4億2000万円を着服した業務上横領の罪に問われた国際政治学者・三浦瑠麗氏の夫・三浦清志被告の初公判が14日に東京地裁で行われ、清志被告は起訴内容を否認した。この日、傍聴席には瑠麗氏の姿はなかった。
再生可能エネルギーへの投資やコンサルタントを行うトライベイキャピタル元代表の清志被告は、太陽光発電事業に絡み、2019年10月に3回にわたってトライベイ社の債務弁済などに使う目的で、預金管理などを任されていた別会社の資金4億2000万円を横領した罪に問われている。初公判で清志被告は「私は無罪です」と否認した。
法曹関係者は「横領額が4億2000万円と巨額なので、有罪になれば5~6年といった長期の実刑を覚悟しなければならない」と指摘。3月7日に逮捕されて以降、勾留は続き、4か月以上も妻の瑠麗氏とは離れ離れとなっている。
この事件をめぐっては、瑠麗氏が政府の成長戦略会議メンバーとして太陽光発電を推進する発言を繰り返しており、一部で利益相反を指摘する声が上がっていた。また、トライベイ社と瑠麗氏のシンクタンク「山猫総合研究所」が同じ事務所で、清志被告がかつて同シンクタンクの取締役だったことなどもあり、世間からは瑠麗氏の関与を疑う声が上がっていた。
もっとも瑠麗氏は事件が明るみに出た直後、「夫の会社経営には関与しておらず、一切知り得ないこと」と完全否定。9日に公開されたユーチューブチャンネル「ReHacQ―リハック―」でも、清志被告の初公判を直前に控えて「夫とはいえ、私の会社でもなければ私個人でもないので、わからないところはわからない」「特に皆さんより何か知ってるかというと知らない」と、繰り返し否定している。
初公判のこの日、各メディアは瑠麗氏が夫の裁判の傍聴で姿を見せるかに注目したが、東京地裁に現れることはなかった。裁判では被告人の情状弁護で配偶者が出廷することがあるが、清志被告は全面無罪を主張しており、瑠麗氏が夫の情状酌量を涙ながらに訴える場面もないとみられる。
ただ瑠麗氏の動向が注目されるのは今後も変わらない。初公判直前に瑠麗氏がリハックに出演し、話題になったが、本人も「マスコミの方は事件にほとんど関心がないと思う。マスコミが徹頭徹尾関心があったのは『私がどんな靴を履いてるのか』とか『どういう反応をするか』で事件そのものに関心はない」と自身が犲臾鬮瓩箸覆辰討い觚従を認識している。
清志被告の逮捕以降、主戦場だったテレビ出演の機会を失っていることには「メディアに出るために人生送ってるわけじゃない」と語っているが、本心がどうかまではわからない。
テレビ関係者は「少なくとも清志被告の裁判が終わるまでは、瑠麗氏のテレビ起用はない」と指摘する。清志被告が否認し続ければ、判決まで1年近く要するとみられ、最高裁まで争う事態になれば数年単位になる。夫の無罪を願う妻として瑠麗氏も複雑な心境だろう。