百貨店やスーパーなどで利用できる商品券。本物そっくりな“偽造商品券”が急増し、事件が相次いでいます。どのように見分ければ良いのでしょうか。巧妙な手口と対策を記者が解説します。
【画像を見る】「ららぽーと」→「ららぼーと」「そごう」→「そでう」裏面“1文字”の違い
吉村恵里子キャスター:全国の百貨店や飲食店など100万以上の加盟店で利用できる「JCB商品券」の偽造品が相次いでいます。8月4日、東京・新宿の金券ショップで「ニセ商品券」を100枚持ち込んだとして、暴力団組員の浅賀浩太容疑者(31)が、偽造有価証券行使と詐欺未遂の疑いで逮捕されました。
「ニセ商品券」を、“金券ショップに持ち込む”というケースもあるんですね。
TBS報道局社会部塩田アダム記者:東京都内だけでなく全国的に確認されていて、実際に大阪でも同様の偽造商品券が約1万枚という規模で、金券ショップに持ち込まれているという事案がありました。
作りが非常に精巧で、プロである金券ショップのスタッフですら気付かず、実際に買い取ってしまうケースも相次いでいます。それぐらい精巧なものですね。私も取材でよく確認していましたが、本物と偽物を比較して見ても、なかなか見分けがつかないです。
井上貴博キャスター:プロはどのようなポイントで見分けるのでしょうか。TBS報道局社会部塩田記者:商品券の裏面下部に券番号があります。これが正規かどうかが見極めるうえで重要になってきます。1万枚のような大規模で持ち込まれれば買い取る際に発行会社(JCB)に逐一確認が行われますが、1、2枚であれば触った感覚や色味などで判断して買い取るということです。
吉村キャスター:触った感じも本物そっくりです。では、どこで偽造品と判断すればいいのでしょうか。
TBS報道局社会部塩田記者:唯一、見抜ける方法があるとすれば、裏面に記載されている「利用可能店舗名の誤字」です。▼具体的には「そごう」という百貨店名の文字が「そでう」になっています。▼同様に「三井アウトレットパーク」という文字が「三井アウトレットバーク」になっていたり、▼「ららぽーと」が「ららぼーと」になっていたりします。また、数字のフォントが違うこともあるようです。
吉村キャスター:ニセ商品券は、一体誰が作っているのかが気になります。
TBS報道局社会部塩田記者:気になって捜査当局に取材をしましたが、誰が作って流通させたのかという手がかりはなく、流通規模も把握できていないのが現状だそうです。
ある暴力団幹部に取材をしたところ、今回の偽造品には関与していないとした上で、「過去に中国でつくられたJCBギフトカードの偽造品を密輸したことがある」という話をしていました。実際に2024年、大阪の関西空港で「JCBギフトカードの5000円券」300万円分を密輸しようとした男が逮捕されるという事件もありました。
日本国内で製造されたかどうかは定かではありませんが、中国など海外で製造されたものが日本に持ち込まれたという可能性も考えられるということです。
ニセ商品券の流通は全国的にかなりの枚数・規模で確認されていることから、背後には“ブローカー”や“大きな犯罪組織”がいるのではないかという見立てをする捜査関係者もいます。==========〈プロフィール〉塩田アダムTBS報道局社会部警視庁捜査2課担当詐欺や組織犯罪を取材