世界主要国「解雇しやすさ」ランキング…解雇しにくい国でお馴染みの日本、驚愕の順位

連日、米国IT大手の人員整理のニュースが大きく取り上げられていますが、このような話題が出るたびに「日本は解雇しにくい国」ということが議論されます。では世界の中で、日本はどれほど解雇しにくい国なのでしょうか。OECDの資料から紐解いていきます。
OECD調べ…「解雇しやすさ」の日本の順位は?ツイッター社、アマゾン、メタ……米IT大手による大量解雇のニュースが連日賑わいをみせていますが、このような報道があるたびに、「大量解雇なんて、日本ではムリ」「日本も大胆な人事ができるようにならないと、世界で戦えない」などといった声があがります。

一方で「日本では解雇が難しいというのは幻想」という声も。どういうことなのでしょうか。OECDによる解雇規制の強さを指標化した「雇用保護指標」のランキングでは、42ヵ国中トップは「チェコ」。「トルコ」「オランダ」「ポルトガル」「イタリア」と続きます。これらの国は世界でも解雇しづらい国だといえるでしょう。【世界主要国「解雇しにくさ(雇用保護指標)」上位10】1位「チェコ」3.032位「トルコ」2.953位「オランダ」2.884位「ポルトガル」2.875位「イタリア」2.866位「イスラエル」2.837位「ベルギー」2.718位「ラトビア」2.719位「フランス」2.6810位「アルゼンチン」2.56出所:OECD(2019年)一方雇用保護指標の低い、解雇しやすい国はというと、トップは「コスタリカ」。「ウルグアイ」「アメリカ」「スイス」「カナダ」と続きます。日本はどれほど順位は上なのか……とみていくと、42ヵ国中28位。世間的なイメージとは異なり、日本は世界でも「解雇しやすい国」に分類されるといっていいでしょう。世界と比較すると、日本は解雇に関する法律のしがらみは弱く、解雇しやすい環境にあるといえますが、ではなぜ「日本は解雇規制が厳しい」というイメージが一般化しているのでしょうか。日本では労働契約法第16条で、解雇に関するルールをあらかじめ明示しています。◆労働契約法第16条使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできませんほかにも労働労基準法19条では「]働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」「∋坐飴左紊僚性が65条(産前産後休業に関する条項)の規定によって休業する期間及びその後三十日間」と2つで解雇を禁じています。また男女雇用機会均等法6条では、性別を理由として差別的な取扱いをすることを禁じ、同法9条では、女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを理由とした解雇や、産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇を禁じています。日本特有の「メンバーシップ雇用」が人員整理を阻む労働契約法第16条に19条、労働基準法、男女雇用機会均等法など、ほかにもさまざまな法律で、日本では解雇を規制しています。それでも世界では法規制がゆるいという評価なのです。確かに日本は「米国のように大量解雇はしづらいケースが多い」といえます。その理由としてあげられるのが「雇用契約の内容」です。これが欧米と日本では大きく異なります。日本でよくある「正社員/総合職」「正社員/一般職」での採用。総合職は、社内の中核業務を担い、その業務内容は多岐に渡ります。総合職で入社し、営業、経営、そしてマーケティング……さまざまな部署を経験して幹部候補を育てる……そんな会社も珍しくないでしょう。一般職は、総合職のサポート業務を担う立場。どちらも会社として特定の業務を任せはするものの、雇用形態としては業務を特定していません。この雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用。つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというものです。業務を特定していないので、所属部署を整理することになったとき、他の部署への異動により、社員としての地位を維持します。一方で、業務を特定していないので、所属部所の廃止などは、解雇理由にならないということです。欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。必要な人員のみを採用できるので、余分な人件費を払わずを払わずに済む、というメリットもあります。このように日本では「整理解雇をしにくい雇用契約」が一般的なため、「日本は解雇しにくい国」という認識が広がったというわけです。経団連第5代会長中西宏明氏が「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と提言したことで注目が集まっているジョブ型雇用。専門職を育て、国際競争力をあげるという考えが主軸となっています。欧米で大量かつ一斉解雇が話題になっても、それほど社会に混乱を与えないのは、そもそも専門性の高い人材なので、ほかの企業で働いたらいい、となるから。ジョブ型雇用が日本でも一般的になれば、自然と米国並みに「解雇しやすい国」になる下地はすでにあるといえます。
ツイッター社、アマゾン、メタ……米IT大手による大量解雇のニュースが連日賑わいをみせていますが、このような報道があるたびに、「大量解雇なんて、日本ではムリ」「日本も大胆な人事ができるようにならないと、世界で戦えない」などといった声があがります。
