北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故は23日で発生から4カ月となった。
地元漁師らは「自分たちが行かねば」と5月以降、ボランティアで捜索を行ってきたが、今後は海が荒れることを考慮し、今月での打ち切りを決めた。なお12人の行方が分からず、「見つけられなかった人には申し訳ない」と悔しさをにじませた。
捜索を続けてきたのは、半島東側の羅臼町の漁師桜井憲二さん(59)らのグループ。5、6月に続き、今月13~15日、地元の登山仲間と共に半島先端付近の海岸を歩いて手掛かりを捜した。
捜索した場所は道路から遠い上、ヒグマが多く生息している。足場も悪く、垂直に近い崖を登り下りし、波が打ち寄せる岩場も歩いた。危険が伴う中、「地元を知っているわれわれが行くしかない」と語る。
13~15日に訪れたのは過去に捜索した場所だったが、半島先端付近の海岸で14日、頭蓋骨を発見。近くの草むらで、衣類や靴も見つかった。乗客との関連は不明だが「ようやく一人、家族の元に返せるかもしれない」と感じた。
桜井さんらは21日も半島先端付近の海岸に入り、靴と衣類を発見した。しかし、「9月以降、知床の海は荒れる」といい、この捜索を最後にした。発見した頭蓋骨は、道警が今月の集中捜索で見つけた複数の骨片と共にDNA型鑑定し、行方不明者との関連を調べる。
桜井さんは「見つかっていない乗客の家族の時間は止まったまま」と心残りもあるが、「(これまでの捜索で)やれることはやった」と話す。
事故は4月23日に発生し、14人の死亡が確認され、12人が行方不明。北方領土・国後島とロシア・サハリンでは乗船者とみられる3人の遺体が見つかったが、引き渡しに向けたロシア側との調整は難航している。