岐阜県の陸上自衛隊射撃場で自衛官候補生の男(18)が自動小銃を乱射して3人の死傷者が出た事件で、男の精神鑑定が浮上しているという。
事件は14日午前に発生。男は射撃訓練中に89式5・56ミリ小銃を乱射し、教官の菊松安親1等陸曹(52)と八代航佑3等陸曹(25)が死亡、もう1人が負傷した。男はその場で取り押さえられ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕、のちに殺人容疑で送検された。
男は具体的な動機を供述していないという。「恨みはない」と話し、3人とも接点は薄いことから、トラブルも確認できていない。こうした事情から捜査当局は精神鑑定の必要があると判断したとみられる。
思い出されるのは約40年前の事件だ。1984年2月に陸上自衛隊山口駐屯地射撃場で小銃乱射事件があり、1人が死亡、3人が負傷していた。21歳の隊員が逮捕されたが、精神鑑定により心神喪失状態だったとして起訴されなかったのだ。
SNSでは「武器触らせる前に精神鑑定しとけ」「いらない気もする」「罪は罪でしょ」と反発が広がっている。陸上自衛隊の元隊員は「事件直後に『殺意があった』との趣旨の供述をしていると報じられたときは、そう自分で言えるのなら精神は正常だとの印象を受けました」と話した。
もっとも、その後の報道によると男の供述は揺れており、特定の隊員を狙ったわけではない可能性が取り沙汰されている。また、地元メディアでは男が実弾を奪おうとしたとの見方も広がっている。
なかなか動機が見えてこない。前出の元隊員は「『本物の銃を撃ちたいから入隊した』みたいな考えを持った人は意外と自衛隊には少なかったんですけどね」と振り返った。
もし精神鑑定となれば結果が出るまでに数か月かかるという。