「国語ができない子ども」他の科目も伸び悩む根拠

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(漫画:三田紀房/コルク)
記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。
その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。
そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第120回は、国語が不得意な子どもはほかの科目でも伸び悩む理由をお話しします。

「国語力があれば、全科目の成績が上がる」という話を知っていますか?
さまざまな塾や予備校の先生が、口を揃えて言うほど、有名な話です。僕自身も生徒に勉強を教えていると、国語が得意な一方で、ほかの科目で成績が伸び悩んでいる生徒の場合は、国語以外の科目の成績が「後伸び」してよくなるケースがあると実感しています。
逆に成績がよくても、国語が苦手なタイプの子どもだと、英語や社会・数学などで成績が伸び悩むケースが多々見受けられます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか? その答えの1つとして、「国語ができる生徒は、正解を選ぶ能力が高いから」という点があります。まずは、それについて説明している『ドラゴン桜』のワンシーンをご覧ください。
※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

(漫画:三田紀房/コルク)

(漫画:三田紀房/コルク)

(漫画:三田紀房/コルク)

(漫画:三田紀房/コルク)

(漫画:三田紀房/コルク)
漫画で描かれているように、選択肢を選ぶ問題では、中身をあまり読まなくても、正解を選べる場合は多いです。そしてこれは、国語に限った話ではありません。すべての科目で言えることです。
例えば、選択肢の中に「絶対」「例外なく」「必ず」なんて表現があったら、それは断定的な表現なので、×になることが多いです。
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このような表現の場合、もし1つでも例外が考えられる場合には、正解にはならないですよね。
例えば、社会の問題で「こういうケースは、必ず違法になる」という選択肢があったとしましょう。もし例外が1つでも考えられるのであれば、この選択肢は正解にはなりません。逆にそれを正解だとしてしまったら、いろんな人から「こういうケースも、考えられるじゃないか!」というツッコミが入ることでしょう。
一方で、正解になりやすい表現もあります。例えば先程の例から「必ず」の一言を抜いて、「こういうケースは、違法になることがある」と書いてあったとしましょう。
1つでも違法になる事例があったとしたら、この選択肢は正解になりますよね。逆にこれが正解ではないとすると、「絶対に違法にはならない」ということになってしまいますから、やはりツッコミが入ってしまうでしょう。
ほかにも、「~なことがある」「~な場合がある」「~な傾向がある」といった表現は、完全に否定しているわけではないため、正解になりやすいです。
以上のことから、国語ができる生徒だと、中身を見ずに、選択肢だけを見て「ああ、これは正解にはならないだろうな」「これは正解になりやすそうだ」という表現を見極めることができるのです。これが、国語ができる生徒は、ほかの科目の成績も上がりやすい理由だと考えられます。
実はこのテクニックを応用すると、「否定文で終わっている選択肢は正解になりにくい」と考えることもできます。
例えばみなさんは「北海道ではパイナップルが栽培できる」と言われたら、本当のことだと思いますか? これは、実は正しい文章です。もちろん気候が寒い地域は、パイナップルの栽培に適していませんが、適切な温度や、湿度管理、水やりなどができれば、北海道でもパイナップルは栽培できます。
逆に「北海道ではパイナップルは栽培できない」と言われたら、それこそ間違いです。栽培できる例が1つでもあれば、それは嘘になってしまうのです。
「~できない」、「~はされていない」というのは、たった1つ例外があれば、間違いになってしまいます。だからこそ、否定文の選択肢は正解になりにくいのです。
先ほどもお話ししましたが、「~な傾向がある」や、「~な可能性がある」、「~しつつある」といった言葉の場合は、完全に否定しているわけではありません。「明日は雨が降る可能性がある」と言うのは、降水確率1%でも成立しますよね。
逆に「明日は雨が降る可能性がない」と言うのは、降水確率が1%でもあれば、嘘になってしまうのです。同じように、「この地域には観光客が来つつある」と言われたら、1人しか観光客が来ていなかったとしても、この文章自体は間違いではありません。このような論理的な思考ができるかどうかで、成績は大きく変わっていきます。
以上のことから、日本語力というのは、とても大切なものだと僕は考えています。科目の勉強以前の問題として、国語力は大切なのです。
言葉の意味を理解し、論理的に物事を考える習慣を身につけること。語彙力を付け、言葉の表現を学ぶこと。学生にはこうした時間は大切にしてもらいたいですし、親御さんもぜひ、お子さんに対して指導するときは、意識してみていただければと思います。
受験勉強や、子供への教育など、西岡壱誠さんへの質問を募集しています。こちらの応募フォームからご応募ください。
(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)

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