「ルフィ強盗団」の実行犯(22)が法廷で口にした“身勝手すぎる言い分”「弱い人を助けたい」「変態熟女の相手をする仕事を探していた」「女子どもを殴らないやつは報酬ないからな」

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連続強盗事件を引き起こし、闇バイトの恐怖を世に知らしめた「ルフィ強盗団」。そのうち、4件の事件に関わっていた山田雅也被告(事件当時22歳)が強盗などで起訴され、東京地裁での被告人質問に現れた。
【画像】ミスコンにも出場していた「ルフィ強盗団」の熊井ひとみ容疑者
SiMのアルバム「SEEDS OF HOPE」のTシャツ姿で、リラックスした表情だった。
山田被告は「ルフィ強盗団」に加わった動機について「付き合っていた、お金に困っていたシングルマザーの女性から言われた『捨てないで』という声が頭から離れず、助けたいという思いから」とはっきり大きい声で証言した。
しかし逮捕後には「弱い人からお金を奪うのはよくない。身勝手な考えだったと思い直した」とも話した。
写真はイメージです AFLO
山田被告が関与した事件は4件。
最初は2022年の12月、目黒区内の男性宅への強盗だった。介護の仕事についていたがより多額の金銭を求めてツイッター(現在のX)で高額バイトを探している時に、「タタキ(強盗の隠語)」「報酬は100万円から」という投稿を見つけて応募したという。
「闇バイトに応募したのは、人生経験の未熟さであり、視野狭窄の結果です。介護の仕事は月収が少ない。借金がある彼女がいたので、闇バイトの『報酬100万円から』に釣られました。100万円あれば、シンママの女性を救えると思っていました」
応募すると、「キム」を名乗る人物からメッセージアプリのテレグラムに誘導されたという。キムから指示された通りにその日が初対面の2人の男と合流し、被害者宅へ向かった。到着するとキムから「身内案件(被害者の身内からの依頼)」との説明があり、次のような指示があった。
《イケメンのやつだから、ボコボコにして、しばって、その姿を写真にとって送れ》

共犯者とともに2人で玄関前で待ち伏せした山田被告。「情報では21時半から22時の間に帰宅するはず」だったがなかなか帰ってこず、何度も壁をよじ登って確認していたという。しばらくすると被害者が帰宅し、山田被告はダッシュで近寄って催涙スプレーを噴射した。
「そのとき目があって、被害者は『え?』という表情をしていました。その後、ボクシングの経験がある僕はサイドステップやバックステップをしてかわしたのですが、右フックで反撃され、左目に当たりました。その後も4、5発当たりました。そのため、共犯者と一緒に、車のほうに逃げました。指示役のキムに『失敗しました』と伝えました。すると、『どうして2人なのに失敗するんだ』『催涙スプレーが効かなかったのか』『自分にかけて効果を試せ』と言われたので、その通りにしました。すると5分後ぐらいに痛みを感じました。その後は解散しました」
結局、目黒区の強盗事件は未遂に終わった。山田被告は動機として「弱い人を助けたいという思い」があったという驚愕の証言もしている。
「強盗をする前には、弱い人を助けたいという思いがあり、そのために自分を犠牲にすること、それが美であり、正義だと思っていました。歴史を学んでいたので(歴史上の人物に)憧れていた。しかし実際強盗をしてみて、シングルマザーを救うために弱い人を傷つけた。そのやり方は自分が思う美や正義とは感じられなかった。そのため、強盗は悪いものだと思うようになった」

「強盗は悪いものだと思うようになった」と言うが、山田被告は目黒区の強盗未遂から1カ月も経たないうちに中野区で複数の共犯者とともに約3000万円を被害者宅から奪う事件を起こしている。
「目黒での事件と同じ指示役のキムから前日の夜に《強盗するから来い》とテレグラムで連絡がありました。共犯者と合流した後はタバコを吸って、コインパーキングで車を停め、そして被害者宅へ行きました。その間、車内でキムから仕事の内容の説明がありました。また、被害者宅には被害者の男性のほか、女性と子どもがいることも知らされました。《子どもを殴る奴を決めておけ》との指示があり、共犯者の1人のWが『俺がやる』と言いました。キムは《女子どもを殴らないやつは報酬ないからな》と言いました」

