子育て支援金 将来の負担増「法律上可能性はありうる」 加藤大臣が答弁 岸田首相は「政治的にはない。国会答弁で確認する」

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岸田政権が掲げる少子化対策の財源として公的健康保険に1人あたり平均で月500円弱が上乗せされる子ども子育て支援金について、5日の参院予算委員会で、日本維新の会の音喜多政調会長が、将来的に負担率が増加する可能性があるか質したのに対し、加藤鮎子こども政策相は、増加しないとの見通しを示す一方、「法律の建て付け上、可能性としてはありうる」と答弁した。
質疑の中で音喜多氏は支援金制度について「一度成立してしまえば、なし崩し的にその負担が増えていく可能性もある。厳しい言葉で言えば唾棄すべき最悪の制度だ」と批判した。その上で、支援金の率は政令で定める範囲内で保険者(健保組合など)が定めることになっているが、政府はどの程度の金額を想定しているのか尋ねた。
これについてこども家庭庁の担当者は、「政令については、関連法案が成立すれば2026年度に支援金が施行されるので、その施行に向けて今後検討していく」との方針を示した。
音喜多氏は「法律を見ると子育て支援金が政府の一存で引き上げられていくという可能性が全く否定できない」として、将来的に国民の負担が増える可能性を質した。
これに対し加藤大臣は「支援金の総額は2028年度において、1兆円程度とすることを法案に明確に規定しており、政府としてはこれを着実に実施をしていく」と述べた上で「実質的な負担が生じないことを制度面で確保することとしている」と強調した。
音喜多氏は政府が支援金の率を決める政令について、「社会保障負担率の上昇に与える影響の程度が、社会保障の歳出削減などによる負担率の低下に与える影響の程度を超えないものとする」とした法案付則の規定を「考慮しなければならない」とされていると指摘。その上で「これは禁止規定ではない。法的な解釈とすれば、考慮した結果、負担率を増加させることもできる。支援金の負担が上がっていく可能性は法的には否定できない」として加藤大臣の見解を求めた。
これに対し加藤大臣は「政府が政令を定める際においても法の趣旨が考慮されることになる。なお、支援金は児童手当に充当されるものであり、高齢化に伴い費用や保険料が増大する医療・介護とは異なる」として、支援金の実質負担は増えないとの見通しを強調した。
そこで音喜多氏は重ねて「規定では考慮はするけれども禁止はされてない。法的には負担率が上がる可能性は残っているのではないか」と尋ねた。
これを受け、こども家庭庁の担当者は「子どもの数が増えていかない限りは、支援金というものは増えない建て付けになっている」と強調する一方、「端的に(上がる)可能性があるかないかということであれば、可能性としては総額によるので、ある」と答え、加藤大臣も「法律の立て付け上、可能性としてはありえる」と述べた。
一連の質疑を受けて岸田首相は、社会保障負担率を増加させないとの法案の条文は禁止規定ではないとの説明について「法律論としてはその通りかもしれないが、負担率は上がらないこと、そして1兆円を超えないということを確定した上で条文がある。政治的には答弁を通じて負担増加は考えていないと再三答弁している。国会答弁を通じて勝手に政府が負担率を上げるなどということはないことをしっかり確認することが大事だ」と述べた。

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