大阪名物「グリコの看板」の下でたむろする「グリ下キッズ」の間で「違法風俗店勤務」が流行している訳

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大阪名物「グリコの看板」。この下に、たくさんのグリ下キッズがいるという大阪・ミナミにあるグリコの看板下の遊歩道(以下グリ下)や道頓堀沿いでたむろしている「グリ下キッズ」と呼ばれる子どもたちの間で今、違法風俗店に勤務してお金を稼ぐことが流行しているのだという。
グリ下や道頓堀沿いでは、夜になると未成年を含めた多くの若者が集まり、若い世代の集会所のようになっている。その中の一部は、遊ぶ金欲しさに立ちんぼをしてお金を稼いでいたようで、新宿歌舞伎町の大久保公園のように、有名な立ちんぼスポットになっていた。これを問題視した大阪警察や行政の見回りが行われ、立ちんぼをするグリ下キッズは減ったようだ。
立ちんぼができなくなってしまったが、お金が欲しいグリ下キッズたちが手を出したのは、違法な風俗店への勤務だ。実際にグリ下キッズで、現在は違法な風俗店で働いているMさん(20)に話を聞いた。
「今は、本番あり前提の違法なデリバリーヘルスのお店で働いています。HPとかSNSの宣伝とかもしてなくて、紹介からしか行くことができないお店です。電話がかかってきたら待ち合わせをして、ホテルに行きます。値段は1万5千円で本番ありです。ゴムなしでやるなら2万円からになります」
警察の見回りや補導の影響で、立ちんぼをすることができなくなったグリ下キッズたち。そんな彼女たちを迎え入れたのが、本番行為が可能な違法デリヘルだ。しかし、彼女たちはなぜ、違法なお店と知ってもなお、勤務を続けているのだろうか。
「まず、給料がいいですね。普通の風俗店よりお店側の取り分が低いです。それに、紹介でしか使うことができないお店なので、ストーカーや怖い人を弾いてくれますしね」
立ちんぼをしているときほどは稼げないものの、一般のデリヘルであれば客である男性から受け取る金額の半分が女性の給料になることが多いが、この店ではそれよりも多く給料がもらえるため、働きやすいのだという。
また、ホテルの中で女性と二人きりになると暴力的になり金を払わない男、路上でストーカーをする男などのリスクを排除してくれる点も、彼女たちがお店に勤務する理由なのだとか。
ほかにも、通常の風俗店のように時間を決めて勤務するという仕組みが無いことも彼女たちにとって都合がいいのだという。
「お店が待機場所としてマンションの一室を借りていて、そこに行ったらお客さんをあてがってくれるというシステムになっています。普通の風俗店だとシフトがあって、当日急に休むと罰則や罰金があるところが多いんですが、それがないんです。立ちんぼと同じ感覚でやれるんでみんなこの店に来てるんだと思います」
しかし、友達とたむろするのにそこまでお金が必要だとは思えないが、なぜ彼女たちは違法な風俗店に勤務してまでお金を稼ぐのだろうか。そのことについて質問すると、意外な答えがかえってきた。
「グリ下で遊ぶのにもお金が必要なんです。グリ下では、OD(オーバードーズ)が流行っているんですが、それには結構お金がかかります。でも私バカだから体を売るしかないし、彼氏にも『体はいいよな』って言われてたので、立ちんぼをすることにしました。グリ下には私のように立ちんぼをしている子も多くいましたが、警察が見回りをするようになったのでお店で働くようになった子が多いです」
Mさんはざっくばらんに話をしてくれたが、途中で店からの連絡があり、出勤することになった。多くの若者が集う「グリ下」や「アメリカン通り」。たとえ警察の違法売春への介入があったとしても、形を変えて行われているのが現状だ。
このような状況が若者の間で当たり前になってしまう前に行政の介入が求められている。

取材・文・PHOTO:白紙 緑

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。