一般サラリーマンが買ってわかった“湾岸タワマンのお買い得度”とは

数少ないエレベータに大量の住人が押し寄せるせいか、朝の出勤時には電車に乗り遅れそうになり、休日は階上の住民に小馬鹿にされ、高すぎるローンを抱えて生活苦で往生してしまう――。昨今よく見る“タワマン記事”は、どれもこれも不幸にまみれていて、縁のない庶民としては胸がすく思いであるが、実際のところそうした話はどこまでリアルなのか。本当に住みづらいところなのか。
豊洲に在住して5年目の筆者が、湾岸タワマンの現状を語らせてもらいます。今回のテーマは、「タワマンはお買い得なのか?」についてです。
◆最も怖いのは「物件が売れないこと」だが…
「あるタワマン購入者を襲った悲劇!コロナの影響でローンが払えず手放すしかない」
こんな趣旨の記事もちょいちょい見かけますよね。思わぬ減給で物件を手放さなければならない――そんな恐怖は確かにわかります。
しかし、最も怖いのは、いざというとき物件を売りに出しても売れないことではないでしょうか。なかなか買い手がつかないからって、相場よりどんどん安くされていったら、それこそ悲劇。その点、湾岸タワマンは今のところかなり安全でしょう。
◆タワマンからタワマンに引っ越す人たちも…
五輪の選手村に使われたHARUMI FLAGが抽選で何十倍(最大200倍超えとも)といった状況からも明らかなように、とにかく流動性が高く、法外な値段をふっかけない限り、確実に売れます。しかも今なら購入時より高くなっている可能性のほうが高い。
「遊び半分、高値で売りに出したら売れてしまい、慌てて近所の別のタワマンを買い直した」といった例も見ていますし、「新築のタワマンが出来たからそっちに引っ越した」という方もいます。
最初聞いたときは、ほんと口ポカーンですよ(笑)。私みたいな小者は、家を買うのは一生に一度! と思い込んでいましたから、分譲タワマンを転々とするなど考えられなかった。
でも、賃貸より買ったほうが安いじゃん、という感覚で住んでいる方もいるんですね。
◆湾岸エリアを出たいとは「微塵も思わない」
サラリーマンで物件を回している(分譲で購入して賃貸に出している)人もいます。フラット35は投資物件に利用できないはずなので、住宅ローンをどう組んでいるのかわからず、怖すぎて眺めるしかできません(笑)。
まぁ、それも値上がり続けているからできる芸当であって、「そんなバブルは崩壊するぞ」と警鐘を鳴らす人がいるのも事実です。その辺は金利政策なども影響してくるので、この先想像もつかないんですけどね。私が買った中古物件も、5年前の購入時より1~2千万円は確実に高くなっているはずです。
冷静になって見渡してみると、渋谷区や目黒区などの物件のほうがまだまだ高いですし、今後、東京駅から晴海や有明エリアを通って羽田まで電車が繋がるとか、豊洲から住吉へ新地下鉄が走るとか、まだまだ開発余地もある。
というのは、あくまでオマケであって、これだけ住みやすい湾岸エリアを出たいとは微塵も思いません。
◆排他的な人には向いていないかも?
最後に、湾岸タワマンの住人問題について触れておきましょう。
前述のように、勝ち組サラリーマンや医師・弁護士などの国家資格保持者が多いのは確かです。一方で私みたいな弱小リーマンや、必ずしもエリートでない方もいます。
その場合、生活費を考えると共働きは避けられないですが、保育園や幼稚園は問題なく預けられるはず。小学生の学童もかなり充実しています。

それでも、イヤな感じなどまったくしません。ネットで見かけるような態度の悪い人はいなくて、裕福なせいか、ソフトな物腰の方ばかり。子供同士は国籍関係なくガンガン遊びますので、帰り際に親同士で会釈するケースも多々あります。
◆もっと多くの外国人に来てもらいたい
日本語が堪能な方も多く、外国人が複数集まった場合、英語が話せない私に気遣って日本語で会話してもらうときは申し訳なくなるほどです。
いっそのこと湾岸エリアだけ特区にしてもらって税制優遇制度などを取り入れ、もっと多くの外国人に来てもらいたいぐらいですね。言い方は悪いですが、地方がこのまま閉鎖的だと、ますます東京への人口集中は進むんじゃないでしょうか。
なので、日本全体で人口が減少しても、湾岸エリアが開放的なままであれば、ずっと活気が続く気もしています。とにかく子供が多いので。
それと蛇足ですが、月に1~2度、夜中に「ブォンブォン」と族車のマフラー音が聞こえます(笑)。江戸川区や市川市あたりから来ているんですかね。有明のマクラーレンに激突しないことを祈るばかりです。
<TEXT/とりとん>
―[住民が語る「タワマンの真実」]―