12日午後6時15分ごろ、和歌山県高野町高野山の県道で、「車が横転している」と通行人から110番があった。乗用車は道路脇に建立された世界遺産の道しるべ「町石(ちょういし)」に衝突した。町石は上半分の五輪などが周辺に飛び散っており、一部が近くの建物に当たり、壁が破損した。県警橋本署が事故状況を調べている。
【写真まとめ】無残…飛び散った世界遺産の「町石」 署などによると、現場は高野山の大門近くの緩やかな右カーブ。20代の町職員が運転する乗用車の左前方が町石(高さ約2メートル)にぶつかった。町職員は軽傷という。

町石は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の高野参詣道の一つ、同県九度山町の慈尊院から高野山に至る「高野山町石道(ちょういしみち)」で1町(約109メートル)ごとに建てられた卒塔婆形の石塔。200基ほどある。平安時代は木製の卒塔婆だったが、鎌倉時代に石造りに建て替えられたとされる。 県教委文化遺産課などによると、破損した町石は花こう岩製で、大正2(1913)年に再建されたもの。現場道路は舗装されて世界遺産の対象外だが、町石本体は国史跡に指定され、世界遺産の構成要素になるという。衝撃で上半分が大きく三つに割れ、土台がもがれた。高野町教委は県教委などと協議し、接着剤などでの修復方法を検討。「元通りにできるよう尽力したい」としている。修復費用は壊した本人に請求予定としている。 平野嘉也町長は「文化財の中で暮らす私たちにとって、文化財が重要だと分かっている中で事故が起き、極めて残念。重く受け止め、文化財保護に努める」と話した。【藤原弘、大塚愛恵】
署などによると、現場は高野山の大門近くの緩やかな右カーブ。20代の町職員が運転する乗用車の左前方が町石(高さ約2メートル)にぶつかった。町職員は軽傷という。
町石は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の高野参詣道の一つ、同県九度山町の慈尊院から高野山に至る「高野山町石道(ちょういしみち)」で1町(約109メートル)ごとに建てられた卒塔婆形の石塔。200基ほどある。平安時代は木製の卒塔婆だったが、鎌倉時代に石造りに建て替えられたとされる。
県教委文化遺産課などによると、破損した町石は花こう岩製で、大正2(1913)年に再建されたもの。現場道路は舗装されて世界遺産の対象外だが、町石本体は国史跡に指定され、世界遺産の構成要素になるという。衝撃で上半分が大きく三つに割れ、土台がもがれた。高野町教委は県教委などと協議し、接着剤などでの修復方法を検討。「元通りにできるよう尽力したい」としている。修復費用は壊した本人に請求予定としている。
平野嘉也町長は「文化財の中で暮らす私たちにとって、文化財が重要だと分かっている中で事故が起き、極めて残念。重く受け止め、文化財保護に努める」と話した。【藤原弘、大塚愛恵】