先天的に口腔と鼻腔を分離する軟口蓋、硬口蓋あるいは口唇の一部に裂け目が生じる口唇口蓋裂。
【ビフォー写真】裂け目が鼻まで達する完全口唇裂でした
日本では500人に1人程度の確率で発生。かつては容貌や発音への影響に苦しむ人が多かったが、近年は外科手術の技術が進み、ほとんど治療痕をわからなくすることも可能になったようだ。
今、SNS上で大きな注目を集めているのはお子さんの口唇裂手術の経過を紹介するすいさん(@swiswi1228)の投稿。
今年1月に生まれたお子さんに左側の口唇裂がみられたすいさん。裂け目が鼻まで達する完全口唇裂だったが、6月初旬に手術を受けたところ、術後8日目には見事なまでに綺麗に裂け目がふさがっているのだ。
すいさんにお話を聞いた。
ーーお子さまの口唇裂がわかった際のご感想を。
すい:ドラマ『コウノドリ』の影響もあり、口唇口蓋裂という疾患自体は知っていました。しかしまさか自分の子が…と驚きましたし、子供の将来を思ってとても心配にもなりました。何より、心臓など他の臓器の疾患も併発している可能性が高いと説明され、とても不安になったことを覚えています。告知された当日は、何が不安か、何が悲しいかあやふやなまま、仕事も放ってとにかく泣いていました。
しかし気持ちを整理してみると、我が子と私は別人格だし、勝手に悲しむのは違うよなぁと。今後悲しい気持ちになるとしたら、手術などの治療で我が子が苦しんでいる時、そして口唇裂起因で我が子が悩み出した時かなと考えました。むやみにクヨクヨするより親として最善のことをしてあげようと心に決めました。
ーー手術の担当医師を見つけるまでの経緯は?
すい:妊娠20週すぎの中期スクリーニング検査で発覚しましたが、出産予定での病院では口唇口蓋裂治療は行なっておらず、別で病院を探すことになりました。初めは出産予定の病院の提携先の大学病院での治療を考えていましたが、出産後に新生児科の先生とも相談して日本で1番症例数の多い病院への通院を決めました。
しかしそこでお話を聞いたところ、1週間の入院中の付き添いは不可、そして面会も1日15分までに制限されていると聞き、かなり落ち込みました。感染症対策とは言えこんなに長い間、生後間もない我が子と離れることが受け入れられなかったからです。
そんなふうに迷っていた時に、以前SNSを通じて「ゴッドハンド」と呼ばれている先生を紹介していただいたことを思い出し、その病院を受診することに。先生とも直接お話しできて「この先生にお願いしたい!」という思いが強くなり、最初の病院には申し訳ないのですが、こちらの病院にお世話になることに決めました。もちろん、付き添い入院や面会時間の制限も厳しくありませんでした。
ーー術後の経過はいかがですか?
すい:直後は傷口のテープ越しからも分かるくらい腫れていて痛々しく、ただただ「頑張ったね」という気持ちでいっぱいでした。それから数日経って傷口のテープ貼り替えをしたときに、すでにきれいなお口ができていてとてもびっくりしたのを覚えています。
術後約1週間で抜糸を行い、その日は傷口の様子を見ることはできなかったのですが、翌日テープ貼り替えの際に口元を見た時に、まるでただ怪我をしただけなんじゃないかという仕上がりになっていて、驚きとうれしさで興奮しました。大反響があったあの投稿の写真はこの時のお顔です。
このままきれいに仕上がってくれると嬉しいなと思っています。
ーー投稿に対し大きな反響がありました。
すい:我が子に口唇裂が発覚した頃、たまたま口唇裂手術のビフォーアフターを載せたポストがおすすめで流れてきました。その術後のお口がとてもきれいで「現代の医療すごおおおい!」と感動したのと同時に、きっと我が子もなんとかなるのかなと安心感が持てたので、我が子に無許可でありますが私も手術が終わったらこんなふうになったと共有しようかなと考えていました。そのため今回の投稿でたくさん拡散され、同じ状況で悩んでいるであろう親御さんたちに届いたのであれば本望でした。実際にそういったメッセージもいただきましたし、うれしかったです。
◇ ◇
SNSユーザー達から
「わあ!可愛いですねぇ うちの子も10年前に口唇裂手術しました。1回の手術でこんなにきれいになるんだなーって感動しますよね お腹の中にいる時に口唇口蓋裂がわかって不安でいっぱいになったのをすごく覚えているので、この写真に救われる妊婦さんがたくさんいらっしゃると思います 」「へー! 今は一度の手術でここまで綺麗になるんですね。 俺も幼少期に同じ症状で3度ほど手術しました(物心がついてない頃なので記憶はないです) 傷跡もなく見た目も普通になりますのでご安心下さい!」
など数々のコメントが寄せられた今回の投稿。
すいさんは今回の妊娠出産とお子さんの口唇裂の一連をnoteでも紹介しているので、関心のある方にはぜひお読みいただきたいと思う。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)