携帯電話最大手のNTTドコモは2023年6月20日、新しい料金プランを7月1日から始めると発表した。データ通信が少ない安価なプランを新たにつくり、これまでどちらかといえば重要視しなかった高齢者層をもターゲットにする狙いだ。
しかし、その代わり、若者に人気があったサブブランドの格安スマホを廃止する方向に加え、料金が実質値上げになるというから、たまらない。ネット上で怒りの声も殺到している。
一方、NTTドコモが低価格プランでなりふり構わぬ攻勢を強めたことで、携帯電話各社の競争がますます激しくなりそうだ。
NTTドコモが6月20日に公開した2つの新料金プランのプレスリリース「新料金プラン『irumo』の提供開始」と、「新料金プラン『eximo』の提供開始」や、報道をまとめると、7月1日から始まる新料金プランの名前は、小容量の利用者向けが「irumo」(イルモ)、そして、大容量の利用者向けが「eximo」(エクシモ)だ。
ちょっとわかりにくい名称だが、「irumo」は「あなたにiru(要る、必要とされる)」をひっかけている。また、「eximo」は「お客の期待をエクシードする(exceed:超える)」を意味している。
そして、どちらも最後に「mo」(モ)を付けたのは、すでにある料金プラン「ahamo」(アハモ)の「モ」と、「NTTドコモ」の「モ」をひっかけており、「ドコモらしさを感じていただける、親しみやすい表現にした」(山本明宏・NTTドコモ営業戦略部長)というわけだ。
それはともかく、データ使用量を抑えた「irumo」では0.5GB(ギガバイト)の550円から9GBの3377円までの4種類を用意した【図表1】。「irumo」は、NTTドコモが7月1日に吸収合併する子会社「NTTレゾナント」が格安スマホとして提供していた「OCNモバイルONE」の実質的な後継プランだろう。
NTTドコモによると、スマホ利用者の間では、動画投稿サイトの普及で、データを大量に使用する人が増える一方、利用者の半数は月に3GB未満の使用にとどまり、二極化の傾向が強まっている。
「irumo」はNTTドコモが対象にしてこなかった、料金を安く抑えつつ、有償でもいいから店頭のサポートも受けたい高齢者をターゲットにしている。
ただし、ドコモショップでのサポート料は安くない。データ移行を伴う初期設定は1回2200円、アプリ設定は1回1650円といった案配だ。また、「irumo」の提供開始に伴い、若年層に人気がある格安スマホ「OCNモバイルONE」の新規取り扱いは6月26日で終了する。
「irumo」は「3GBで月額2167円(割引適用後は月額880円)」で、「OCNモバイルONE」の「3GBで月額990円」より110円安い。しかし、それは「dカードやドコモ光などの割引を適用する」という条件が付いたうえでの「880円」だ。
報道によると、発表会見では記者から「光回線を使えば、総支払い額は880円では済まない。これまで快適に使っていたOCNモバイルONEユーザーの居場所をなくすことにならないか」という質問が出た。
記事によると、NTTドコモの担当者は「今回はドコモのプランというところにこだわっている」として、OCNモバイルONEと比較するというより、サポートなどを手厚くするような考えで設計している、と答えだった。
一方、「eximo」は、大容量ユーザー向けの「ギガホ プレミア」などの後継プラン。その月に利用したデータ量に応じて3段階制の料金プランを用意している。【図表2】。こちらも、「eximo」の開始に伴い、「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」「5Gギガライト」「ギガライト」が6月30日に新規受付を終了する。
いくつかあった大容量中心のプランが、「eximo」という最上位プランに統合されたかたちだ。
今回のNTTドコモの新料金プラン、ヤフーニュースコメント欄でも注目度が高かった。さまざまな意見が寄せられている。特に、「OCNモバイルONE」の新規受付を停止し、「irumo」を登場させたことで、実質的に値上げになったことに対する批判が相次いでいる。
また、新料金プランの発表と、料金変更の告知が遅すぎる、という批判が相次いだ。
最後に、こんな声を紹介したい。
(福田和郎)