別の女性とつき合い障害に…元交際相手殺害か「懲役17年判決の被告」吹聴した「自分は業界人」の詭弁

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「被害者と交際する一方で別の女性とも交際を開始。その女性との関係の障害となった被害者の殺害を決意した」
東京地裁(野村賢裁判長)は2月27日、’13年6月に元交際相手を殺害したとして殺人の罪などに問われている佐藤一麿被告(38)に懲役17年の有罪判決を言い渡した。亡くなったのは当時25歳だった阿部由香利さんだ。
「裁判所は、佐藤被告が阿部さんに睡眠改善薬を大量摂取させ首を圧迫して殺害したと推測しています。計画的な犯行だと。一方の弁護側は、阿部さん自身が薬物を自分で飲んで亡くなった可能性があるとし無罪を主張していました。
佐藤被告が起訴されたのは’16年3月。’19年7月の1審判決で東京地裁は懲役17年を言い渡していましたが、東京高裁が’20年12月に『中毒死の可能性がある』とし審理を差し戻していたんです」(全国紙司法担当記者)
『FRIDAY』は’15年7月17日号で、この不可解な殺害事件について詳しく報じている。再録して、佐藤被告の業界人を騙った詭弁と犯行の一部始終を振り返りたい(内容は一部修正しています)ーー。
’13年夏に東京都新宿区内のアパートから失踪した阿部さんが、神奈川県相模原市の墓地から遺体で見つかった事件。失踪から2年後の’15年6月、渋谷区に住むアルバイト店員の佐藤被告と静岡県富士市の女性Aが死体遺棄容疑で逮捕された。阿部さんは、当時7歳の長男を持つシングルマザーだったが、この長男の行方も確認されていない。阿部さんの死亡と長男の失踪に、当時恋人同士だった2人はどう関わっていたのか――。
「佐藤被告とAは’13年7月、当時Aが住んでいた世田谷区内のワンルームマンションからブルーシートにくるんだ阿部さんの遺体を運び出したとされます。遺体を、佐藤被告の親族の墓がある相模原市内に埋めた疑いがあるんです。Aの住むマンションでは同時期に異臭騒ぎがあり、2人は駆けつけた警察官に『飼っていたゴールデンレトリバーが死んでしまった』『死骸はシートに包んで町田市の山に埋めた』と誤魔化していました。
しかし、実際には佐藤被告がAのマンションに、1ヵ月以上も阿部さんの遺体を保管させていたようです。2人はこの時期に男女の仲になったとみられていますが、何がきっかけで出会ったのかについては一切話していない。佐藤被告は過去に阿部さんとも恋愛関係にあったため、三角関係のもつれが事件につながった可能性も否定できません」(全国紙社会部記者)
阿部さんは10代後半で結婚した男性との間に、長男をもうけたが後に離婚。阿部さんの遺体には頸部に内出血があり、窒息死とみられているが佐藤被告は関与を否定している。逮捕のきっかけは、’14年末に阿部さんの親族が警視庁に捜索願を出したこと。交友関係を捜査するなかで佐藤被告の存在が浮上し、交際していたAにも捜査が及んだ。
佐藤被告とAはともに資産家の家庭に生まれ、テレビ業界に憧れを抱く似た者同士のカップルだった。佐藤被告は、渋谷区有数の閑静な高級住宅地に建つ豪邸で家族と同居していた。「土地と建物で2億円はくだらない」(地元不動産業者)という。佐藤被告の友人が語る。
「高校の頃からウソをつくのがうまく、よく周囲にこう吹聴していました。『民放のテレビ局でバイトしているんだけど交際費とか接待費がかかって大変なんだ』『明日は有名ミュージシャンとメシで気を遣うんだよね』と、『自分は業界人』とマスコミ関係者っぽい話をしていました。
最初は信じていたんですが、彼のお母さんに聞いたら『ウチの息子にはそんな才能はない。テレビの仕事なんてしたこともありません』と話すじゃありませんか。詭弁ですよ。高校は私服での登校でしたが、業界人を装うために一人だけいつもスーツで学校に来ていました」
佐藤被告は、道で若い女性を見るとポケットから携帯を取り出し、「明日の会議、ボクは俳優のBさんを推します」「Cさんのスケジュールはどうなってますか?」などと、わざと周りに聞こえるような大声で「エア電話」をかけていたという。
「若い女の子が来ると、『ボクは慶応の出身で大学院で勉強中なんだ』などと言ってナンパしてました。オシャレなカフェでアルバイトをしており、ネームプレートに書かれたのはローマ字で『MARO』。たまたま地元の友達がその店に行き『佐藤君じゃないか!』と話しかけたんです。
でも『MARO』は眉一つ動かさずに『え、佐藤って誰ですか? ボク知りませんけど』ってとぼけるんですよ。正体がバレるのを恐れたのでしょう。その友人は『どこの大学に行ったかは覚えていないが慶応ではない』と断言していました」(バイトの知人)
一方の交際相手Aの実家も、富士市の小高い丘にある緑茶の生産農家で、地元では「御殿」と呼ばれるほどの豪邸だったという。自分たちのプロフィールや素性を、実態以上に華やかなにしようとしていた思惑がうかがえる。
無罪を主張していたにもかかわらず、懲役17年の有罪判決を受けた佐藤被告。地裁の判決を不服として控訴する可能性が高い。高裁はどんな判断を下すのだろうか。

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