日本は高齢化率が約30%となっているが、歳をとるほど賃貸住宅が借りにくくなる。高齢者の住宅難民問題の実態はどんなものなのか…。誰もが気づくべき高齢者の賃貸事情について、具体的な事例を交えて紹介する。
ある日のこと、70歳の母を持つ開業医の息子さんからお部屋探しの相談を受けた。その人は、母の周りにいた友人が少なくなってきたことから、都内に住む自分の近所に引越しさせたいとのことで物件を探していた。しかし、母が高齢であるためになかなか借りられる物件が見つからない。
当たった物件はその数約300件。結局3ヶ月かけてようやく物件が決まった。
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一般的な賃貸住宅探しでは、約1ヶ月で部屋が決まると言われている。そして、息子さんは開業医で金銭面での問題は一切なく、万が一のことがあってもいつでも駆けつけ、面倒を見ることができる状態だった。それにも関わらず、通常と比べて約3倍の時間がかかってしまったのだ。理由はやはり、住居人が高齢だからだった。たとえ資産があっても、近くに家族がいても、医療家系でも、なかなか借りる先をみつけるのが難しい。それが高齢者賃貸の現状だ。多くの高齢者が直面する悩みであり、社会全体で支援策を考えるべき課題となっている。高齢者の4人に1人が借りられない日本の高齢者人口はまだまだ増加傾向にあり、2022年には約3900万人に達した。R65不動産で行った調査では、高齢者の4人に1人が賃貸住宅への入居を断られた経験があることが分かっており、そのうち13.4%が「5回以上」断られた経験をもつ。Photo by iStock 高齢者が賃貸住宅に住むことがあるのか?と疑問に思われるかもしれないが、現在は以前より持ち家率が低下し、約400万世帯の65歳以上が賃貸住宅に住んでいる。また、2015年から2020年の間に賃貸住宅に引っ越した65歳以上のうち、約3割がもともと持ち家だった人たちである。高齢者が賃貸住宅に住み替えるのはなぜ高齢者が賃貸住宅に住み替える理由は、子どもの近くに住み替えたい場合や、パートナーの死を境に小さな賃貸に住み替える場合など多岐にわたる。健康寿命が延びた現代では、そのニーズも高まっているのだ。Photo by iStock また、高齢者が好む物件の特徴には、いくつかのポイントがある。まず、公共交通機関へのアクセスが良い物件が好まれるが、特にバス停から徒歩圏内であることが重要である。次に、生活に必要な施設が近くにあることが重視され、例えば、スーパーマーケットや病院、薬局などが近い物件が好まれやすい。また、いくら元気であるとはいえ、年を取るにつれて足腰が弱くなるため、生活の利便性を考慮して、エレベータのある物件か1階のお部屋を好む傾向がある。こうした「条件」が多くあることも、借りる先を見つけづらい理由の一つとなっている。高齢者の「賃貸借りられない」問題はこれからますます増加していくと思われる。今回は開業医の方のお話を紹介したが、このような事例は本当に多いのだ。後編記事では、『「資産は十分」でも住宅難民と化す高齢者が急増中…!「日本には借りられる家がない」というヤバすぎる大問題』にて高齢者の方の賃貸探しで悲惨な目にあった事例と親の老後を守るための対策を紹介していく。
一般的な賃貸住宅探しでは、約1ヶ月で部屋が決まると言われている。そして、息子さんは開業医で金銭面での問題は一切なく、万が一のことがあってもいつでも駆けつけ、面倒を見ることができる状態だった。
それにも関わらず、通常と比べて約3倍の時間がかかってしまったのだ。理由はやはり、住居人が高齢だからだった。
たとえ資産があっても、近くに家族がいても、医療家系でも、なかなか借りる先をみつけるのが難しい。それが高齢者賃貸の現状だ。多くの高齢者が直面する悩みであり、社会全体で支援策を考えるべき課題となっている。
日本の高齢者人口はまだまだ増加傾向にあり、2022年には約3900万人に達した。R65不動産で行った調査では、高齢者の4人に1人が賃貸住宅への入居を断られた経験があることが分かっており、そのうち13.4%が「5回以上」断られた経験をもつ。
