津の4歳娘死亡、最初の暴行は1年8か月前…検察側「死亡するまで約50回暴行」

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津市の自宅で昨年5月、中林ほのかちゃん(当時4歳)を暴行して死亡させたとして傷害致死罪に問われた母親りゑ子被告(43)の裁判員裁判が20日に始まった。
検察は暴行は三女が死亡する約1年8か月前に始まり、食事も十分与えないなど育児放棄も繰り返されていたと主張した。弁護側は子育ての悩みなどから被告が周囲から孤立し、死につながった2回の暴行は衝動的だったと情状酌量を求めた。事実関係は被告も認めており、量刑が争点となる。
午前10時に開廷した法廷の傍聴席はほぼ満席となった。
検察はこの日、ほのかちゃんが死亡するに至った2件の暴行の経緯を明らかにした。
1件目は昨年5月21日頃、ほのかちゃんが立っていた布団を中林被告が手で強く引っ張り上げ、後頭部を床に打ち付けさせた行為。その理由について、布団を洗濯するため中林被告が離れるよう伝えても、言うことを聞かなかったためと説明した。2件目は翌22日頃、机の上に立っていたほのかちゃんの背中を殴り、額などを床に打ち付けさせた暴行。失禁を隠したことに中林被告が腹を立てたとした。ほのかちゃんは23~24日に話し方や歩き方が不自然となったが放置し、脳ヘルニアで26日に亡くなった。
検察は冒頭陳述などで、中林被告が日常的に暴行や育児放棄を行っていたと指摘した。2021年9月頃以降、死亡するまでに約50回の暴行に及び、うち約10回は壁などに頭をぶつけさせたという。スマートフォンで殴り、スマホの画面が割れたこともあったという。
ほのかちゃんは長女ら3人と別の部屋で生活し、食事も1人で取らされ、死亡時の体重は4歳児平均より約3キロ軽い11・8キロだったほか、耳などに垢(あか)もたまっていた。中林被告は婚姻歴がなく、ほのかちゃんを自宅の浴室で出産し、妊娠・出産を周囲に伝えていなかったとした。
中林被告は、乳児園に預けていたほのかちゃんを2歳の時に引き取り、21年3月から4人で暮らし始めた。弁護側によると、中林被告は発達に遅れがあると感じていたほか、コロナ禍で収入が激減したことも重なり、精神的に追い詰められていったと訴えた。
弁護側は、中林被告の長女が「ママいないと寂しい。早く帰ってきてよ。つらいわ」などと訴える手紙を読み上げた。中林被告の母親の証人尋問もあり、母親の元に中林被告が訪れた際はほのかちゃんだけ来ないこともあったと明らかにし、「気づいてやれなかった後悔は生涯忘れることはできない」と語った。
公判は21日の被告人質問などを経て、来月8日に判決が言い渡される予定。

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