一方で「日本では解雇が難しいというのは幻想」という声も。どういうことなのでしょうか。OECDによる解雇規制の強さを指標化した「雇用保護指標」のランキングでは、42ヵ国中トップは「チェコ」。「トルコ」「オランダ」「ポルトガル」「イタリア」と続きます。これらの国は世界でも解雇しづらい国だといえるでしょう。
【世界主要国「解雇しにくさ(雇用保護指標)」上位10】1位「チェコ」3.032位「トルコ」2.953位「オランダ」2.884位「ポルトガル」2.875位「イタリア」2.866位「イスラエル」2.837位「ベルギー」2.718位「ラトビア」2.719位「フランス」2.6810位「アルゼンチン」2.56出所:OECD(2019年)一方雇用保護指標の低い、解雇しやすい国はというと、トップは「コスタリカ」。「ウルグアイ」「アメリカ」「スイス」「カナダ」と続きます。日本はどれほど順位は上なのか……とみていくと、42ヵ国中28位。世間的なイメージとは異なり、日本は世界でも「解雇しやすい国」に分類されるといっていいでしょう。世界と比較すると、日本は解雇に関する法律のしがらみは弱く、解雇しやすい環境にあるといえますが、ではなぜ「日本は解雇規制が厳しい」というイメージが一般化しているのでしょうか。日本では労働契約法第16条で、解雇に関するルールをあらかじめ明示しています。◆労働契約法第16条使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできませんほかにも労働労基準法19条では「]働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」「∋坐飴左紊僚性が65条(産前産後休業に関する条項)の規定によって休業する期間及びその後三十日間」と2つで解雇を禁じています。また男女雇用機会均等法6条では、性別を理由として差別的な取扱いをすることを禁じ、同法9条では、女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを理由とした解雇や、産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇を禁じています。日本特有の「メンバーシップ雇用」が人員整理を阻む労働契約法第16条に19条、労働基準法、男女雇用機会均等法など、ほかにもさまざまな法律で、日本では解雇を規制しています。それでも世界では法規制がゆるいという評価なのです。確かに日本は「米国のように大量解雇はしづらいケースが多い」といえます。その理由としてあげられるのが「雇用契約の内容」です。これが欧米と日本では大きく異なります。日本でよくある「正社員/総合職」「正社員/一般職」での採用。総合職は、社内の中核業務を担い、その業務内容は多岐に渡ります。総合職で入社し、営業、経営、そしてマーケティング……さまざまな部署を経験して幹部候補を育てる……そんな会社も珍しくないでしょう。一般職は、総合職のサポート業務を担う立場。どちらも会社として特定の業務を任せはするものの、雇用形態としては業務を特定していません。この雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用。つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというものです。業務を特定していないので、所属部署を整理することになったとき、他の部署への異動により、社員としての地位を維持します。一方で、業務を特定していないので、所属部所の廃止などは、解雇理由にならないということです。欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。必要な人員のみを採用できるので、余分な人件費を払わずを払わずに済む、というメリットもあります。このように日本では「整理解雇をしにくい雇用契約」が一般的なため、「日本は解雇しにくい国」という認識が広がったというわけです。経団連第5代会長中西宏明氏が「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と提言したことで注目が集まっているジョブ型雇用。専門職を育て、国際競争力をあげるという考えが主軸となっています。欧米で大量かつ一斉解雇が話題になっても、それほど社会に混乱を与えないのは、そもそも専門性の高い人材なので、ほかの企業で働いたらいい、となるから。ジョブ型雇用が日本でも一般的になれば、自然と米国並みに「解雇しやすい国」になる下地はすでにあるといえます。
【世界主要国「解雇しにくさ(雇用保護指標)」上位10】
1位「チェコ」3.03
2位「トルコ」2.95
3位「オランダ」2.88
4位「ポルトガル」2.87
5位「イタリア」2.86
6位「イスラエル」2.83
7位「ベルギー」2.71
8位「ラトビア」2.71
9位「フランス」2.68
10位「アルゼンチン」2.56
出所:OECD(2019年)
一方雇用保護指標の低い、解雇しやすい国はというと、トップは「コスタリカ」。「ウルグアイ」「アメリカ」「スイス」「カナダ」と続きます。
日本はどれほど順位は上なのか……とみていくと、42ヵ国中28位。世間的なイメージとは異なり、日本は世界でも「解雇しやすい国」に分類されるといっていいでしょう。
世界と比較すると、日本は解雇に関する法律のしがらみは弱く、解雇しやすい環境にあるといえますが、ではなぜ「日本は解雇規制が厳しい」というイメージが一般化しているのでしょうか。
