参院選が公示され、19日まで全国各地で期日前投票が行われています。
そんな中、SNSには期日前投票に行った人たちが投票所で投票用紙を撮影し、支持する「推し」の候補や政党への投票を呼び掛ける投稿が散見されています。その行為は法律上、問題はないのでしょうか。(デジタル編集部 服部菜摘)
公職選挙法では、投票所内での写真撮影を直接禁止する規定はありません。しかし、「投票所の秩序を乱す者がいれば、投票管理者はこれを制止し、従わないときは投票所外に退出させることができる」としています。
千葉県選挙管理委員会は8日、参院選の特設サイト内に「投票Q&A」を設け、投票所内での写真撮影について
〈1〉シャッター音のほか撮影に伴う所作などから、他の選挙人に対し、不安感や動揺など心理的な影響を与える
〈2〉他の選挙人が映り込むことや、指示通りに投票したかを確認するための手段として使われることで、投票の自由や投票の秘密を侵害する可能性がある
場合は、投票管理者が注意し、制止する場合もあると記載しました。
撮影した写真に他の人が映り込むと、公選法で定めた「投票の秘密保持」(誰がどこに投票したかを明らかにする義務はない)を侵すことになりかねないためです。
県選管によると、これまでの他の選挙の際にも「投票所内で撮影をしている人がいるがこれは問題ないのか」との問い合わせがあったり、今回の参院選でも投票用紙を撮影してSNSで拡散するよう呼び掛ける動きがあったりしたため、こうした項目を設けたとのことです。
実際に投票所を運営管理する市区町村選管によっては、撮影自体を禁止している自治体もあり、大阪市はHP上で「トラブルを避けるためにも撮影はご遠慮ください」としています。
撮影した投票用紙をSNS上に投稿して投票を呼び掛ける行為はどうでしょうか。
公選法では「特定の選挙で、特定の候補者の当選を目的にした、直接的または間接的な行為」は、「選挙運動」とされています。この「選挙運動」は、立候補の届け出が受理された時点から投票日前日までと決まっており、投票日当日は認められていません。
2013年からはインターネットでの選挙運動も解禁となりました。千葉県選管や大阪市選管は、投票日当日に撮影した投票用紙をSNSに投稿し、特定の候補らへの投票を呼びかけることについては「選挙運動にあたる」としており、「公選法に抵触する恐れがある」として注意を促しています。
知らないうちに違法行為をしていたとならないよう、インターネットでの発信については注意する必要があります。