皆さんは、お風呂に入るとき、湯船に浸かりたい派ですか? それともシャワー派ですか?
「ゆっくりとお湯に浸かって疲れを癒やしたい」という人もいれば、「シャワーでさっと済ませたい」という人、「気分によって両方を使い分けている」という人もいるはずですが、実際のところ、浴槽にお湯を張って入浴するのとシャワーとでは、コストはどのくらい違ってくるのでしょうか。
まず、ひとくちにお風呂といっても、お湯を沸かす仕組みやかかるコストはそれぞれの家庭や地域によって千差万別です。ガスの給湯器が主流ではありますが、オール電化の家庭など電気給湯器を使っている場合もあります。最近では、ガスと電気の両方を使用した、ハイブリッドカーならぬハイブリッド給湯器も少しずつ普及してきています。寒い地域を中心に石油をエネルギーとした給湯器が用いられている場合もあります。
また、同じガスでも都市ガスの場合とプロパンガスの場合とでコストは異なってきます。通常、都市ガスとプロパンガスを同じ量使用したと仮定するとプロパンガスのほうがコストは高くなります。加えて契約プランによっても単価が異なります。
もし自宅のお風呂がどのような仕組みになっているかを知らないという場合には、まずはそこを確認するところから始めてみましょう。そしてついでに契約プランもチェックすると公共料金全体の節約につながるかもしれません。
さて、一般的な都市ガスでのお風呂を想定した場合、お風呂に入る際の主なコストとして挙げられるのが、ガス代と水道代になります。
湯船に1回浸かった場合の、ガス代と水道代の合計はいくらくらいになるのでしょうか。ざっくりとシミュレーションしましょう。
一般的な浴槽の場合、水の容量は約200リットル(0.2)です。仮に20℃の水を40℃まで温めるとすると、おおよそ80円のガス代がかかるといわれています。
一方の水道代について、こちらも全体の使用量などによって単価が違ってくるのですが、仮に1あたり220円とすると200リットル(0.2)で44円。1回あたりの合計はガス代80円+水道代44円=124円なので、1カ月(30日)湯船に浸かると124円30回=3,720円かかる、という計算になります。
では、シャワーの場合はどうでしょうか。
一般的にシャワーを1分すると、約10リットルの水を使用すると言われています。1回のシャワーで10分間、お湯を使用すると仮定すると、お湯の量は100リットル(0.1)。つまりお湯を張った場合の半分です。単純計算をすると、シャワー1回あたりのコストは、ガス代40円+水道代22円で62円。1ヵ月(30日)で62円30回=1,860円かかるという想定になります。
しかし、ここで問題が。それは、シャワーの場合は純粋にシャワーだけで済みますが、湯船に浸かる場合、最初に身体の汚れを落としたり、シャンプーをしたりするのにシャワーも併用するケースが多いということ。
湯船に浸かったからといってシャワーの時間が短縮できるというものではないので、この場合、単純に湯船に浸かった場合のコスト+シャワーのコストがかかることになります。つまり1カ月のコストは(124円+62円)30回=5,580円。このように考えると、毎日湯船に浸かるのとシャワーで済ませるのとでは、実質的には1カ月あたり3,720円、比較すると約3倍の開きがあるといえるかもしれません。加えて、家族がバラバラの時間にお風呂に入る場合、その間の保温についても上乗せでコストがかかることになります。
とはいえ、他の支出と同様に、お風呂のコストについても工夫次第で節約をすることができます。
浴槽にお湯を張る際、お湯の量を少なめにするというのもそのひとつです。たっぷりのお湯に浸かって全身浴をするのもよいのですが、ゆっくり半身浴をすれば、身体への負担を減らして疲労回復を図ることができます。もちろん、お湯が冷めないように保温する時間が長いほどガス代がかさむことになりますが、お湯の量を調節することは、コストを減らすためのひとつの方法といえるでしょう。
できるだけ家族まとめて、あるいは続けてお風呂に入るというのも、追い焚きのためのコストが少なくて済む分だけ節約につながります。保温機能ではなく、風呂ふたを活用している人も多いかもしれません。いずれにしても、お風呂に入ろう、入ろうと思いながらだらだらテレビやYouTubeを観ていて気付いたら数時間経っていた……とならないように意識したいところです。
シャワーについても、節水シャワーヘッドを活用すれば、お湯の使用量を抑えることが可能です。また、シャンプーをつけている間や身体を洗っている間などにこまめにシャワーを止めることもポイント。毎日10分のシャワーが5分に短縮できれば、コストもそのまま半額に。長期的に見れば、その差がまとまった金額の差になっていきます。
「シャワーのほうがコストが少なくて済むのはわかっているけれど、やはり湯船にゆっくり浸かって疲れをとりたい」という人は、残り湯を活用することでコスト削減を考えてみてはいかがでしょうか。
残り湯を洗濯に活用すれば、全体での水道代の節約につながります。1回のお風呂で使う約200リットル(0.2)の水の量のうち、60リットル(0.06)を洗濯に活用すると、1あたり220円なので、220円0.06/1=13.2円。1日1回だと仮定すると、1カ月(30日)で約400円の節約になります。他にも、洗車やトイレ掃除、植木の水やりなどに残り湯を活用するという方法もあります。入浴剤を入れた場合には用途がある程度限られてきますが、これからの季節であれば、打ち水に活用するのもおすすめです。
毎日のお風呂には、身体を清潔に保つだけでなく、疲労回復やリラックス、快眠、肩こり緩和といった多くの健康効果があります。また、家族で一日の出来事を話したり、スキンシップをしたりといったコミュニケーションの場としても大きな役目を果たします。ですから、必ずしもコストが安くて済むことだけが正義ではありません。毎日湯船に浸かるにしても、シャワーで済ませるにしても、無理のない範囲で、その中でできる工夫をしていきたいところですね。
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