日本では労働契約法第16条で、解雇に関するルールをあらかじめ明示しています。
◆労働契約法第16条使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできませんほかにも労働労基準法19条では「]働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」「∋坐飴左紊僚性が65条(産前産後休業に関する条項)の規定によって休業する期間及びその後三十日間」と2つで解雇を禁じています。また男女雇用機会均等法6条では、性別を理由として差別的な取扱いをすることを禁じ、同法9条では、女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを理由とした解雇や、産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇を禁じています。日本特有の「メンバーシップ雇用」が人員整理を阻む労働契約法第16条に19条、労働基準法、男女雇用機会均等法など、ほかにもさまざまな法律で、日本では解雇を規制しています。それでも世界では法規制がゆるいという評価なのです。確かに日本は「米国のように大量解雇はしづらいケースが多い」といえます。その理由としてあげられるのが「雇用契約の内容」です。これが欧米と日本では大きく異なります。日本でよくある「正社員/総合職」「正社員/一般職」での採用。総合職は、社内の中核業務を担い、その業務内容は多岐に渡ります。総合職で入社し、営業、経営、そしてマーケティング……さまざまな部署を経験して幹部候補を育てる……そんな会社も珍しくないでしょう。一般職は、総合職のサポート業務を担う立場。どちらも会社として特定の業務を任せはするものの、雇用形態としては業務を特定していません。この雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用。つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというものです。業務を特定していないので、所属部署を整理することになったとき、他の部署への異動により、社員としての地位を維持します。一方で、業務を特定していないので、所属部所の廃止などは、解雇理由にならないということです。欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。必要な人員のみを採用できるので、余分な人件費を払わずを払わずに済む、というメリットもあります。このように日本では「整理解雇をしにくい雇用契約」が一般的なため、「日本は解雇しにくい国」という認識が広がったというわけです。経団連第5代会長中西宏明氏が「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と提言したことで注目が集まっているジョブ型雇用。専門職を育て、国際競争力をあげるという考えが主軸となっています。欧米で大量かつ一斉解雇が話題になっても、それほど社会に混乱を与えないのは、そもそも専門性の高い人材なので、ほかの企業で働いたらいい、となるから。ジョブ型雇用が日本でも一般的になれば、自然と米国並みに「解雇しやすい国」になる下地はすでにあるといえます。
◆労働契約法第16条
使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません
ほかにも労働労基準法19条では「]働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」「∋坐飴左紊僚性が65条(産前産後休業に関する条項)の規定によって休業する期間及びその後三十日間」と2つで解雇を禁じています。
また男女雇用機会均等法6条では、性別を理由として差別的な取扱いをすることを禁じ、同法9条では、女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを理由とした解雇や、産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇を禁じています。
日本特有の「メンバーシップ雇用」が人員整理を阻む労働契約法第16条に19条、労働基準法、男女雇用機会均等法など、ほかにもさまざまな法律で、日本では解雇を規制しています。それでも世界では法規制がゆるいという評価なのです。確かに日本は「米国のように大量解雇はしづらいケースが多い」といえます。その理由としてあげられるのが「雇用契約の内容」です。これが欧米と日本では大きく異なります。日本でよくある「正社員/総合職」「正社員/一般職」での採用。総合職は、社内の中核業務を担い、その業務内容は多岐に渡ります。総合職で入社し、営業、経営、そしてマーケティング……さまざまな部署を経験して幹部候補を育てる……そんな会社も珍しくないでしょう。一般職は、総合職のサポート業務を担う立場。どちらも会社として特定の業務を任せはするものの、雇用形態としては業務を特定していません。この雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用。つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというものです。業務を特定していないので、所属部署を整理することになったとき、他の部署への異動により、社員としての地位を維持します。一方で、業務を特定していないので、所属部所の廃止などは、解雇理由にならないということです。欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。必要な人員のみを採用できるので、余分な人件費を払わずを払わずに済む、というメリットもあります。このように日本では「整理解雇をしにくい雇用契約」が一般的なため、「日本は解雇しにくい国」という認識が広がったというわけです。経団連第5代会長中西宏明氏が「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と提言したことで注目が集まっているジョブ型雇用。専門職を育て、国際競争力をあげるという考えが主軸となっています。欧米で大量かつ一斉解雇が話題になっても、それほど社会に混乱を与えないのは、そもそも専門性の高い人材なので、ほかの企業で働いたらいい、となるから。ジョブ型雇用が日本でも一般的になれば、自然と米国並みに「解雇しやすい国」になる下地はすでにあるといえます。
日本特有の「メンバーシップ雇用」が人員整理を阻む労働契約法第16条に19条、労働基準法、男女雇用機会均等法など、ほかにもさまざまな法律で、日本では解雇を規制しています。それでも世界では法規制がゆるいという評価なのです。確かに日本は「米国のように大量解雇はしづらいケースが多い」といえます。その理由としてあげられるのが「雇用契約の内容」です。これが欧米と日本では大きく異なります。日本でよくある「正社員/総合職」「正社員/一般職」での採用。総合職は、社内の中核業務を担い、その業務内容は多岐に渡ります。総合職で入社し、営業、経営、そしてマーケティング……さまざまな部署を経験して幹部候補を育てる……そんな会社も珍しくないでしょう。一般職は、総合職のサポート業務を担う立場。どちらも会社として特定の業務を任せはするものの、雇用形態としては業務を特定していません。この雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用。つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというものです。業務を特定していないので、所属部署を整理することになったとき、他の部署への異動により、社員としての地位を維持します。一方で、業務を特定していないので、所属部所の廃止などは、解雇理由にならないということです。欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。必要な人員のみを採用できるので、余分な人件費を払わずを払わずに済む、というメリットもあります。このように日本では「整理解雇をしにくい雇用契約」が一般的なため、「日本は解雇しにくい国」という認識が広がったというわけです。経団連第5代会長中西宏明氏が「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と提言したことで注目が集まっているジョブ型雇用。専門職を育て、国際競争力をあげるという考えが主軸となっています。欧米で大量かつ一斉解雇が話題になっても、それほど社会に混乱を与えないのは、そもそも専門性の高い人材なので、ほかの企業で働いたらいい、となるから。ジョブ型雇用が日本でも一般的になれば、自然と米国並みに「解雇しやすい国」になる下地はすでにあるといえます。
労働契約法第16条に19条、労働基準法、男女雇用機会均等法など、ほかにもさまざまな法律で、日本では解雇を規制しています。それでも世界では法規制がゆるいという評価なのです。
確かに日本は「米国のように大量解雇はしづらいケースが多い」といえます。その理由としてあげられるのが「雇用契約の内容」です。これが欧米と日本では大きく異なります。
日本でよくある「正社員/総合職」「正社員/一般職」での採用。総合職は、社内の中核業務を担い、その業務内容は多岐に渡ります。総合職で入社し、営業、経営、そしてマーケティング……さまざまな部署を経験して幹部候補を育てる……そんな会社も珍しくないでしょう。一般職は、総合職のサポート業務を担う立場。どちらも会社として特定の業務を任せはするものの、雇用形態としては業務を特定していません。
この雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用。つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというものです。業務を特定していないので、所属部署を整理することになったとき、他の部署への異動により、社員としての地位を維持します。一方で、業務を特定していないので、所属部所の廃止などは、解雇理由にならないということです。
欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。必要な人員のみを採用できるので、余分な人件費を払わずを払わずに済む、というメリットもあります。
このように日本では「整理解雇をしにくい雇用契約」が一般的なため、「日本は解雇しにくい国」という認識が広がったというわけです。
経団連第5代会長中西宏明氏が「メンバーシップ型の雇用を見直すべき」と提言したことで注目が集まっているジョブ型雇用。専門職を育て、国際競争力をあげるという考えが主軸となっています。
欧米で大量かつ一斉解雇が話題になっても、それほど社会に混乱を与えないのは、そもそも専門性の高い人材なので、ほかの企業で働いたらいい、となるから。ジョブ型雇用が日本でも一般的になれば、自然と米国並みに「解雇しやすい国」になる下地はすでにあるといえます。