柿沢未途元衆院議員に執行猶予付き有罪判決 江東区長選で買収

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2023年4月の東京都江東区長選を巡る買収事件で、地元区議らに現金を配布したとして公職選挙法違反に問われた前副法相で元衆院議員の柿沢未途被告(53)に対し、東京地裁は14日、懲役2年、執行猶予5年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。向井香津子裁判長は「組織的に買収を主導し、政治不信を招くものとして悪影響も大きい」と非難した。
【相関図でわかる】柿沢氏と前区長の関係、カネの流れ
一連の事件では、他に前区長の木村弥生被告(58)や現職区議らが同法違反で在宅起訴されたが、有罪判決が出るのは初めて。確定すれば、同法の規定により公民権が5年間停止され、柿沢元議員はその期間、選挙に出馬できない。
判決によると、柿沢元議員は23年2月、木村前区長を当選させるために秘書5人と共謀して、区議ら5人に計100万円を渡したほか、別の買収行為も合わせると買収総額は約280万円に上った。また、木村前区長と共謀して、選挙期間中に公選法で禁じられた有料のネット広告(約37万円)を動画投稿サイトに掲載した。
柿沢元議員は初公判で起訴内容を認めたが、被告人質問では検察側の質問に「お答えを差し控える」との回答を50回以上繰り返し、事件の経緯や動機を語らなかった。最終意見陳述では「国民の期待を大きく裏切った。その罪、万死に値する」と述べていた。
検察側は、江東区を区域とする衆院東京15区で活動していた柿沢元議員が野党から自民党に移ったため、自民所属の元区長(故人)と関係が悪かったと指摘。元区長を落選させて排除するため、自ら木村前区長を擁立したとした。さらに現金の配布先を決めて買収を主導したとし、「金の力にものをいわせ、自身の権力を追求した」と強調した。
弁護側は、柿沢元議員が議員を辞職し、反省の態度を示しているとして執行猶予付きの判決を求めていた。
柿沢元議員と木村前区長の他に正式裁判を受けるのは、柿沢元議員の元私設秘書▽現職区議3人▽元区議――の5人。関係者によると、木村前区長の初公判は今月18日に予定され、元区議に現金100万円を渡したとされる買収の起訴内容を認める方針。
柿沢元議員は09年衆院選でみんなの党(当時)から出馬して初当選。21年衆院選は無所属で5選を果たし、自民に追加公認された。23年12月に自民を離党後、東京地検特捜部に逮捕され、今年2月に議員辞職した。【斎藤文太郎】

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