化粧品メーカー「ディー・アップ」(東京都港区)の社長からパワーハラスメントを受けた後に自殺した女性社員(当時25歳)の遺族が、同社と社長に損害賠償を求めた訴訟を巡り、東京地裁は、同社側に1億5000万円の支払いなどを求める決定を出した。
遺族と代理人弁護士が11日、記者会見し明らかにした。決定は9日付。
代理人の松本龍馬弁護士によると、訴訟は今月に入って調停に移行し、地裁が職権による決定で解決策を示した。社長が遺族側に謝罪し、代表取締役を辞任することも盛り込まれたという。
女性は、2021年4月に同社に入社した里実さん(姓は非公表)。同年12月、社長から「野良犬」「大人をなめるなよ」などと叱責された後、うつ病を発症して自殺した。三田労働基準監督署が24年に労災認定していた。
同社と社長は取材に、同社側の代理人弁護士を通じて「亡くなられた元従業員と遺族に対し、衷心よりおわび申し上げる」とコメントした。同社によると、社長は10日付で代表取締役を退任した。