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高齢者が賃貸住宅に住むことがあるのか?と疑問に思われるかもしれないが、現在は以前より持ち家率が低下し、約400万世帯の65歳以上が賃貸住宅に住んでいる。また、2015年から2020年の間に賃貸住宅に引っ越した65歳以上のうち、約3割がもともと持ち家だった人たちである。高齢者が賃貸住宅に住み替えるのはなぜ高齢者が賃貸住宅に住み替える理由は、子どもの近くに住み替えたい場合や、パートナーの死を境に小さな賃貸に住み替える場合など多岐にわたる。健康寿命が延びた現代では、そのニーズも高まっているのだ。Photo by iStock また、高齢者が好む物件の特徴には、いくつかのポイントがある。まず、公共交通機関へのアクセスが良い物件が好まれるが、特にバス停から徒歩圏内であることが重要である。次に、生活に必要な施設が近くにあることが重視され、例えば、スーパーマーケットや病院、薬局などが近い物件が好まれやすい。また、いくら元気であるとはいえ、年を取るにつれて足腰が弱くなるため、生活の利便性を考慮して、エレベータのある物件か1階のお部屋を好む傾向がある。こうした「条件」が多くあることも、借りる先を見つけづらい理由の一つとなっている。高齢者の「賃貸借りられない」問題はこれからますます増加していくと思われる。今回は開業医の方のお話を紹介したが、このような事例は本当に多いのだ。後編記事では、『「資産は十分」でも住宅難民と化す高齢者が急増中…!「日本には借りられる家がない」というヤバすぎる大問題』にて高齢者の方の賃貸探しで悲惨な目にあった事例と親の老後を守るための対策を紹介していく。
高齢者が賃貸住宅に住むことがあるのか?と疑問に思われるかもしれないが、現在は以前より持ち家率が低下し、約400万世帯の65歳以上が賃貸住宅に住んでいる。また、2015年から2020年の間に賃貸住宅に引っ越した65歳以上のうち、約3割がもともと持ち家だった人たちである。
高齢者が賃貸住宅に住み替える理由は、子どもの近くに住み替えたい場合や、パートナーの死を境に小さな賃貸に住み替える場合など多岐にわたる。健康寿命が延びた現代では、そのニーズも高まっているのだ。
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また、高齢者が好む物件の特徴には、いくつかのポイントがある。まず、公共交通機関へのアクセスが良い物件が好まれるが、特にバス停から徒歩圏内であることが重要である。次に、生活に必要な施設が近くにあることが重視され、例えば、スーパーマーケットや病院、薬局などが近い物件が好まれやすい。また、いくら元気であるとはいえ、年を取るにつれて足腰が弱くなるため、生活の利便性を考慮して、エレベータのある物件か1階のお部屋を好む傾向がある。こうした「条件」が多くあることも、借りる先を見つけづらい理由の一つとなっている。高齢者の「賃貸借りられない」問題はこれからますます増加していくと思われる。今回は開業医の方のお話を紹介したが、このような事例は本当に多いのだ。後編記事では、『「資産は十分」でも住宅難民と化す高齢者が急増中…!「日本には借りられる家がない」というヤバすぎる大問題』にて高齢者の方の賃貸探しで悲惨な目にあった事例と親の老後を守るための対策を紹介していく。
また、高齢者が好む物件の特徴には、いくつかのポイントがある。まず、公共交通機関へのアクセスが良い物件が好まれるが、特にバス停から徒歩圏内であることが重要である。次に、生活に必要な施設が近くにあることが重視され、例えば、スーパーマーケットや病院、薬局などが近い物件が好まれやすい。
また、いくら元気であるとはいえ、年を取るにつれて足腰が弱くなるため、生活の利便性を考慮して、エレベータのある物件か1階のお部屋を好む傾向がある。こうした「条件」が多くあることも、借りる先を見つけづらい理由の一つとなっている。
高齢者の「賃貸借りられない」問題はこれからますます増加していくと思われる。今回は開業医の方のお話を紹介したが、このような事例は本当に多いのだ。
後編記事では、『「資産は十分」でも住宅難民と化す高齢者が急増中…!「日本には借りられる家がない」というヤバすぎる大問題』にて高齢者の方の賃貸探しで悲惨な目にあった事例と親の老後を守るための対策を紹介していく。