被害者宅へ着くと、強盗グループの2人が宅配業者になりすまし、他のメンバーは覆面をして後に続いた。
「なりすました2人はNとW。強盗の経験があるようでした。他の人は初めてのようでした。僕とWは1階を調べました。どの部屋も散らかっていました。他のメンバーは2階へ行きましたが、僕は行っていないので様子はわかりません。1階では被害者をWが殴っていました。僕はそれを見て、他の部屋を探していました。すると2階からHとFが降りてきましたが、Hが『逃げたほうがよくね?』というので、僕はHとFを逃がしました。僕はそのままいて、NとWが被害者を殴っているのを見ました。Nが飛び蹴りをしていました。被害者は現金のありかを話し、Nは現金を袋に詰めていました。その後、逃げました」
この事件では、逃走中に1人が逮捕されている。指示役のキムはそれに激怒し《なんで逮捕者を出してるんだ! 俺たちのグループに泥をぬりやがって》と山田被告を叱責したという。
山田被告は直後の横浜市旭区の事件にも参加している。
「断ることができず、参加しました。(中略)旭区の事件ではキムから2日前に指示がありました。他のメンバーと僕とで《宅配業者になりすまして行け!》と言われました。1度目、インターフォンを押しましたが留守でした。2、3時間待って再度インターフォンを押しましたが、やはり反応がありません。キムに伝えると、《空巣案件に変更》と言われ、他のメンバーが窓ガラスから入り、玄関の鍵を開けてくれたので、僕も入りました。物色をすると、仲間が皿の入った箱を持っていました」
車内で他のメンバーに「この皿は高く売れるからあげる」と言われ、山田被告は皿を受け取ったが最終的には売るわけでもなく捨てている。その後、山田被告は「ルフィ」らが参加するテレグラムの強盗グループに参加している。

山田被告の最後の犯行は、年が明けて23年1月に足立区で起こした特殊詐欺事件だった。これは「ルフィ」たちのグループではなく、ネット上の掲示板で見つけたものだった。「熟女が好き」だという山田被告は当初は「変態熟女の相手をする仕事を探していた」という。しかし見つからず、《ホワイトな仕事》という書き込みを見つけたという。
問い合わせ先に連絡すると「債権回収」の仕事と言われたという。当日は上司にあたる人物から「自宅待機」を命じられていた。
「事件の1~2時間前、上司から『他の会社の応援に行ってほしい』と言われました。タクシーの車内で『旦那に内緒でおばあちゃんがお金を借りている。回収してくれ』と指示を受けました。被害者宅付近に着きました。すると指示役から『家から出すから待ってて』と言われ、10分か15分待っていました。しかし出てこないので、インターフォンを押しました。家の中に入ると、おばあちゃんがお金を数え始めました。数えるのが2回目になり、『こっちで数えるから大丈夫ですよ』と言うと、また数え始めたので、途中でまた同じことを言いました。おばあちゃんは『あら、それじゃよろしくね』と言いました」

その後、現金とキャッシュカードを受け取り、コンビニで現金をおろすと指示役から《公園に置くように》と言われたという。山田被告はこの事件について「騙された」と主張している。
「法律違反ではないか? ということですが、法律を知りません。債権回収の会社の上司の名前は忘れました。会社名は聞いていません。応援先の会社で指示をした人の名前も知りません。1日しか関わっていません。このときはシグナルというアプリで指示を受けていました。領収書も渡していません」
「弱い人を助けたい」と言いながら強盗を繰り返し、あからさまな特殊詐欺に加担したことを「騙された」と主張した山田被告。一体どのような判決になるのだろうか。判決は5月31日。
(渋井 哲也)

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