5歳の娘の遺体を冷凍庫に遺棄した容疑で母親が逮捕された事件。舞台となったのは、静岡県掛川市の閑静な住宅街だった。県警捜査1課と掛川署は10月22日、母親で無職の川口陽子容疑者(37)を死体遺棄の疑いで逮捕。川口容疑者は23日に検察庁へ送検された。川口容疑者をめぐっては、近隣住民や同級生から「おとなしい人だった」と証言があがってくる。
【画像】父は名士で知られ…「おとなしい性格」検察に移送される川口容疑者
川口陽子容疑者(37)は9月中旬、車の脱輪トラブルを起こした際に駆けつけた警察官に「娘の行方がわからない、探してほしい」と伝えていた。その後、県警が調べを進めると、川口容疑者の自宅の冷蔵庫から、娘の晶子ちゃん(5)の遺体が発見された。
近隣住民の50代女性が当時の様子を振り返る。
「9月16日にパトカーが数台、陽子さん(=川口容疑者)の自宅に来ていて、そこから3日くらいずっといました。なんだろうなと思っていると、『陽子さんが事件も起こしてしまい警察が来ている』『体調がずっと悪かった』という話を近所の人たちがしていたんです」
近隣住民は「まさか」と思ったものの、事件はすぐには動かなかったことから「あの騒動はどうなったのかな」と、ずっと疑問を持ち続けていたという。
そして、約1カ月後の10月22日。川口容疑者の自宅周辺にマスコミが集まりだし、「やっぱり本当の話だったんだ」と驚きを隠せなかったと明かす。
川口容疑者の家族構成について、別の近隣住民で60代男性はこう証言する。
「陽子さんの旦那さんと今回亡くなった晶子ちゃん、そして陽子さんの父と計4人でここ数年は暮らしていました。陽子さんの母も住んでいましたが、3~4年前に亡くなられたようです。陽子さんの旦那さんも、陽子さんの父もともに川口家に婿入りしてきました。
陽子さんは2人姉妹で妹にあたります。陽子さんは5~6年前に結婚し、晶子ちゃんを出産。旦那さんは子煩悩として知られていて、娘さんを肩車したり外で遊ばせたりしていた様子を何度か見かけたことがあります。晶子ちゃんは隣町のこども園へ通っていたそうです」
60代男性によると、川口容疑者は結婚する前まで、掛川市内の大きな総合病院で事務職として勤務していたという。男性は「もともとここの地元出身の子で、近所にある地元の小・中学校を卒業後、地元の公立の進学校へ通っていた」と話す。
川口容疑者と小中学校が同じだったという同級生は「陽子ちゃんは影の薄い存在で集団行動や友人とのコミュニケーションが苦手な印象があった」と語る。
「不登校だったとかではないですけど、周りの輪になじめないというか、集団の中にいつもいるってわけではない子。自ら積極的に友人を作るタイプでは、到底ありませんでした。
小学校の頃は、お父さんの影響でスポーツをやらされていたと聞いています。たしかバレーボールだったはず。でも、本人には合わなかったのか、すぐに辞めたみたい。周りに『やりたくない』と愚痴をこぼしていたのを覚えています。昔から運動は得意にみえなかった」
川口容疑者と同級生の母親(60代)は「陽子ちゃんは教育熱心な家庭で育った」と言う。
「陽子ちゃんのお父さんはとても熱心な方で、市役所で働く一方で、ボランティアとして小学生のバレーボールクラブを指導していました。たまに手が出てしまうこともあり、昔ながらの“厳しい指導者”という感じでした。熱心な姿勢に賛同する保護者もいれば、厳しすぎるなどと批判する人もいましたね。
だからこそ、陽子ちゃんも結構厳しく育てられたと聞いています。うちの娘から聞くには、あんまりしゃべる子じゃなかったそうで。どっちかって言うとおとなしくて、みんなでワッと遊ぶタイプじゃなかった。成績もね、中の下くらいだったと思います。
それにね、陽子ちゃん自身も空気が読めないというか、何を考えているのか分からないところがあって。それで周りからいじめられていたこともあると聞いたことがあります」
別の同級生の母親(50代)は、10年前にある“変化”を聞いていた。
「陽子ちゃんのおじいちゃんが約10年前に亡くなったのですが、おじいちゃんは陽子ちゃんをずっと気にかけていたそうで、陽子ちゃんにとってはかけがえのない存在だったと聞いています。おじいちゃんの一件があってから、体調を崩しがちでした」
川口容疑者が逮捕されたのは、現場となった自宅から約30キロメートル離れた病院の駐車場だった。
県警関係者によると、川口容疑者は逮捕直前まで入院していたという。司法解剖の結果、晶子ちゃんの死因は窒息死で、亡くなった後に自宅の冷凍庫に遺棄された可能性が高いとされている。
「犯行(死体遺棄)は母親の単独の可能性が高い。夫はすでに別居していたようだ」(地元誌記者)
わずか5歳の少女の遺体はなぜ冷たい冷凍庫に遺棄されたのか。県警は死亡した経緯についても慎重に捜査している。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班