徳島県は18日、美波保健所管内在住の70歳代の男性が、マダニにかまれることで感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症したと発表した。
徳島県内での感染確認は今年初めて。命に別条はないものの、男性は現在も入院している。徳島県内では2013~22年に計38人が感染、9人が死亡しており、徳島県が対策を呼びかけている。(北野浩暉)
徳島県によると、男性は15日に発熱があり、16日に医療機関を受診した。白血球や血小板の減少がみられたため医療機関から美波、牟岐、海陽の3町を所管する同保健所に検査の依頼があり、SFTSウイルスへの感染が確認された。男性には発熱や血液検査の数値悪化のほか、倦怠(けんたい)感の症状があり、入院中。男性は屋外で農作業をしていたといい、徳島県は作業中にマダニにかまれたと推定した。
SFTSは、国内では13年1月に初めて感染が確認され、毎年60~100人程度の感染者が出ている。ウイルスに感染すると、6日~2週間の潜伏期間を経て、食欲低下や嘔吐(おうと)といった消化器症状のほか、頭痛や意識障害などの神経症状、出血を引き起こす。重症化することもあり、年間4~16人が死亡している。徳島県内でも同年に初めて確認され、14、16年には2人が死亡した。
マダニは春から秋(3~11月頃)が活動期で、SFTS以外にも、様々な感染症を引き起こす可能性がある。徳島県感染症対策課は、草むらや山に入る際は、肌の露出を控えて長袖・長ズボンを着用するといった対策に加え、「マダニにかまれた場合は無理に引き抜こうとせず、医療機関に処置を依頼してほしい」と呼びかけている。