「子会社ならOK?」阪神&オリックスの優勝パレード委託業者は入札停止処分中の電通の子会社だった!

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阪神タイガースの18年ぶりリーグ優勝、オリックス・バファローズのリーグ優勝3連覇を祝して昨年11月23日に行われた阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード。
本来は明るいニュースにもかかわらず、その主催が「兵庫・大阪連携『阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード』~2025年大阪・関西万博500日前!~ 実行委員会」という名称だったことから、「優勝パレードを万博PRに利用するな!」という批判が殺到した。
さらに、兵庫県と神戸市が職員1500人を公務扱いで動員したのに対し、大阪府・市の職員約2500人は無給のボランティアで、食費・交通費も自己負担だったことも批判された。
おまけに、パレードの開催費用5億円をクラウドファンディングで募ったものの、パレード当日時点で集まったのは約9700万円。目標額に遠く及ばず、残り約4億円は実行委員会が企業協賛金を集めてまわって調達したというオチに。
とかくケチがつきまくったパレードだが、実は問題はそれで終わりではなかった。
〈阪神オリックス優勝パレード委託業者は電通子会社 電通ライブ 契約金額1億8900万円
阪神オリックス優勝パレードに関する情報公開が一部行われました。電通本社は大阪府で入札停止処分を受けているが、子会社ならOK? 意味なくないですか?〉
これは、X(旧Twitter)でのアカウント名「ポストマン」さんのつぶやきだ。
ポストマンさんは、松井一郎元大阪市長の公用車でのスパ通いを毎月開示請求、Xで情報公開してきたほか、大阪維新の会を中心としたスクープを様々なメディアに提供してきた人。
文字通り本業は「郵便局員」だが、維新の政治姿勢に不信感を持ち、大阪都構想への反対運動をしてきた中、FRIDAYデジタルにも登場した「開示請求の鬼」ことWADAさんの存在を知り、「こんな方法もあったのか」と、開示請求で大阪府・市政へのカウンターを図るようになったという。
「阪神、オリックスの優勝パレードに吉村(洋文)大阪府知事がでしゃばってきて、関西万博のアピールに利用しようとしていると批判されてから、関西経済連合会と大阪府と大阪市、兵庫県、神戸市など実行委員会形式でやると言ったんですね。
でも、記者会見には球団関係者は不在で、出てきたのは吉村知事と横山(英幸)市長と、松本(正義)関経連会長の3人だけ。ただでさえ万博の宣伝に利用されているという批判が多いのに、これはおかしくないか、と。それで、クラウドファンディングやボランティアの問題などを含め、総括的に5、6ヵ所に分けて開示請求したんです」
実はそのとき、パレードの実行委員会広報として連絡先が記載されていたのが、電通PRコンサルティングだった。
「ああ、やっぱり電通絡んでんのかな、と。それで大阪府に開示請求した中で出てきた契約書に、『電通ライブ 契約金額1億8900万円』という情報があったんです」
東京五輪の入札談合事件を受け、’23年2~3月、大阪府・市と関西万博の運営主体「日本国際博覧会協会」は、電通と博報堂、東急エージェンシーの3社の入札資格を1年間停止処分にしている。しかし、電通ライブは、電通グループが100%出資する会社なのだ。
「電通グループの子会社なので、厳密に言うとOKなのかもしれません。でも、電通が入札資格停止になっているのに、電通グループの子会社はどうなのかと」
1月30日、吉村洋文知事は記者会見の中で「人民新聞」の記者にこの件を問われると、その事実を認めたものの、「実行委員会で協議して」を繰り返すばかりだった。
そもそも実行委員会はどのような経緯で作られたのか。また、なぜ電通はNGで電通グループの子会社はOKという判断になったのか。
取材依頼をしたところ、阪神タイガースからは「パレードに関しては当球団主催ではございませんので」と開催事務局を案内されたのみで、オリックス・バファローズからは期限内に回答がなかった。
また、大阪市も「実行委員会の事務局である大阪府までお問い合わせください」を繰り返すのみ。
大阪府政策企画部政策企画総務課は、実行委員会立ち上げの経緯について、文書で次のように回答している。
「過去の阪神タイガース優勝パレード(’03年及び’05年)の実施体制にならい、実行委員会形式で設立しました(なお、過去のパレードにおいても、球団は実行委員会のメンバーに入っておりません)」。
また、電通グループの子会社との契約の問題については、
「株式会社電通ライブ(以下、「同社」という。)は、大阪府入札参加停止要綱第3条に基づく入札参加停止の措置を受けておらず、同要綱第5条に該当しておりません。
また、同社は、安全かつ確実に実施できる事業者として、過去に御堂筋でのイベント運営実績を有し、公道イベントにおける課題を熟知しノウハウを有する者であることから、同社を選定したものである」と回答。
企業からの協賛金約4億円、クラウドファンディングで約1億円の使い途についても「全体収支が、確定した時点で公表させていただく予定としております」とした。
ちなみに、「実行委員会」という外部団体にしてしまうと、開示請求できず、中身が見えない状態になるのは、東京五輪汚職問題でも度々指摘されてきたことである。
ポストマンさんはこうした結果に「驚きはない。やっぱりという感じ」と言いつつも、こんな問題提起をした。
「大阪府のルールとしてはOKだから契約したんでしょう。でも、ルールとしてOKでも、道義的にはどうなのか。
大きい会社であれば、グループ会社や子会社なんか山ほどありますから、いくらでもこういう抜け道がありますよね。
そもそも仮に電通本体が契約していたとしても、現場で動くのは制作会社など子会社というケースが多いでしょうから、これは実質、本体が契約したのと変わらない。入り口が違うだけということですから」
取材・文:田幸和歌子

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