「ミャクミャクがPRに使えない!」開催まで1年…大阪万博公式キャラが浸透しない「深刻な理由」

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開催まで1年弱と迫った大阪万博だが、工期の大幅な遅れ、海外パビリオンの出店も進まずで、ついには参加辞退国も現れた。会場の大半を囲むように建設されている万博のシンボル「大屋根リング」設置などの計画変更もあり、建築費用は当初の約2倍となる2350億円に増額。更には2億円の「デザイナーズトイレ」の建設問題も取り沙汰されるなど、次々と難問が飛び出している。
費用は税金で賄われるだけに国民が怒るのは当然なのだが、開催地の大阪で取材を進めると費用以外の問題も見えてきた。その最たるものがPR方法だ。大阪市内のある商店街の幹部はこう話す。
「どんなに批判されても、われわれとしては万博は絶対に成功させてほしいと思っています。だからこそ、商店街内に万博関連の販促物やポスターなどを掲示しようとしたんですが、『あれはダメ、これはダメ』と縛りがキツすぎる。みんな呆れていますよ。一部の大企業だけじゃなく、大阪全体で万博を盛り上げなきゃいけないのに、お偉いさんは何を考えているのか。疑問しかないですわ」
とくに公式キャラクターである「ミャクミャク」を巡っては、厳しい意見がとびかっている。大阪・梅田近くの別の商店街幹部はこう本音を漏らした。
「ミャクミャクがプリントされた販促物や掲示物は使用許可が厳しくて、ほとんど街中で見かけません。権利関係とか色々あるんでしょうけど、『何のための公式キャラクターだよ』と思ってしまいます……」
大阪万博の旗振り役を務める維新の会の中にも、ミャクミャクの使用制限の厳しさを問題視する意見がある。大阪維新の会の議員が憤る。
「地元の選挙区の人々や支援者から“どうして『ミャクミャク』を使えないのか”と疑問の声があがっています。“権利上難しい”とお詫びするしかないのですが、その度にお叱りを受けます。
みなさん、万博を盛り上げたい一心で言っているわけで、純粋な熱量がある人たちなのでジレンマがありますね……。万博グッズのオフィシャルストアはどこも閑古鳥が鳴いているだけに、もっと露出を増やしてもいいのではと個人的には思うのですが……」
維新の会の支持層ですら、万博については開催への反対意見が65%を数えている(共同通信社による調査)。前出の議員が続ける。
「正直、万博にはあまり関わりたくないという議員が維新の中でも多数派ですよ。地元からの『いったい万博はどうなるのか?』という声が日に日に強くなっていて、その対応に追われている議員が多い。
万博の推進委員会に所属していないかぎり、地方議員クラスでは意見をもらっても対応する権限はほとんどありません。万博の問題が噴出するたび、世間は『維新がしっかりしないから』と見る。当然、選挙にも影響するでしょうね」
昨年11月、新大阪駅構内に「2025大阪・関西万博オフィシャルストア JR新大阪駅 エキマルシェ店」が開店した。祝日に訪れてみると駅構内は混雑しているのに、客はまばら。「ミャクミャク」が飾られた店内には、キーホルダーやぬいぐるみ、お菓子などが並んでいる。しばらく見ていたが、キャリーバッグを引いた男性がお菓子を購入しただけだった。店員が明かす。
「『ミャクミャク』の認知度はまだまだ低い。『このキャラクターは何?』『何という名前?』と聞かれることが多いですね。場所柄、お客さんのほとんどが出張などで大阪以外から来られた方。お土産として、万博にちなんだお菓子などを購入していかれる方がメインです」
PRのためのキャラクターにまで不満が募っているという事実が、大阪万博の「現在地」を雄弁に物語っていた。

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