2年で13件“阻止” 特殊詐欺を防ぎまくるコンビニの「極意」

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全国で特殊詐欺の深刻な被害が続く中、被害を防ぎまくるコンビニエンスストアが神奈川県大磯町にある。2022年~23年に1店舗で県内最多の13件を阻止したローソン・スリーエフ大磯国府店。大関陽子オーナー(42)に極意を聞いた。【柿崎誠】
【写真で見る】社会に衝撃を与えた事件
特殊詐欺のうち、コンビニが利用されやすいのはサポート詐欺だ。パソコン画面などに「ウイルスに感染した」と警告が表示され、問い合わせると、「復旧に必要」などと電子マネーカードを買わせ、その購入金額をだまし取るものだ。
交通量の多い県道沿いの同店は、22年に5件、23年に8件(被害阻止額計59万円)を阻止した。町は人口のうち65歳以上が占める高齢化率が34・7%で、同店の利用者も高齢者が多い。
大関さんによると、客が電子マネーの売り場や使い方を知らない▽1万円超の高額利用▽高齢者――などは要注意だ。売り場を聞かれると、レジ前の一番目立つ場所に貼った大磯署の絵付きチラシを見せて「詐欺じゃない? 警察に電話しようか」と尋ねる。声掛けに強く反論する人もおり、手口を伝えるチラシを見せるのは効果的だ。若くても高額購入者には「お買い物ですか」と声を掛けている。
日々の業務は多岐にわたるため、「たばこの年齢確認の感覚で特別なことではなく、阻止はコミュニケーションの延長」と気負わない。この意識はアルバイトやパート従業員にも浸透し、警察やローソン本社から何度も表彰されている。
時には「(詐欺だとしても)勉強代」と強情な人や、話かけるなというオーラを出す人もいるが、「うっとうしい」と思われてもいい。大関さんは「お客さんがだまされて何万円もの被害に遭うくらいなら、明日もあさってもうちのお店で買い物してほしい」とユーモアをのぞかせた。
コンビニ「社会の防犯力」
県警によると、2023年の県内の特殊詐欺被害件数(暫定値)は2024件(前年比66件減)で、被害額は約45億7000万(約1億8200万円増)。阻止件数は1768件(337件増)と過去最多を更新した。
特にサポート詐欺を含む架空料金請求詐欺が前年比92件増の202件と伸びが顕著だった。直江利克本部長は21日の定例会見で「各警察署からコンビニ店舗などへの協力が浸透していけば、社会の防犯力が更に高まっていく」と期待を寄せた。

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