お酒を飲めるお店と言えば、誰もが居酒屋を真っ先に思い浮かべるだろう。だが、実はファミレスでも美味しくお酒が飲める。そして中でも「ガスト」は、かなりコスパが優れている。
「ガスト」をはじめ、「バーミヤン」「ジョナサン」など多彩なファミレスを展開するすかいらーくグループ。中でも「ガスト」は1242店と、全3070店舗のおよそ3分の1以上を占める“主力ブランド”だ。
すかいらーくグループは、2025年1~6月の累計売上高が前年同期比113.9%と好調だ。その背景として、「ガスト」が“ちょい飲みスポット”として機能し始めていることも一因かもしれない。徐々に居酒屋としてのポテンシャルが世間にバレ始めているのかはわからないが、今回はそんな「ガスト」でちょい飲みしてきた。
※以下、価格は2025年6月取材日時点の「ガスト」超都心価格メニューの税込価格です。店舗により価格が異なります。
◆1人で入っても恥ずかしくない
今回「ガスト 高田馬場駅前店」を訪問。平日の15時ごろに入店したが、6~7割ほど埋まっていた。
居酒屋気分で来店したため、最初は「まだ明るいのにめっちゃ人いるじゃん」と動揺したが、「ファミレスだからむしろ普通では?」とすぐに平静を保つことに成功。客層はビジネスパーソン、カップル、友達同士、井戸端会議をしている中年の人たちなど幅広い。ただ、飲んでいる人は見当たらない。
「ガスト」は一時期から1人客を取り込むことに力を入れており、高田馬場駅前店でも1人でものんびりできそうな1人用の席が複数ある。
ファミレスでの1人飲みに恥ずかしさを覚える人は一定数いるかもしれない。本来1人飲み客のために用意したわけではないだろうが、こういった席があるのはありがたい。
ただ、客席に余裕があったからなのか、今回は一般的な2人用の席に通された。
◆ガストはもう、思っている以上に居酒屋でした
メニュー表に目を通すと、平日18時30分まではハッピーアワーのため、アルコール類をはじめとしたメニューがいくらか安くなっている。「アサヒスーパードライ(ジョッキ)」(440円)、「角ハイボール」(390円)などお得だ。
とはいえ、ハッピーアワー外では「アサヒスーパードライ(ジョッキ)」が約600円することには凶暴さを感じるものの、ハイボールやレモンサワーは440円と、もともとの値段は比較的安い。加えて、今回は頼まなかったが、「ちょい飲みセット」もコスパが良い。もう「ガスト」は私たちが思っている以上に居酒屋なのかもしれない。
ここで余談ではあるが、「ガスト」は店舗によって値段が変動するのをご存知だろうか。今回訪問の高田馬場駅前店は「超都心価格メニュー」のため「アサヒスーパードライ(ジョッキ)」は440円だったが、八王子駅北口店は「都市部価格メニュー」のため同メニューは390円となっているなど、いろいろなメニューの値段が違う。「超都心価格メニュー」と「都市部価格メニュー」の境目はわからないが、来店する店舗によっては今回以上にコスパ良く飲めそうだ。
◆食べる前からビールに合うことが約束されている
今回は「アサヒスーパードライ(ジョッキ)」、「若鶏スパイス焼き」(440円)、「焼きたて明太トースト」(290円)、「ほうれん草とベーコンのチーズ焼き」(470円)を注文。まずビールのサイズはちゃんと中ジョッキだった。
まず「若鶏スパイス焼き」からレポートしたい。何と言っても、香りが素敵。香ばしいチキン、程よく鼻をつくスパイスなど、食べる前からビールに合うことが約束されている一品だ。そして、確定演出があった通り、やはりビールとの相性が良すぎた。
塩味が強すぎるメニューだと、その塩味を薄めるためにビールを飲む必要が生まれる。この場合、たしかにビールは進むが、無理矢理飲まされている気がして、個人的にはそういった味付けは好きではない。その点、「若鶏スパイス焼き」の塩味は、唐揚げや焼き鳥といった鶏肉料理と比較するとそこまで強くない。
ジューシーさ、鶏肉特有のサッパリ感、スパイスの香りが絶妙にマッチしており、塩味に惑わされることなくビールが進む。また、鉄板に乗っているため、ホカホカ状態を長く楽しめるのも感謝しかない。
◆マジで100本食べられる
次は「焼きたて明太トースト」。
外はサクサク、中はモッチリという、みんな大好きな仕上がり。外側を噛むとパリッとしているが、口の中に運ぶとモグモグ食感を楽しめる。
明太子を塗ったパンは他店にもあるが、基本的には明太マヨのケースが多い。多くは明太マヨではマヨネーズに味わいの割合を奪われ、“明太風”くらいしか味がわからない。その点、ガストの同メニューは明太マヨではなく明太子が塗りたくられている。ピリ辛な明太子の味をダイレクトにくらうことが可能。
パンと明太子という決して意外ではない組み合わせだが、真新しさを体験できる。食感と味がとても良く、こんなわんぱく小学生みたいなことは言いたくないが、マジで100本は食べられる。そんな味だった。
◆写真映えしない“ロングセラー”は味変で
最後はメニュー表に「ロングセラー」と書かれていたので注文した「ほうれん草とベーコンのチーズ焼き」。
しっかりとチーズは伸びるが、ほうれん草の緑色がどこかおどろおどろしいため決して写真映えはしない。ただ、ほうれん草とアツアツチーズの互換性が高く、味はバッチリ。ジャンクさはなくスッキリとした味で、ビールからワインまで幅広いお酒に合いそうだ。
思いの外ほうれん草がマシマシで、中盤くらいで飽きが来た。そこで卓上の醤油をかけて味変すると、おひたしのような別の美味しさが見つかり、最後まで美味しくいただけた。
ちなみに、「ベーコン」とメニュー名に書かれているにもかかわらず、ベーコンは2切れほどしか入っていなかったのは残念。とはいえ、年齢的にも野菜が多いほうが嬉しいので、特に気にならなかった。
◆クーポンでいつでもお得
“もう一杯”としてハイボール(390円)も注文した。ビールよりは50円安かったが、グラスはビールよりも小さかったため、「安いからハイボールのほうがコスパが良い」というわけではなかった。
また、注文する際にプラス100円で「濃いめ」を選択できる。飲みたい人への細かい配慮がうかがえ、今後ますます居酒屋としての一面が強化されそうで、期待したくなる。
2杯飲んで、多種多様な3品を食べて約2000円と満足度高く飲めた。
今回はハッピーアワーだから料金を抑えられたわけだが、「ガスト」はビール200円引きやハイボール100円引きなど、いろいろな種類のクーポンを定期的に配布している。ハッピーアワーでなくても安く飲めるので、公式Xなどをチェックしてみてはどうか。
<写真・文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki