横浜市鶴見区で4歳の男児が母親の交際相手から暴行され死亡した事件では、横浜市側が事件の約4カ月前に「虐待の疑いがある」と把握していながら、児童相談所は一時保護などの対応を取らなかったことが明らかになった。現場となったアパート近くでは子どもの泣き声を聞いた住民もおり、悲しみが広がっている。
特集「事件がわかる」 重大な事件・事故を解説 事件は2018年1月23日に起きた。紺野叶志郎(きょうしろう)ちゃんが鶴見区内の自宅アパートから搬送され、2日後に急性硬膜下血腫などで亡くなった。今月24日、神奈川県警は当時同居していた内田正也容疑者(30)を傷害致死容疑で逮捕した。

市や捜査関係者によると、17年9月、当時叶志郎ちゃんが通っていた保育所から鶴見区に「叶志郎ちゃんに複数の傷やあざがある」と相談があった。 母親は同じ頃、叶志郎ちゃんを連れて鶴見署を訪れ、「交際相手が子どもの頭や顔を殴る。別れたい」と相談。内田容疑者は同じ日に県警から事情を聴かれた際、殴ったことを認めた上で「(2人が)家を出て行ったならそれでも構わない」と話し、再発防止を約束する書面の提出を拒んだ。母親は叶志郎ちゃんを連れて実家に戻ったものの、その後、内田容疑者と再び同居していた。 現場となったアパートの近くの女性(71)は「3、4年ほど前、窓を開けていたら小さい子どもの『ギャー』という泣き声が聞こえた。(家族と)『嫌だね』と話していた」と振り返り、「もしかしたらあの泣き声がそう(叶志郎ちゃんのもの)だったのかもしれない」と沈痛な表情で語った。 一方で、内田容疑者が事件後に移り住んだ住宅近くに住む女性(85)は、内田容疑者が同居していた別の子どもに声を荒らげたりすることなく、言い聞かせるように諭している様子を目にした。「子どもには筋を通して話して納得させ、いたずらをさせないようにしていた」。また内田容疑者の印象については、「入れ墨はしているが、普通の人という印象だった」と話した。【田中綾乃】
事件は2018年1月23日に起きた。紺野叶志郎(きょうしろう)ちゃんが鶴見区内の自宅アパートから搬送され、2日後に急性硬膜下血腫などで亡くなった。今月24日、神奈川県警は当時同居していた内田正也容疑者(30)を傷害致死容疑で逮捕した。
市や捜査関係者によると、17年9月、当時叶志郎ちゃんが通っていた保育所から鶴見区に「叶志郎ちゃんに複数の傷やあざがある」と相談があった。
母親は同じ頃、叶志郎ちゃんを連れて鶴見署を訪れ、「交際相手が子どもの頭や顔を殴る。別れたい」と相談。内田容疑者は同じ日に県警から事情を聴かれた際、殴ったことを認めた上で「(2人が)家を出て行ったならそれでも構わない」と話し、再発防止を約束する書面の提出を拒んだ。母親は叶志郎ちゃんを連れて実家に戻ったものの、その後、内田容疑者と再び同居していた。
現場となったアパートの近くの女性(71)は「3、4年ほど前、窓を開けていたら小さい子どもの『ギャー』という泣き声が聞こえた。(家族と)『嫌だね』と話していた」と振り返り、「もしかしたらあの泣き声がそう(叶志郎ちゃんのもの)だったのかもしれない」と沈痛な表情で語った。
一方で、内田容疑者が事件後に移り住んだ住宅近くに住む女性(85)は、内田容疑者が同居していた別の子どもに声を荒らげたりすることなく、言い聞かせるように諭している様子を目にした。「子どもには筋を通して話して納得させ、いたずらをさせないようにしていた」。また内田容疑者の印象については、「入れ墨はしているが、普通の人という印象だった」と話した。【田中綾乃】