差が2の素数「双子素数」…じつは数学上の未解決の難題だった「いくらでもあるのか」

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「数学的なセンス」とはなんでしょうか。
数学の問題を「正確に速く解く」うえで,計算技能に習熟することは大切ですが,「数学センス=計算力」では決してありません。数学的なセンスとは,数学を楽しみ,問いを掘り下げ,「数」や「図形」の世界についてより深く理解するための道筋を自らたどることができる能力です。
〈理系に強い子ども〉に育てたい親御さんが増えていますが,「数学センス」を磨くことがその近道です。そしてそのエッセンスは,じつは「中学数学」に詰まっているのです!
中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し,教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」をご紹介する『中学数学で磨く数学センス』から,数学を楽しみ,「数学センス」を磨くためのポイントをご紹介していきましょう。
今回は,素数の不思議について,3つのポイントから考察してみましょう。じつは,いまだ未解決の「数学上の難題」がひそんでいるのです。こんな難題に気づけるセンスを磨いてみませんか?
*本記事は、『中学数学で磨く数学センス』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
素数は,中学1年生で学習する。素数の「素」という文字は,物理学における「素」粒子や化学における元「素」などにも使われているように,なんらかの物事の「おおもと」であり,基本構造をなすものを意味している。
数学における素数も同様で,あらゆる数のおおもと,基本構造をなす存在である。
今回の記事では,特徴的な形をした素数や素数の組に注目する。たとえば、1300までの素数をながめてみると(表「1300までの素数」)、さまざまに面白い形をした素数があることに気づくはずだ。
特徴的な素数には名前がついていて,その性質やふるまいに関する研究が進められている。このような素数を見ていこう。
この記事のトピックについてのポイントは,次の3つである。
3と5,5と7,11と13のように,差が2の素数を探してみよう。
11, 101, 131, 151, 181, 191, 313は, 左から読んでも右から読んでも同じ数で, かつ素数である。このような素数は無限にあるだろうか。
素数13は, 右から読むと31でこちらも素数であり, 389と983もどちらから読んでも素数である。このような素数は無限にあるだろうか。
では早速、第1のポイント「差が2の素数」から見てみよう。
合成数(1以外の数の積で表される数)は連続することがあるが,素数が連続するのは2と3だけである。連続する2つの数の一方は必ず偶数なので,2と3以外に素数が連続することはない。すなわち,差が1の素数はこの1組だけである。
そこで,差が2の素数を考えると,3と5,5 と7,11と13のように,素数の組が見つかる。このような組を「双子素数」とよぶ。双子素数がいくらでもあるかというのは数学上の未解決の難題であり,「双子素数予想」といわれている。
【未解決問題】 双子素数は無数に存在するか。
500 未満の双子の素数は,
3, 5 5, 7 11, 13 17, 19
29, 31 41, 43 59, 61 71, 73
101, 103 107, 109 137, 139 149, 151
179, 181 191, 193 197, 199 227, 229
239, 241 269, 271 281, 283 311, 313
347, 349 419, 421 431, 433 461, 463
のみである。
100未満には8組あり,100以上200未満には7組,200以上300未満には4組,300以上400未満には2組,400以上500未満には3組と,だんだん少なくなっている。
数が大きくなると,素数の割合が低くなるため,双子素数はいずれなくなってしまうかもしれないし,まれではあっても現れ続けるかもしれない。この研究は近年,大きな進展を見せており,双子素数予想は近い将来に解決するかもしれない。
* * *
さて、151, 373 はどちらも,右から読んでも左から読んでも同じ数であり,なおかつ素数である。右から読んでも左から読んでも同じ数を「回文数」といい,かつ素数であるものを「回文素数」という。
1桁の回文素数は,2, 3, 5, 7 の4つだが、2桁の回文素数はいくつあるだろうか。じつは、2桁の回文素数にはちょっと面白い特徴がある。
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