜそうなったのか”を厳密に検証、反省する姿勢を見せているとは言い難い。組織委員会に至っては最終報告をもって、6月にさっさと解散する始末。
これでは約16億円の国葬もまた終わってみれば倍額、“やっぱり32億円の血税が必要でした”と修正される場合もあるわけで。それでも政府は責任を問われず、政治家も何ら痛みを伴わないんですから」
そもそも在任期間が歴代最長の元首相とはいえ、1人の葬儀に約16億円が注ぎ込まれることに違和感を覚える国民も少なくはない。特にコロナ禍という国難にあって、歴史的円安が拍車をかけて物価の上昇も招くなど、多くの国民が我慢を強いられている現状だ。
長らく自民党政権を注視してきた政治ジャーナリストは「さながら“特級国民”の葬儀ということでしょうか」と、ほとほと呆れ果てている様子。
『一般財団法人日本消費者協会』が実施した葬儀に関するアンケート調査によると、2020年の葬儀費用の平均総額は161.9万円。葬儀一式の費用や通夜の接待費、また寺院等へのお布施や謝礼が主な支出となり、対して収入となる香典の平均額は74.1万円とされている。
ただ、人との接触を避けることを声高に叫ばれた昨今。身内の最期を近くで見届けられない、故人を満足に送り出せない状況もあっただけに、実際には葬儀にかける費用はさらなる減額が考えられる。
「そんな最中で、一般国民が捻出する葬儀費用のおよそ1000倍。約16億円を、大切な家族を弔えなかったかもしれない国民が負担して、テレビの前で“リモート”で安倍元首相の遺影を目の当たりにするわけです。
岸田首相は懸命になって“丁寧な説明”を繰り返していますが、明らかな外交目的や、自民・公明党の政治屋ら“身内”の顔色ばかり伺うのではなく、第一に国民感情に耳を傾けるべきだと思いますね」(前出・政治ジャーナリスト)
死してなお政治家の“職務”を全うする安倍元首相ではあるが、一番の“身内”である昭恵夫人はどんな感情で国葬に臨むのだろうか。