1945年2月10日の太田大空襲を地上から撮影した映像が、群馬県高崎市綿貫町の県立歴史博物館で見つかった。
当時、空襲の撮影は政府が禁じており、同館は「地上から撮影した映像は貴重」としている。
「B29 群馬地区来襲 昭和20年2月10日」というタイトルの約1分半の映像には、防災ずきんをかぶった多くの人が逃げる様子や、編隊を組んで襲来する米軍爆撃機「B29」などが収められている。同館によると、中島飛行機の従業員が撮影した。
映像は82年、同館の元学芸員で前橋空襲の被災者でもあった原田恒弘さん(87)(前橋市住吉町)が、空襲の資料を集めるなかで入手。フィルムを複写して保存した。原田さんは「日本側が撮影した映像はほとんどない。一級の資料で、ぜひ大切にしたいと思った」と話す。
その後、原田さんが同館を離れたことで映像の存在は長く忘れられていたが、2023年に思い出したことで再発見された。
同館は現在、希望する団体や自治体には、映像の複製を貸し出している。
関口俊邦・主幹専門員は「資料を後世に伝えていくのが歴史博物館の使命だ」と意義を強調し、原田さんは「広く皆さんに見てほしい」と語った。